「いつ見たの?」「昨日も見ました。テテと一緒に。」「昨日の朝?」「元町公園を散歩させていたら、走って、学校の中に入っていきました。」「ジョージ君っていうらしいわよ?日本語が分れば良いんだけれど、日本人じゃないようね。いつから思っているの?ジョージ君のこと。」「思っていません。お姉ちゃんが、変なことを言うからです。」「お姉ちゃんのせいで好きになったの。だったら、お姉ちゃんの手柄ね。坊、あの人にしなさい。お姉ちゃんが手伝ってあげる。」「滋子お姉ちゃんが、そんなことばかり言うからです。私は何も言ってません。」「坊も賢くなった、惚れたのを人のせいにして。いつから惚れたの?」「何か、お姉ちゃんは無理やりです。」「無理やりの恋か。しょっちゅう考えているんでしょう?よく見掛けるようになったのはいつから?」「覚えていません。劇のあとです。お姉ちゃんのお家に行く途中だったり、帰るときだったり。お姉ちゃんのせいです。変なことを言うから。」「坊の言いかたは逆様よ。お姉ちゃんは、坊の考えていることが分ったから言ったんじゃない。間違っていた?」「でも、お姉ちゃんがあんなことを言わなかったら、何でもなかったんです。」「お姉ちゃんが、変なことを言ったもんだから、気になって仕方がないんでしょう。見掛ける度に知らんぷりするんでしょう。でも、見たくて仕方がないから、テテを連れて散歩に行く。どうじゃ、まだシラを切るか。もはや言逃れぬところと観念致せ。」「お、恐入りました。」「ん、お姉ちゃんにも情はあるぞ。」
6/6(月)の記事は続きます。[編者]
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