6/21(火)大変な雨で目が覚める 4:55 A.M.
あと、何があったかしら。色々あって、何から書いて良いやら。
そう、シュウ君の、本当に素敵なところ。坊と私のあいだでは、ひろおき君はシュウ君になった。コンサートが終って、NHKホールの出口で、私のうしろに隠れて赤くなっている坊を突出して、「由加里さんのこと、覚えていらっしゃるかしら。元町公園の水飲場で、手を洗わせて下さったでしょう。」と言ったら、「ああ。」と気が付いて、すぐ、手に目をやった。坊は、左手を、右手で隠した。その、又、動を見ていたシュウ君の、悲しいような、優しい表情が忘れられない。帰の電車では、シュウ君を中にして、三人並んで掛けた。私は、彼に、積極的に質問するのだけれど、彼は、消極的にしか答えない。「いつから夏休なの?」「今週の火曜からです。」そのかわり、彼は、坊に話掛けた。「あのときと、着ていらっしゃる物が違うんで、全然分りませんでした。おすまいは、あの近くですか。」「はい。滋子さんと一緒です。」暫く沈黙。「あのとき、拾ってくれて助りました。あとで、おなかが痛くなりませんでしたか。」「はい、大丈夫でした。」長い沈黙。「ご趣味はありますか。」「特に。」「嘘をおっしゃい。由加里さんは、音楽も好きだし、読書もするわよ?最近は、英語の勉強も熱心ね、なぜか。」シュウ君は、手を見た申訳なさに、一生懸命話掛けているのだ。元町のデニーズで、食事をしたけれど、其処で、意を決したように、「由加里さん、手の怪我はどうされたんですか。」と聞いた。いつ聞こうか、今が良いか、もっとあとにするか、でも、今晩中に聞いてあげなければいけない、何遍も、何遍も口に出そうとして、出切れずにいた。到頭、震える声で尋ねた。
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