でも、それからは、舌と舌で、小鳥の嘴のように、ちょこんとつっつきあうのが、挨拶の締括になった。ただ、抑切れないときは、全部、挨拶の最初から繰返す場合なきにしもあらず。坊が可愛くて可愛くて、今も書きながら、涙が出てくる。何とか、バイロンとデートをさせてやりたい。かわいそうに、十九になって、まだ一度も、そういう、女の子らしい経験がないなんてことがあって良いはずがない。本当に可愛い顔をしているのに。このひと月で、三キロ増えた。その分だけ、ブラジャーも小さくなったかもしれない。目標あと四キロ。161センチの50キロ、さしものバイロンも振向かないはずが。バイロンめ、待っていなさい、きっと振向かすから。もん君も何とかしなさい!貴方の妹でもあるのよ。
標準語のレッスンは、以前ほどはしていない。例えば、今日は、このあとで、お茶を飲んだら、一時間か、二人の気分次第で二時間位まで朗読をする心算。でも、ひょっとしたら、テテマロと遊ぶかもしれない。ライフ・ゲームをするかもしれない。いつも気分次第だ、夕食までの時間は。それで良いと思っている。私と会話しているだけでも、抑揚の付けかたは覚えられるはずだ。もっとも、そういう私だって、標準語に、それほど自信があるわけではないけれど。とにかく、私ができる位には、坊も、すぐにできるようになると思う。何といっても、耳が良い。英語の覚えかただって、とても早い。"vacation" "every day" "says" "said" "watched"補講で見ていた子達でも正しく言えなかった語を、坊は、二度聞けば、確実に覚えてゆく。
6/13(月)の記事は続きます。[編者]
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