4/3(日)
朝九時に、由加里がやってきた。朝食を作って待っていた。起きたのは七時半。昨夜は、先週の書きものが終らなくて、床に就いたのは、五時を過ぎていた。書きものを終えると、頭が冴えて眠れなかった。結局、目を開いたまま、由加里の電話が鳴るのを聞いた。
家を出る前に、彼女が電話をくれる約束にしてあった。掛ってきて起床した。それが七時半。
只今9時36分。勿論夜の。つい今し方、20番のバス停まで、坊を見送ってきたところ。
今日は、彼女と、まるまる一日共にした。良い日。満ちたりた日。もん君も喜んでくれる日。とても楽しい日だったけれど、始終緊張していたから、今はほっとしている。
ここは客間。ソファーにもたれて、これを書いている。
目の前のテーブルに、アールグレイの入ったポット。それに、ティーカップと、受皿が、二組あるのは、坊のと、私のと。坊は、半分飲残していった。喜 久家の折箱。中から出てきた、ラム酒のお菓子が、一個ずつ、小さな、金のフォークを添えて、二人分取分けてある。でも、彼女も、私も、お菓子には、手を付 けていない。
なぜかしら、坊ったら、あの子は、いつも、喜久家のお菓子を食べずにしまう。今日は音楽に聴入っていたから。(終楽章では、あの子は、涙を流していた。)この前は、オレンジジュースをひっくりかえしたから。
そうだ。あの「ひっくりかえし事件」のことは、まだ書いてなかった。「事件」だけではない。ほかにも、書いてないことが、沢山ある。近いうちに纏めなければ。
とにかく、次にやってくる水曜日は、又、この店のお菓子を買っておこう。今度は、必ず食べさせたいから。お菓子だけじゃない。沢山、美味しい物を教 えてやろう。色んな店に行ってみよう。デニーズのラムチャップも、あの子と行けば、一人で食べる侘しさが紛れるかな。喜久家といえば、あの二階にも、坊を 連れていきたい。私には、楽しいことになりそうで嬉しい。
あの子に、栄養を付けてやりたい。十八の子が、あのように細くてはかわいそうだ。知れば、知るほど可愛い子なのに。服も贈ってやろう。誕生日が来月だと言っていた。
先週の何曜日かな、着ている物のことで、変なお世辞を言ってしまった。いや、この事も、あとで、纏めて書く。
でも、あのときは、坊を傷付けたかもしれない。今日、さりげなく、香水をおくって、あれは、良い方法だった。夕食がすんで、ソファーに落付く際、何 気ないふうに、ちょっと付けてやった。きょうまで、あのような臭をして出歩いていたとは、本当に、居たたまれないほどに気の毒。
あー、今日の良い日について書こうと思うのに、頭がはっきりしなくて言葉が出てこない。此処まで書いてきて、何が言いたかったのだろう。地離滅裂、 自分ながら分らない。休むべきなのね。きのうから、頭が、活動しどおし。でも、まだ続けられそう。きっと眠れやしなもの。書きたいことは、沢山ある。そう じゃないわ、書かれたいことが沈殿している感じ。胸の中に、沢山のことが書かれたいといるのに、文字への現れかたが見いだせない。正体はよく分らない。おぼろげ。けっきっく、何が書きたいのかも分らない。ただ胸のちかえがあるばかり。つれている。つい八王子まで眠ったときの、あの耳鳴。ちっと熱がある。由加里。かわいそうな由加里。
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