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epilogue

 三人が城に着くと、国王と王妃が出迎えてくれた。

 広間で、今まであったこととついさっきの出来事のことを、王と王妃の二人に話した。そして、これからタクトは、城で暮らすことになった。アヤと同じ十四歳のタクトは、国立中央魔法学校へ転入することも決まったのだった。



 その日の夜、少々広すぎる一人部屋を与えられたタクトは、自分の部屋にあるバルコニーから夜空を眺めていた。しばらくして、タクトの隣にアヤが来た。


「どうしたの?」

「なんだか、落ち着かないんだ。いろいろなことがありすぎて。今でも、驚いているんだ。急に、これからのことが決まったから。住む世界が、思い切り反転して、ちょっと途惑っているんだ」


 タクトは夜空を眺めたまま、ゆっくりと答えた。


「そうだね。でも、嫌ではなわけではないんでしょう?」

「うん、ありがとう。すごく、感謝してるよ。アヤにも、アヤの周りの人達にも」


 タクトの声はゆっくりで落ち着いた感じがしたが、どこか嬉しそうでもあった。


「そう言ってもらえると嬉しいな。タクトを助けてよかったよ」

「うん。そのことも、ありがとう。でも、もう無茶はしないでほしいな」


 タクトを助ける際に、アクマからの攻撃をそのまま受けたことを指しているのだと、すぐに判ったアヤは、曖昧な表情を浮かべた。


「いくら僕を助けるためだったとはいえ、Aクラスのアクマの攻撃をそのまま受けるのは良くないよ」

「そうだね。今も、ちょっと辛いし…」


 あの時は必死になっていたから気付かなかったが、自分が思っていた以上に疲れていたようだ。

 術を中断してしまったら、もうタクトは救えないと、アヤは思っていた。だから、無茶をした。


「ゆっくり休むんだよ?」

「うん。おやすみ」

「おやすみ」



 数日後、タクトはアヤと同じ月組に転入してきた。そのことを、アヤはものすごく喜んだ。

 その日の放課後、アヤはお気に入りの丘を訪れた。


「久しぶりだな」

「そう? まだそんなに経ってないでしょ」


 一人ぼうっとしていると、クリスが姿を現し、アヤの隣に座った。


「そうかもな。タクトのこと、ありがとな」


 真剣な口調でクリスが言うと、アヤは少しうつむいて「うん」と答えた。


「お前がタクトを助けるって言った日、タクトはすごく嬉しそうだった。俺に話をしていた時も、ずっと嬉しそうにしていたんだ」

「…でも、遅くなっちゃた。もっと、早く助けてあげられればよかったのに」

「仕方ないさ。それを言ったら、俺の方が悪いに決まってる。あの日、結局俺が操ることになって、操ってたんだから」

「…なんとなく、そんな気はしてた。この場所に来るアクマは、少ないからね」

「そういえば、そうだったな。まぁ、タクトは助かったんだ。終わりよければ…ってことで」

「そうだね」


 草原を爽やかな風が吹き抜ける。

 もうすぐ春が終わる。




―――fin



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