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己 呂 武 反 而   作者: https://youtube.com/kusegao
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6/30(木)晴 10a.m.

   さあ、いよいよ今日ですよ。今日、可愛い可愛いシュウ君が来ますよ。坊は、朝から落着かなくて大変です。何しろ、今晩、当宿におとまりですの、おほほほ。私も落着きません。パパ以外で泊る男性は初てなんですもの。そわそわ、そわそわ。どうしましょう。でも、シュウ君は男性というより、坊やと言った方が良いわね。こんな物を書いている場合じゃありません。さっき京都から電話がありました。もう、新幹線に乗って、こっちに向っているのです。どうしましょう、どうしましょう。1時半には着きますよ、きっと。私、どんな顔で迎えれば良いかしら。きっと赤面しちゃいそう。坊とシュウ君が見合うところなんか、見ていられない。どうしましょう。私も惚れているのかしら、きっと、多少。大丈夫よ!でもほんのちょっと惚れちゃったかな。もん君の千分の一位。でも、それ位じゃないと、私の大切な大切な坊とデートなんかさせられないでしょう?もっと惚れたかな。百分の一位かな。だって、あんまり可愛くて、小さくて、色が白くて、優しくて、ジェントルマンぶっていて、そのくせ、まるでプリンチペ様みたいに澄ましていて、とにかくタイプなんだもの、仕方がないでしょ?焼いている?焼け、焼け。どうして最近出てこないのよ。目がシュウ君の方に向いちゃうぞ。出てきなさい。ゆうべなんか寂しくて、ベッドに入って泣いたんだぞ。もん君のことを考えて、もん君だと思って、枕を抱いて寝たんだぞ。様みろ。何してんのさ。私を放っておく気か、君は。今日は思切って抱締めちゃおうかしら、シュウ君。このあいだなんか、本当に、ぐっと堪えて、握手でとめたけれど、堰が切れたら、何をするか分らない。きっと、彼が窒息する位抱締めて、額に何発もお見舞するわね、きっと。私って、そういうところがある。いじらしいなとか、可愛いなとか、健気だなとか、感激すると、もう、いつの間にか頬擦しているんだもの。そんな気にさせる男の子、シュウ君だけ。私、よっぽど惚れているな。どうしよう、どうしよう。もっと惚れちゃいそうだな。今日はきっと赤くなっちゃうな。私、愛しているからな。でも、大丈夫。伶門の愛しかたとは違うもの。ちょっとだけ同じかな。おおい、焼いてるか。早いとこ止めた方が良いぞ。私、止らなくなっちゃうぞ。ひょっとしたら、キスしちゃうぞ。様みろ。どうする、伶門君。君が悪いぞ。ここに凄い美人がいるんだぞ。中々いないぞ、こんな美人は。君の為にみんな断ってんだぞ。知っておろう、わらわがグラマーを。英文法じゃないぞ、ええ別嬪だと言うておる。でも、君はそういうことには興味がないか。英文法の方か。そうだったな、情ないやつだ。君みたいな男は初てだったぞ、英文法でない方に興味を示さなかったのは。でも、そこが好き。愛しちゃった。だから出てこーい。出てきやれ。抱いてたべ、抱いてたべ、ついでに食べて、体に入れて、ずうっっと出すな。ひとつになってたべ。わらわはひとつになりたい。抱いてたべ。抱いてたべ。食べてくれろと言うに。ひとつになってくれろ。入れて、出してくれるな。なぜ出した。恨むぞえ。なぜ食べぬ。持っていってはくれぬ。わらわは馬鹿を見たぞ。わらわばかりではない。パパもママも。良いか、泣いているのよ?私はこれを書きながら泣いているのよ?ねえ、もん君。紙が涙で濡れているのよ?見ている?こんな可愛い女がほかにいるの?答えなさいってば。どうして黙っているのよ。私をこんなに泣かせて、美人が又台なしでしょう?もん君、私を愛しているのよね、何を言っているんだろ、馬鹿だわ、私。愛しているに決っているわ!愛している、愛している。私ももん君を愛している。一番愛している。誰よりも愛していると言うのと同義なり。貴方もそろそろ出てきなさい。面と向って言って頂戴。そしたら、私のハートは又貴方にかっさらわれて、私は貴方の生捕よ?大丈夫、落着いてきた。もん君はいつも私の上にいるものね。大丈夫。でも、さっきは危かったぞ?もう少しで、大声を出して泣くところだったぞ?私の大声なきを聞いたことがないだろう。何しろ、あのパパ譲だからな。家が引繰返るぞ?坊が驚くだろうぜ、へへ。おい、聞いているか、伶門君。滋子という女は一筋縄ではいかないぞ。しっかり手綱を締めて掛れよ。むふふふふ。持てかたが半端でないことは知っておろう。何しろこの顔だ、この裸だ、ま、そんじょそこいらの女とは勝手が違う。君はそう思わぬかな、え、むふふふ。子供だって五人や六人は軽くいけるぞ、この腰を見なさい、え、赤ん坊生産機だ、え、むふふふ。怖気付いたな、お主、その痩せっぽちでは勝負にならぬと見て逃出したか、え、だがな、探そうと思えば、かわりはいくらでもいるぞ、え、中には、二枚目もいたぞ。森田、おっと、あいつは良いや、あいつはどうしたって願下だ。おれは持てるんだぞ、分っているだろう、おい、君。バイロン卿にして、ちょっとお辞儀をすればあのとおりだ。ちと、今日はからかってやろうかな。いや、からかっているんじゃない。あの子のことを考えると、私変になっちゃう。タイプなのね、自分で思っているより。目があったときから何か普通ではなかった。どうしよう、どうしよう、もうすぐ来ちゃう。きっと赤くなるな。ばれたらどうしよう。逃げちゃうかな、逃げるな、きっと。こんな大きなお姉さんがおっかぶさってきたら逃げちゃうな。私が小さくなれないかな。何でこんなにでっかくなっちゃったんだろう。パパのせいね。ママも大きいし。無念。遺伝だから言っても仕方がないか。でも、私はO.K.よ、おちびのバイロン君、いらっしゃい。駄目駄目、おちびだなんて。そんなの関係ない。とにかく素敵。彼は気にするかな、こんなにでっかくて、年上で、いくらええ別嬪だって彼には通じないだろうな、あんなに澄ましちゃっているから。彼も英文法の方だな、きっと。だから惚れちゃうんだ、私。もうええ別嬪でもないか。でも顔だって坊に負けていないぞ。駄目か、でかすぎらーな、いくらなんでも。あいつ何センチだ。65もないな。何とか伸びないかな。もう止ったかな。身長なんか関係ないんだけどな、私は。でも、目方だって大分勝っているぞ、これは。こんなに摘めちゃーな。仕方がねーや、赤ん坊生産機なんだ、こっちゃ。じゃ、駄目だ。あのちびめ、窒息するな、きっと。でもいとおしいな、抱締めたいな、キスしちゃいたいな、どうしようかな。どうしようかなって、あんた、何考えてんのよ、あの子は坊のものでしょう!駄目駄目、絶対に駄目。でも好き。どうしよう。本当に惚れちゃった。本当に愛している。彼じゃなきゃ駄目。ざまあ見ろ。悔しかったら出てこい。お前が悪いぞ、え、もん蔵、もん助、このぽん助。何をしているんだ、だから言わないこっちゃない、惚れちまったじゃないか。どうしてくれるんだ。おれはまだ24だぞ。一生後家を通すのか。おい。どうしてくれるんだ、まったく。赤ちゃん、貴方の赤ちゃん、私の赤ちゃん、欲しい。産ませて。ああ、どうしよう、又涙が出ちゃいそう。おい、何とか言え。ざまあ見ろ。私が窒息する位抱いて、キスしろ。できぬと申すか、や、これ、ぽん耡、種籾をよこせ。それも出来ぬと申すか。では仕方がない、ひろおき様に乗りかえるとするか。彼の赤ちゃんも可愛いだろうな。彼がまだ赤ん坊だ。可愛い。欲しいのかな、彼が。どうしよう。本物になってしまうぞ、これは、下手をしたら。もう十分の一位かな、もっとかな。とにかく、私はあの坊やが好きで好きで仕方がないのであーる。相当なもんだな、これは。どうすべーよ、ほんどうぬ。おらは惚れちまっただ、惚れちまっただよお!すきだよおおお!喜多野拾遺。喜多野拾遺。素敵。優しい子。優しい子。何て優しい子。可愛い子。食べちゃいたい。どうしよう。これは恋煩じゃないか。何のことはない。正真正銘の恋煩であーる。おおい、ぽん助、聞いておるかあ、コイワズライをしているのだぞ、お前の滋子、可愛い可愛い滋子がコイワズライだぞ。それで良いのか。何とかしろ。お前のときと同じになっちゃったぞお、もう知らないぞお。どうしよう。もう来ちゃう。どうしよう。でも好き。もん君。ああ、パパと行っていれば良かった。いや、違うな。正直になれ。彼が来るから行かなかったんだ。何で、私って痩せっぽちにばかり煩っちゃうのかな。でも、可愛いんだもの。品があるんだもの。十分の一じゃないぞ、これは、100%になっちゃってるぞ。ほら、だからなっちゃった。もう私は彼のものになっちゃいました。 Done. 完了。こんなことを書いちゃって良いのかしら。私のこと、どう思っているかな。相当以上に厚かましい、変なお姉さんだと思っていやしないかしら。品のないことを言っちゃったな。下品なお姉さんだなんて。本当はそうではないのに。全部お前のせいだぞ、ぽん助。どうしよう。又無理やり自分のものにしちゃうのかな。厭だな。坊はどうするの。駄目駄目、坊も愛している。坊は妹だ。彼とは兄弟のようにするんだ。展開がおかしい。ヒギンズは置いてけぼりを食うんだ。でも厭だな、もう置いてけぼりは。厭だ厭だ。私は彼が欲しい。鎌田拾遺。もん君、何とかして。どうするの、私。実現不可能よ、第一。彼はまだ十七じゃない。まだ子供よ。そうだ、そうだ、まだ子供じゃないか。でも、抱締めたい。キスしたい。愛している。私のものにしたい。どうしても彼じゃなきゃ駄目。ああ、あれは一目惚だったんだわ。何て私は馬鹿なんでしょう。ずっと坊をだしに使っていたなんて。そんな馬鹿な。そんなことはない。どうして坊をだしになんか。私は坊を愛している。でも、一目惚だった。彼が赤面するのを見て、私は彼のものになっちゃったんだわ。どうしよう。来たらどうしよう。もん君。坊にばれそう。もう知っているのかもしれない。知っているんだ!きっとそうだ。だから、あんなに遠慮するんだ。かわいそうに。あんなに赤面したり、否定したり。あれは、私の心を見抜いて、気兼していたんだ。そんなことが分らないなんて!今は彼女も惚れている。自分でもはっきりそう言っている。私がそうさせたんだわ。馬鹿。馬鹿よ、まったく。どうしてそんなことを。ああ、もう分らない。でも、はっきりしている。私は彼が好き。息苦しいほど好き。それが今分るなんて。 Come to me, little George, my beloved. Well done, Mephisto! A lady's boy, eh? She's been dancing to your tune all along. どうしよう、どうしよう。本当に来る。でも愛してもらえるかな。愛してもらいたい。ばれたらどうしよう。ひろおき、私のものになって。

滋子の手書き原稿に忠実な翻字は以下で

http://db.tt/M2nc69Pb


目次はこちら

http://db.tt/fsQ61YjO

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