6/27(月)曇
一昨日、パパとママが、又、不意にやってきた。いつも、電話もなしにやってくる。晴間を利用して、テテマロの散歩に、坊と出て帰ってきたら、パパは、パーラーで、パイプを燻らして、迷惑なことだった。ママはキッチンで動回っていた。坊のことは、手紙で、およそ知らせてあったし、電話での挨拶はすんでいたけれど、対面は初てだった。パパもママも、当然、坊が、ひと目で気に入った。パパの迫力に押されて、最初は呆気にとられていたけれど、結局、パパに懐かない人はいないから、坊も、すぐに笑わされていた。私が、あまり、うしろから抱付いたり、くちづけしたりするので、ママは、由加里ちゃん、迷惑でしょう、この子、図体ばかり大きい甘えん坊で、年下の女の子を見ると、ぬいぐるみと勘違する癖があるのよと言って呆れ、パパは、久しぶりだ、私も、滋子様にキスして頂きましょうかと言って、髭だらけの頬を出したので、パパの胸に飛込んだら、溜りに溜っていた涙が溢れてきて、声をだして泣いてしまった。ガーバー神父に、背中を撫でてもらった日から二箇月間も溜っていた涙だった。思えば、伶門がいなくなってから、息がとまるほど抱締めてくれる人がいなくて、でも、パパにしてもらうのは、顔を見ると、やっぱりかわいそうで、自分から遠慮していた。坊が見ているのも忘れて、おいおい泣いた。坊は、定めし、不思議な光景を目のあたりにしたことだろう。でも、分ってほしい、私は、両親が、誰よりも大好きなのである。私は、溺愛されて育った。この事を、誰にも隠す必要はないのである!
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