編者注:滋子の手書きでは、【▼○△○】の中の▼○△○はミセケチ。つまり、上から線が引いてあります。今後も【 】は同じ意味で使うつもりです。(天野)
5/23(月)
私のもん君
もう知っているでしょうけれど、坊と私は、同居を始めました。痣のことも知っていますね。私は、あの痣を、自分の身に受けて、あの子を、幸福に導いてやる心算です。そうなるようになっていたのですね。【見ていてください。】部屋に隠れて、こっそり、自分で、毛を抜くような、そのような、傷ましい事を、あの子に、決してさせはしません。まして、男になんか抜かせるものですか。私が抜いてやります。あの子に、そういう必要が出来たら。いつかは分りませんけれど、一年後か、二年後か。その必要が出来たようなら、この上もなく美しく、しなやかな瞬間を捉えて、私は、あの子の痣に接吻し、あの子にも、私の胸に接吻させる。そして、痛くしないように、上手に抜いてやります。毛さえなければ、あのようなお乳があっても良いのです。男の人は、どう見るか分りませんけれど、女の私には、痣も、ある種の魅力になると感じられます。ただし、毛さえなければ。ですから、手術を受けることはありません。医者にも連れてゆきません。そのように決めました。毛のなくなった、綺麗な痣を見る男性は、一人いれば良いのです。その一人も、勿論、私が見定めます。乳房に接吻しあう以上は、その一人を加えた私達四人は、兄弟姉妹になるのですよ。接吻のときには、私は、痣がなめらかであることを確めます。私以外には、それのできる者はいないのですから。左の乳首を口に含んでみなければなりません。もん君なら分ってくれますね、世界中の人は理解できなくても。
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