いつも復習しているから早い。それもあるかもしれない。部屋では、いつも勉強しているから、外に出てきたとき位は、息抜したって構わない。朗読には、聖書はやめた。初は、坊は、文章というものを読んだことがないと決めて掛っていた。だから、聖書を使ったのだけれど、一週間で読んだと言うので感心していたら、実は、物凄い読書家だった。外国の小説が大好きで、特に、ロシアの物を好むようだ。アンナ・カレーニナだとか、戦争と平和だとか、長い物を、じっくり、丁寧に読んでいる。このあいだは、夜遅くまで、カラマーゾフ兄弟を読んでいた。「滋子お姉ちゃんは読みましたか。」と聞くので、読んだことがあると言ったら、すぐに、何か、内容のことで質問してきた。どういう質問だったか、今は思出せないけれど、登場人物の視点と作者の視点が混同されているのではないかというような、とにかく、ちゃんと読まないと出て来ない質問なので、私は答えられなかった。高校にも行かれずに、すぐに働きに出なければならなかったのに、そんなふうに、色々なことに、興味を持って努力している坊が、本当に健気で、いじらしくて、涙が溢れてきた。一度なんか、「何でも教えてください。私、一生懸命に覚えます。」と言った。書いていて、又、涙が出てくる。私は、あの子が可愛くて仕方がない。本当に食べてしまいたい位だ。
6/13(月)の記事は続きます。[編者]
滋子の手書き原稿に忠実な翻字は以下で
http://db.tt/wiixYXDN
目次はこちら
http://db.tt/fsQ61YjO