森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森森
前回、ディードは熱い激闘の末、強敵だったヨグヨグを倒し二人は固い友情に結ばれた。
「なあ、おかしくないか? 」
鬱蒼とした森を歩きながら、ディードは怪訝な顔になる。
「なにがです? 」
フレイヤが首をかしげる
「いや、だって俺たちは速度の概念を超えた速度で歩いているはず、なのになんでいつまでたっても森なんだ? 」
ディードがそう言うと
「まあ、でしょうねこの世界には、私、ディード、ヨグヨグ、森しかありませんから」
シレっととんでもないことをフレイヤが口走る
「はああああああああ!!!???? じゃあ、あれか俺たちは意味もなく歩いていたのか!? 」
怒りが炸裂した声が森を揺るがす。
「意味……そもそも意味ってなんですか? 行動の必要性というのであれば、そもそも必要性とは何かですよね、人には目的というものがあります、例えですね、お金が欲しい、長生きしたい、誰かの愛が欲しい、などです、その目的をはたすために必要な行為が行動の必要性です、つまりディード、あなたが言う意味とは私の予想では森を抜け、街に着くことですよね」
フレイヤはディードの方を見る
「ああ、そうだよ」
ディードはイライラした様子で、そう返す
「では街について何がしたかったんですか? 」
フレイヤはそう、質問する
「いや! 森にで寝ろって言うの!? 」
ディードはかなりイラついた様子になる
「そう、あなたの言う意味とは、森で寝た場合、とても不快だから街で寝たいということ、しかしこれに意味、行動の必要性はありますか? そもそも必要とは必ず要るということ、森で寝ても絶対的に眠れないということはありません、つまり街で睡眠をとりたいといことは必ず要ることではなく、自分が不快な思いをすることを軽減することです、言ってしまえば贅沢の範疇にあります、つまりディード、あなたはただ森をあることの意味の無さを憤るのではなく、自分を不快にしたことを憤るべきではありませんか? 」
フレイヤがネチネチと言ってくる
「ああああああああああ!!!!!! てめえの屁理屈なんざ聞いてねえんだよ!! 」
ディードが今世紀最大の怒号を張り上げる。
「まあまあ、怒らないでください、もうじき『サクシヤ』のから神託があるはずです」
フレイヤが落ち着いてやんわりとそう言うと
突然
「今から、街を作るから、その街でクイズ大会が開かれるから、見事優勝し賞品の『堕天使の奏でる福音のトランペット』を手に入れてもらう」
『サクシヤ』の神託が降りてきた
「うお! 森が街になった!? 」
ディードが度肝を抜かれていると
「森? 何言ってるんですか? 」
フレイヤが怪訝な顔つきになる
「きっと、森の歩き過ぎでおかしくなっているんだよ」
ヨグヨグが少し心配そうな顔をする。
「…………あ……ああ、そうだな森の歩き過ぎで少し疲れたんだ」
僅かな間、沈黙した後、ディードはそう言う
きちんと、森を抜け街に着いた記憶があるのに、いきなりなんであんな訳わからんことを言ったのか。
ディードは謎の勘違いに赤面してしまう
「まあ、とにかく我たちは冒険者を続けてそこそこだけど、まさか『七つ欠片の秘宝』の一つである『堕天使の奏でる福音のトランペット』が手に入るチャンスがあるなんて、絶対逃さない! 」
ヨグヨグが気合の入った声でそういうのも無理はない、『七つ欠片の秘宝』とは、かつて神話の時代、『黄金の時代』と呼ばれた頃のものである七つの物品だ、その価値は途方も無いものとされる。
「でも、世界各国から、最高の頭脳集団が出てくるんだぜ、俺たちじゃ勝ち目ないと思うけどんな……」
諦めた口調でディードがそう言いながら、ため息をつく
「まあ、そうかもしれませんけど、とりあえず参加だけしましょう、運がよければ手に入るかもしれませんし」
ポジティブな意見をフレイヤは言う
宝くじに一億回連続で一等が当たるぐらい運がよければ優勝するだろうけど、まあいいや
ディードはそう考え、とりあえず参加することに賛成した。
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「身分証明証を見せてください」
『七つ欠片の秘宝』という貴重な物が賞品なため、エントリーには身分証明証が必要となる
ヨグヨグとフレイヤは自動車運転免許証、仮免許の実技試験で落ちまくったディードは健康保険証を見せると
「はい、ではこの券を持ってください、開催は明日の朝6時からです」
受付のお姉さんが数字とQRコードが書かれた券を渡してくる。
「さあ、明日に備えて今日は早めに寝るぞ! 」
ヨグヨグはそう言ったので、今日は街の散策はせず宿に行き、三人とも九時に寝た。