パパも気にしだして、淋しいことだけれど、風呂に入るのだけは、もうやめにしようかと言ったりした。でも、私は、あんな人より、パパに愛してもらいたい。私は、パパが、誰よりも大好きと言って、かえって、毎日一緒に入るようになった。「滋子は美人だ。滋子は優しい、良い娘になった。」と言ってもらう方が、誰に、何を言われるよりも自信になった。みんなみんな、私とデートする人は、パパとの関係を、良く思わなかった。私は、それならそれでも別に構わない。でも、伶門だけは別だった。彼は、私が一目惚したのだから。彼に嫌われたくない。何が何でも分ってもらう。いずれ知れることだから、自分から言った。すると、彼は、もう、誰かに聞かされていた。全然気にしないと言った。パパと、むしろ、どんどん仲良くしてほしい、パパにならちっとも嫉妬しない、僕は、その話を微笑ましく聞いた、いかにも滋子らしくて良いではないか、外出するときは、もっと腕を組んで歩いて、人目など気にせずキスしたら良い、滋子を愛することは、滋子のお父さんとお母さんを愛することだよと。彼はそういう人だった。やっぱり、私が選んだ人、私が一目惚に惚込んで、私をぞっこんにさせた人。伶門とは、そういう人なのである。
6/27(月)の記事は続きます。[編者]
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