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あなたの為だけに  作者: 夜猫
6/7

その五

「千雪や、お前、幾つになった」

「十六です、父様」 

 十六か、と父様は目を細めて笑う。

「お前ももう、立派な姫だな。千雪、この桜が散るころにお前を入内させようと思う」

 入内、帝の御元に参ること。

「もちろん、ただの世話役の女御としてではなく、帝の妃としてだ」

「はい」

「千雪?」

「あ」

 ぽとり、と流れ落ちたそれを見て、頭が真っ白になる。私は、左大臣家の藤原道長の娘。こうなることは予想出来ていたはず。わかっていて、この日が来るまではと、物の化と過ごしてきたはずなのに。頭では、理解出来ていたのに。

「申し訳ありません、父様。少し……驚いてしまったのです。帝は神に等しいお方。私に、務まるかと」

 行きたくない。

 離れたくない。

「帝とて、人の子。お前が心を込めて仕えれば、大丈夫だろうて」

 逃げられない。これは、この父の娘として生まれた宿命。

「あの……お願いが、ございます。父様」

「なんだ?」

「庭の桜を余所へ移して下さい。それから、私が嫁ぐまでの間、この千雪を清明様の元へ」


 そして、入内の日が来た。

ありがとうございます。

次でおしまいです。

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