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5/30(月)曇
許した。問詰めるまい。診察がどんなだったかを知ったところで、何も変りはしない。あの子にも常識はあるのだ。羞恥心は、ちゃんと備っている。信じてやるべきだ。
午後四時二十分。仮病を使って、一日、室内で暮している。
もうやめ。
出ていって、抱締めて、思切くちづけをしてこよう。朝から心配して、何度もノックしにくる。二度も、食事を運んでくれた。何処にも出掛けないで、気を使って、音楽だって掛けない。
馬鹿馬鹿しくなっちゃった。隣へ行って、あの御ちょぼ口に、思切熱烈なキッスをして驚かしてやるんだ。待ってなさい、本物のキッスの仕方を教えてやるわ。せいぜい、ジョージに応用することね。
滋子の手書き原稿に忠実な翻字は以下で
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