表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
己 呂 武 反 而   作者: https://youtube.com/kusegao
162/197

                                      

7/2(金) 0:30

   行ってしまった。私の人。いつ会えるの?いつ電話をくれるの?待てない。死にそう。会ってくれるかしら。会ってくれなかったら。早く電話をちょうだい!お願!私、苦しくて死にそう。私嫌われるわ、きっと。見られた顔じゃない。ぶす!吹出物まで拵えて。あの綺麗な顔、彼の美しい顔に、美い目に、見せられない。ぶす!ぶす!ぶすぶすぶすぶす!どうしてこんなときに限って。こんな惨めな思をするなんて。恋のときめきなんか微塵もない。恋じゃない。生地獄よ。そうよ、この恋は地獄だわ。叶わないと分っている。でも、覚めたくない!彼が欲しい!どうしても欲しい!伶門ではなかった。ママが正しかった。私は大馬鹿者だ。こういう感覚を知らずに一目惚だなんて。本当にポリーちゃんだ。よく言ったものね、ポリーちゃん、おねんねポリー。何も知らないで。十七才の子で知るなんて。恥ずかしい。穢らわしい。彼にも坊にも顔向できない。何度赤面したことか。彼の顔がまっすぐ見られなかった。厭らしい。こんな私を知ったら、彼はどう思うだろう。私じゃない。体が勝手なことを、私に断なく、勝手に。馬鹿な馬鹿な器官。穢らわしい。でも、彼が欲しい。欲しい。欲しがっている証拠なんだ。どうにならない。どうしても彼のことを考えてしまう。考えるだけで穢れる。恥ずかしい。私じゃない。でも、これが現実なんだ。ポリーちゃんが知らないだけなんだ。この年になって、ずっと年下の彼に対してなんて。私こそ一番穢れている。隣に座るだけで変になる馬鹿。頭じゃないんだわ。心じゃないんだわ。体なんだ。胎が彼の赤ちゃんを欲しがっているんだわ。何が赤ちゃんよ。何が胎よ。とぼけないでよ!生殖器が、私の生殖の器官が、彼の器官を欲しがっているのよ。それが事実よ。何が悪いの?それで良いんだわ。器官が、彼のそれに種を植えてもらいたいのよ。赤ん坊の種じゃない。だから良いのよ。頭で考えるとおりに、心で思うとおりに、器官が器官を迎入れる準備をしているだけよ。私は、鎌田滋子は、喜多野拾遺の赤ちゃんが欲しい。種が欲しい。器官はそのとおりに、彼の種を植えてもらおうと反応しているだけよ。自然の生理現象よ。月経と同じよ。でも厭だ。頭で分っていてもやっぱり穢らわしい。彼に対して恥ずかしい。目が見られない。あの澄んだ目。彼が芸術の話をしているのに、彼はともに心を高めようと高尚な話をしているのに、私は上品ぶった顔で、いかも聞いている振をして。厭だ。そんなことは許せない!いっそこんな所なんか切取ってなくなってしまっていい。厭だ。切取りたくない。彼に植えてほしい。抱いてほしい。彼に抱いてほしい!私は狂ってしまった。十七才の彼に対してこんな穢らわしい思を抱くなんて。でも植えてほしい。気が違うほど抱合いたい。ひとつになりたい。赤ちゃん、彼の赤ちゃんを身籠りたい。貴方の赤ちゃんを身籠らせて!どうにもならない。この思だけはどうにもならない。狂おしいほど、息苦しいほど辛い思だけれど、消えてほしくない。思に支配されていたい。息苦しいほどいとおしい!私は狂っている。狂ってしまった。何が上品なお姉さんだ。何がか弱い乙女だ。淫売!淫売よ。最低だ。穢れている。でも、どうにもならない。もう、どうしたくもない。淫売でも売女でも良い。彼が欲しい。喜多野拾遺が欲しい。毛茫々でまっくろけで胎から下りてきた血液が滲んで気味悪くてぬらぬらとお尻の穴に垂込んで厭らしく固く脹みだしておしっことうんちと血とあと何の臭だか分らない厭な臭のまじった臭のする臭い臭い臭い所に、彼の種を植えてもらいたい。胸が悪くなる。お茶が飲みたい。苦いお茶で口の中を清めたい。でも良い。清めなて良い。穢れていても今すぐ植えてほしい。いますぐますぐ。生ゴミのゴミ溜のようになった所に、今すぐにでも植えてもらいたい。赤ちゃんにならなくても良い。ただ気が違うほど抱締合えれば、それで満足だ。これが偽らない、正直な気持だ。今すぐ、彼に、それがしてもらえれば、あとは、何がどうなったっていい。我慢する。肉を食千切られる痛位は我慢する。でも、彼の根っこと激しい抱擁だけは我慢できないいいい!どうしよう。どうしよう、私、狂っている。こんな女だと知って、あの子が逃げないわけがない。何もかも祥子が正しかった。でも、わたしは祥子とは違う。祥子がすることなんか、絶対しない。書きたくもない。穢らわしい。私はしない。でも抱いてもらいたい。彼が欲しい。狂いそう!私、しちゃいそうだ。したくない。でも知らないうちにしちゃうのかもしれない。何も聞かなければ良かった。祥子が私の手を取ってさせそうだ。厭だ。あんなことは知りたくなかった。あんなに軽蔑していた行為なのに。でも、体が勝手にしてしまったらどうしよう。勝手にすべすべするように、寝ているあいだにしてしまったら。今晩寝ているあいだに、勝手にしていたら。して辛くなくなるのだったら、楽になるのだったら、わたし、いつの間にか祥子や登志子やヨシ江と同じ仲間になってもいい。何もかも彼女達の言っていたとおりになっている。でも、万が一にも、そんなことをしたら、私、もう彼の顔が見られない。絶対に見られない。でも何もせずにいると気が狂いそう!黙って何もせずになんかいられない。昔の体を返して!厭だ厭だ、醜い肉の塊。綺麗な清々しい体に返りたい。こんなけがらわしいものは要らない。でも彼だけは欲しい。欲しい。抱いて。赤ちゃんが欲しい。私の赤ちゃんを抱かして。神様私はどうなるのですか。何が欲しいのかも分りません!何かが欲しい。私は醜くなった。今日電話があったらどうしよう。会えない。顔が見られない。溝水に汚れた体では彼に会えない。臭い生殖器では会えない。吹出物の顔を見せたくない。恋しい。恋しい。一目惚なんかじゃない。そんなポリーの遊じゃない。汚い汚い臭い穢れた呪わしい罪だ。罪だ罪だ罪だ。私は穢れた淫売だ。どうにもならない。助けて。恋しい。いとおしい。いとおおおおしい。死ぬほど。愛している。私を救って。貴方の清らかな目で救って。好き好き、貴方の為に死にたい。苦しい。もっと狂わせて。もっとすべらせて。欲しい。気が違うほど発狂するほど抱合って抱締合って接吻しあって貴方の根っこを奥まで奥まで一番奥まで突入れて其処にしっかり根付かせて貴方と私は永久にひとつになって貴方の種を私の中に植付けて赤ちゃんになって貴方の赤ちゃんを身籠らせて。産まして。赤ちゃんが欲しい!ほしい、ほしい、やっぱり欲しい。私を道具に使って、でも愛して、ひろおき君一度でいいから私と抱合ってくれたらあとは私どうなってもいい!愛して、私を愛して。貴方が欲しいの。ほかは何もいらない。ぜんぶ捨てます。でんわちょうだい!はやく!!!!

滋子の手書き原稿に忠実な翻字は以下で

https://db.tt/DHRU0HSZ


目次はこちら

http://db.tt/fsQ61YjO

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ