同異しかない矛盾の世界
みんながみんな同じじゃない
人が人である事が
同じなだけ
ただそれだけなんだよ
○同異しかない矛盾の世界○
「すべて同じに見えたらつまらないだろ?」
真っ黒な部屋に似つかわしくない真っ白な服を着た少年が、
片手にはナイフを、
もう片方の手には小さなうめき声を発する『モノ』の襟首を掴んで立っていた。
後ろにはたくさんの切り刻まれた残骸。
少年の目の前には、少年を怯えた目で見つめる一人の男が座っている。
少年は、服と同じ真っ白な髪に灰色の瞳。
整った顔には冷たい微笑みが刻まれている。
「だから僕は此処を作ったんだ。僕の好きな事を思いっきりやるために。
君もこの楽しさを味わうために此処に来たんだろ?
でも、残念だったね。僕にとって君と言う存在は、つまらない存在なんだ」
鉄の匂いしかない部屋。
誰の血かもう分からないが、
『モノ』から出た血で真っ黒になってしまった部屋。
少年はそれでも尚、殺戮を繰り返す。
まるで、ゲームをするかの様に・・・。
「止めてくれ・・・・もう・・・・」
「弱いなぁ。だからつまらないと言ったんだよ」
既に何百人と殺された。
何処でそんなにもたくさんの人達を調達しているのか、全く検討がつかないが。
しかし不思議な事に、
少年の笑みは何時間たとうが全く崩れる事は無かった。
それが逆に、
男の恐怖心を煽っていく。
「君はね、僕にとっては一人の観客でしかない。
戯れたり、笑いあったり、お互いの悲しみを分かち合う存在じゃないんだ」
少年はそう言って、
男の顎を持って無理矢理少年の方を向かせた。
その顔には今までの笑みは無く、
無表情で男を見つめる。
「だからね、僕はいつでも君を殺せるし生かしておく事もできる。
君がすぐ死んじゃうと僕がつまんないから、
君はまだ生かしておいてあげる。
僕は良い子だからね。
だから・・・僕をちゃんと楽しませてね」
――――――さぁ、パーティの始まりだよ――――――
部屋に木魂するのは、客の歓声ではなく
たくさんの
断末魔
―end―
ちょっとホラー。
綺麗な男の子が、『モノ』をバラバラに。
少年はただ遊んでいるだけ。
それを恐れているのは、大の大人。
子どもは怖い。
残酷な事を平気でするから。
そんなお話でした。