6/20(月)雨
希望が見えてきたとあって、坊も、好きですと言うようになった。私に対して、気持を隠さない。「ひろおき君を、どう思う。」と尋ねたら、照れながらも、「素敵な人です。でも良すぎる。」「何が。」「全部。」「それはまた。」「誤解です。そうじゃなくて、私には良すぎます。二枚目過ぎます。」「坊が贅沢よ。」「お姉ちゃんが言いました。男は顔じゃないって。」「そうよ。二枚目だろうが我慢なさいよ。」「顔だけじゃありません。ひろおきさんは上流階級です。」「笑っちゃう。考えかたが1883年よ。本人よ。ひろおき君本人を、どう思うの。」「素敵な人です。」「お姉ちゃんが正しかったでしょう?坊、ひろおき君が好きでしょう。」「好きです。」「好きで好きで仕方がないんでしょう。苦しいんでしょう。」「はい。」「お姉ちゃんが付いているから、大船に乗った心算でいなさい?きっと、ひろおき君と、二人きりでデートさせてあげる。苦しいときは、お姉ちゃんに抱付いてごらん。お姉ちゃんも、ママにそうした。坊は、二人きりでデートしたいでしょう。」「できない。お姉ちゃんが付いてきて。」「それも1883年よ。彼にキスされたいでしょう。」「ははっ!」「坊は、誰かとキスしたことがある?」「あります。」「あるの、そんなの。お姉ちゃん以外とよ?」「ありませんでした。」「ひろおき君もないわよ?お姉ちゃんの直感。きっとない。楽しみだな。ファーストキス同志ね。」「ははっ!」「坊がお姉さんなんだから、坊からしちゃいなさい。ひろおき君からは、きっとしてこないわよ?」
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