「僕なんか、小さいときに、空手ごっこで、瓦を割って、此処、何針も縫いました。」と、袖をまくって見せた。確に、縫痕が、盛上ったよう。「このあいだも引繰返って、同じ所を捻挫したんですよ。」と言って、ジョージ・ゴードンいわれのbruiseを摩った。何て誠実で優しい子でしょう。あれで、私、愛しちゃった。二人だけだったら、そして、シュウ君が女の子だったら、私、きっと抱締めて、あっちこっち接吻していた。涙を堪えるのに骨が折れた。絶対に、あの子を弟にするんだ。頑張る、私。(もん君+滋子+シュウ君+坊)=1。
坊が起出している。毎朝、えのさんを聞く。ああ、可愛いな、坊は。何て可愛い子でしょう。色が白くて。髪が真黒で。目がくりくりして。鼻がなだらかで。すぐ赤くなって。胸がぺちゃんこで。最近、太ってきて、ちょっと膨んできたようにも。ほっぺたも。何か、理由があるのかな。うふ。可愛い。どれ位膨ますのかな。そのうちに食べてしまうかもしれない。早くデートさせてやりたいな、可愛いシュウ君と。二人は手を繋ぎます。シュウ君は、左手にキスします。それから、あの、バイロンの顔で、愛を囁きます。坊の、可愛い可愛い口にキスします。二人ともファースト・キスです。二人は真赤です。うふふ。何を食べましょうか、今朝は。まずは、苦いお茶で目を覚しましょう。
滋子の手書き原稿に忠実な翻字は以下で
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