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トゥ・オブ・アス

作者: 井田雷左
掲載日:2026/02/15

「トゥ・オブ・アス」


制作 ナノメリア

演出・撮影・編集 酉野菜乃

脚本・プロデューサー 安芽里亜

音楽 トリオ・ザ・トリノ

サブ・プロデューサー 青山ユキエ


スクリプター 高木彩佳

撮影助手 千田健三

サブ・ディレクター 星ヒカル

広報・美術 黒図ミヤコ


リュウ 室井虎丸

ハチ 相川あきら


黒銃 酉野呈良


狂騒曲 竹内先生

ドリーム 高木彩佳

バンK 住田賢二


王ネロ 彩翔


客の声・機械音声 千田健三


赤子 室井子猫

赤子の母 室井レーコ


ハチの妹 矢間りえか


ナレーター 河都野笛


ヴォーカロイド専門学校映像研の皆さま

映大レコンキスタ3回生・4回生・OBOGの先輩の皆さま


CG・アニメ製作 映大アニメ研究会スクラム

製作著作 映大レコンキスタ


●新宿歌舞伎町・夜

若者や酔客の叫び声や胴間声が夜のイカれた街に轟く。

リュウ、そんな喧騒を尻目に路地で酔いつぶれている。

電光掲示板のニュースが「ネット 復旧メドたたず」と告げている。


●新宿二丁目・夜

二階から下半身裸のハチが落ちてくる。

客の声「勃たないんじゃあ、使えないんだよ!」

マスターや客が無言でハチを見る。

その客に投げられたズボンを手に取り、急いではいて、ハチが店から出る。

女性のナレーション「全世界のインターネットはたった一枚のフロッピーディスクに仕掛けられたトロイの木馬でその全システムを休止させた、が、世界は何も変わらない。変わったことと云えば、ツムツムでなくゲームボーイが人気になったことくらい」

繁華街の夜景、河の静けさ、下町の団欒、海の眺望が外観される。


●新宿歌舞伎町・朝

元コマ劇場前広場でうなだれているリュウ。

そこに差し出されるエナジードリンク。

差し出した男の姿。

黒銃「まぁ、飲めよ」

リュウ、不承不承に受け取る。

プルトップで開ける音。

黒銃「この男を探している」

ハチの〈ハッコウ〉時代の顔写真を見せる黒銃。

リュウ「男娼になんか、なんの用事があるんだ」

黒銃「そんなことを言うなよ。本当は好きなクセに」

リュウ「バカ言っちゃいけない」

黒銃「あんたは探し物は見つかったのか、確か街のウサワじゃあ、ファライソを探しているんだってな」

リュウ「そんな場所はないし、そんな男もいない」

リュウ、そう云って立ち上がると器用にマンホールを開けて、地下へ降りていく。

黒銃、その咄嗟の行動に驚き、急いで自分もマンホールを開けようとするがビクともしない。


●都庁・朝

ハチ、汚れた服のまま、当庁する。


●都庁内・統括室

とはいっても都政を束ねる本部だというのに、荒廃している。

そこにIDをかざしてハチが入ってくる。

電源をONにし、PCを立ち上げ、周囲のディスプレイが稼働し始める、じょじょに明るくなる。

キーボードを叩き始める、ハチ。

機械音声「沖縄は米軍が全地域を戒厳令下に置いてますが、動きはありません。マクー・マドー連合が九州南部を占領していますが、北部のフーマ教導団と小競り合いを繰り返しいます」

戦争・戦乱の映像。

機械音声「四国はマットギャランによるゲリラ部隊に抑えられ、中国地方から関西地区にかけてはワーラー軍が、京都から中京地帯は妖魔一族が支配、バイオロンが北陸・東北を占拠しています」

戦争・戦乱の映像。

機械音声「中国は今、四つに分裂し、そのいずれも東北・満州と北朝鮮が結託し、青島から上海は韓国と、湖南は台湾と、そして共産党の残党が華北一帯を占拠しております。この中国の動乱が激しいためにロシアはウクライナ戦争の後遺症もあって北海道に進出してきません。米国は第二次南北戦争で疲弊しております。沖縄と台湾と組み、第三アメリカ帝国を建国して、この戦乱の日本を統治する確率が60パーセント」

ハチ「もういいよ」

プツンの途切れる機械音。

画面は暗転するが、新たに光が差し込む。

ピロンという音と共に『メール着信』の文字。

ハチ、Enterキーを押す。

『ファライソに来るんだ。但し、徒歩で』

ハチ、怪訝な表情。

『どこだそこは?歩くなんてまっぴらだ』と入力し、返信。

ハチ、部屋を出ていこうとする。

その背中に再度ピロンと着信音。

『北上するんだ。歩くことが贖罪にいずれ繋がる』


●下町の遊園地・日中

セーラー服姿の女の子、男たちに囲まれている。

狂騒曲「やめろー!」

高齢者の楽隊の制服を来た老人が割って入る。

ジェットコースターに乗っているリュウ、その様を見る。

男たち、セラミックでできた警棒のようなものを、狂騒曲に振り上げる。

彼らを遠巻きに見る群衆の中に、大柄で口元に黒のマスクをつけた男が馳せ参じようとした時に、リュウ、登場。

警棒の男たちを蹴散らすリュウ。

バンK「助太刀いたす」

大柄で黒マスクと男、バンKがそう云い、大きい槌を振るって男たちを撃退する。

ほうほうの体で男たち、退散する。

ドリーム「ありがとうございます」

セーラー服姿の女の子、謝辞を述べる。

バンK「なんてヤツらだ」

狂騒曲「AIによる統制がなくなると自警団ができた。だがヤツらと野盗の区別なんざつかねぇ。学校制度や介護制度は崩れた今就職先は野盗か自警団になった。どちらにしても同じなのさ」

ドリーム「だから若者たちは徒党を組んで新たな党派を作り、老人たちは淘汰されていきます」

バンK「オレは最近、この国に戻って来たんだ。あのAI支配もムカついたが、これでは共同体のカタチが維持できてないじゃないか」

リュウ「(しょんぼり)」

狂騒曲「だから企業がインフラを管理し、税金のカタチ収入を得ている。あいつら自警団も子飼いよ」

ドリーム「しかし企業に入社できるほどではない。だから、女たちや外国人、障碍者や弱者男性を標的にしている。なんて世界なの!」

リュウ「(更にしょんぼり)」

バンK「もうネットが張り巡らされたAI統制の社会はこないのか?オレが中央に掛け合うぞ」

狂騒曲「ムダじゃよ。この国は応仁の乱が又きたような状態なのじゃよ。それより、私のバイオリンを聴いて、心に滋養を与えるのじゃ。お若いの、曲目は?」

リュウ「サラサーテのチゴイネルワイゼン」

狂騒曲、演奏を始める。


●築50年ほどのマンション・夕方

ハチがチャイムを鳴らす。

もう一度、鳴らす。

ハチ、怪訝に思うが、ドアを開ける動作。

ドアは開かれた。

中に歩を進める。

男の声「入りなさいよ」

生活臭溢れる普通のダイニングキッチン。

男の声「こっちだ」

そこには全身包帯に巻かれ、包帯の端々から見える皮膚も爛れたような異形の男が畳敷きの上に正座している。

テーブルにはパーコレーター、映像だから嗅げないが室内にはコーヒーの香り。

床の間には家族の写真が貼られている。

両親と太った一人息子の写真。

ハチ「王、ネロ」

王ネロ「久しぶりだ、リュウ。未だ私を王と呼ぶか」

ハチ「オレを殺さないのか」

王ネロ「ここは高校卒業して、30年以上働かず家族にパラサイテッドしてきた男の部屋、一人っ子で、両親を相次いで看取り、働かず、男色に精を出して、でも決して定職には就かない男の部屋」

ハチ「何が言いたい?」

王ネロ「彼に代わってもらった。日本政府をAI管理下に置いた秘密結社の首魁は彼だと。私が今はここで、珈琲焙煎をし、サブスクで映画を観て、なろう小説を読み、自炊のおかずは何にするかをいつもめぐらす」

ハチ「そんなのでいいのか」

王ネロ「とてもいい。東大から欧米の大学院への留学、官民学の研究施設を行き来し、クーデタの準備のため軍隊や革命勢力に精通し、自身の肉体すらその実験に捧げた。なんで、あんなバカなことをしたのか」

ハチ「おまえならば、外国の勢力も国内で大名や軍閥のように残った企業連合をもう一度、飲み込めるだろうに」

ネロ、立ち上がる。

王ネロ「もう!イヤなんだよーーーー!すべてが面倒くさいんだ!」

ハチ「何があったら、そんな無気力になれる」

王ネロ「(落ち着きを取り戻し)その言葉はお返しする。オレの帝国とバッジシステムの全てを破壊したのはおまえとおまえの恋人だ。おまえが責任を取るんだよ。北に行くんだろう?」

ハチ「どうして、それを?」

王ネロ「オレが出したんじゃないさ。でもオレの脳内は今でも最前線とトップシークレットの情報をかき集めている。オレの知らないことは今でもない。おまえの愛人は今、〈ゆうえんち〉にいるぞ」

ハチ「もう別れた!」

王ネロ「では私がもらう。この部屋で唯一足りないのは愛人だ。それでいいな」

ハチ「やめろ!」

王ネロ「未だ好きなんだろう?そして北へ二人で行かないと意味がない。そしてオレは晩ごはんのおかずの買い物に出かける」

そう云うと王ネロは立ち上がり、背中から両翼それぞれ3メートル程のツバサをはやし、ベランダへの窓を開けて、立ち去る。

バサバサっと翼で飛行する王ネロをハチは見送る。


●都庁内・統括室

バンK「よく、こんな場所、知っていたな」

リュウ「あんたが外国でやっていたことを、オレはこの国でやっていたさ」

コンソールパネルは未だ発光を忘れていない。

メインモニターでは現在のこの東アジア情勢がCGで表されている。

バンK「オレはネロというクライアントのため、大陸から東南アジアにかけて要人とコンタクトを取っていた」

リュウ「王ネロを知っているってことは、あんたもAI人間か?」

バンK「いや、オレはそれがイヤだったから、支配下を出て行動せなばならない海外班を買って出た。おまえ、ネロを知っているのか?」

リュウ「いや、オレみたいなチンピラが知るハズないだろう」

バンK「確かにAI帝国なんて、味気ない社会を作った大悪党だが、それだけの知性とカリスマ性と根性はあったよ、又会いたい男だ」

リュウ、話を聴いていたが、モニターのPCに気づく。

リュウ「ファライソに来るんだ。但し、徒歩で」

更に読みふける。

バンK「その差出人。知っているぞ」

リュウ「なんて読むんだ?」

バンK「名前は忘れた、だが、女だ。後をつける・尾行する女だ。で、行くのか?」

リュウ「イヤだな」

バンK「そうか、でもあんたとても嬉しそうだぞ」


●下町の遊園地・夜

狂騒曲、未だバイオリンを弾いている。

ハチ、現れる。

黒銃も現れる。

黒銃「オレはルポライターの黒銃。アンタ、ハチさんだろう?やっと会えた。リュウさんはここにはもういないぜ」

ハチ「(無言で帰ろうとする)」

黒銃「待ってくれ!そうとう探したんだ!その若さで、政府の中枢に入り込み、所謂AI帝国のスポークスマンまでつとめた!あんたが帝国崩壊のなんらかを知らぬハズがないんだ!?」

ハチ「アンタ、リュウにも嫌われたろう」

黒銃「そっぽ向かれたな」

ドリーム「今の時代、マスコミなんてなんにもできないじゃない」

いつの間にかメイド姿のドリームがたたずむ。

黒銃「そんなことはないよ」

ドリーム「あるよ。自宅でのPC作業によるインフラ整備がホワイトカラーの、実際の現場作業がブルーカラーの仕事、食事ですら自宅配達が8割を超えている。その合間の暇つぶしでしかないじゃないか!」

黒銃「そうかもな、でも、取材の蓄積がいつか結果を出すもんだ。長期的な視点は必要だ」

ハチ「それじゃあ、もうオレには関係ないな」

黒銃が何か言いかけた時に、ハチの左腕は肘から落ちる。

よく見ると、スラックスの裾あたりから血に似た液体がこぼれ始める。

狂騒曲、直ぐに演奏を止める。

ドリーム「ハチさん!」

狂騒曲「ドリーム!オペ室の準備じゃ!アンタ、ハチの足を!ストレッチャーに乗せるんじゃ!」

黒銃「このハチって、男は?」

狂騒曲「ああ、王ネロの配下につくということは機械化しないと忠誠が誓えない。だがもうメンテナンスはワシしかできない。ワシは音楽が専門で機械医は趣味。もうハチは時間の問題じゃ」

黒銃「早く言えって!」


●荒川・深夜

リュウとバンKが河辺を行く。

バンK「本当に北を目指すって、信じたのか?」

リュウ「これはエビデンスでもなんでもないんだが、この国には北にファライソという楽園がある信じられている。これはおかしな符牒だと思わないか?」

バンK「思っても動かないよ。むしろそういうヒントより、それで動くモチベーションが客観的に見て、フシギに思う」

リュウ「難しい話やめろよ、オレはハチと違ってバカなんだ」

バンK「かんたんに云ってやろう。罪悪感や贖罪意識でそんな行動を取ってないか?」

リュウ「なんだそりゃ」

バンK「帝国を崩壊させたの、おまえ、だろう?」

その刹那、バンKが巨大な槌をリュウに振り下ろす。

リュウ、咄嗟によける。

バンK、槌を反対向きに振り下ろし、その巨大な槌の本体が割れる。

中にはボディアーマーやドローンが詰まる。

リュウ、間合いを取る。

バンK、ボディアーマーに着替える。

槌の残った持ち手を指揮棒代わりにドローンを操る。

ドローン、レーザービームを掃射。

リュウ、何発かくらう。

リュウ、ブッシュに転がり、逃げる。

バンK「帝国も王も気に入らないトコ多かったが、義理がある。おまえには死んでもらう」

闇の中、ドローンのビームが光る。

リュウ、手にしていた空き缶をスパッとビームに切断される。

リュウ「(笑)」

バンK、指揮棒でドローンを操っているところに、リュウが立ち上がる。

リュウ、きれいに切断された空き缶をビームに向け、全ての光線を集約させ、相手に送り返す。

全てのドローンに命中するが、バンK、自分の身を守るため、全てのドローンを自分に近接させ、5機すべての爆発に巻き込まれる。

リュウ「今の時代、レーザー兵器の攻略法も一般化されている」

バンK「やれ、その指揮棒の先端は仕込み刀だ」

リュウ「ジャマさえ、しなけりゃ、それでいいんだ」

リュウ、川上へ歩き出す。

バンK、河辺に横たわったまま。


●青函連絡船青森フェリーターミナル・朝

見渡す限り、青い海、広い空。

リュウ、満身創痍でやってくる。

そこにはハチの姿。

リュウ「よう、死にぞこない」

ハチ「よう、ボロボロ野郎」

二人して笑う。

リュウ「さすがにここからは船でよかろう」

ハチ「でも、行ってどうするんだ。それで何になるんだ、オレたちがやったことが許されるワケではない」

リュウ「なにより、その土地が本当にあるか判らない。許されるなんて、無い。許すヤツなんて信じなくていい」

ハチ「理解はできるけど、納得できないな」

二人の合間に間が生まれた時、数メートル離れた先で乳母車をご婦人が往生しているのが見える。

赤子の母「この乳母車の車輪が調子悪くて」

二人とも顔を見合わせる。

ハチ、赤子を乳母車から取り出す。

リュウ、万能ナイフで車輪を器用に直す。

赤子の母、スムースに乳母車をすべらす。

ハチ、赤子を乳母車に戻す。

赤子の母「ありがとうございます」

港町の方に親子は去る。

ハチ「納得したわ。妹がいてさ」

リュウ「いたな。ピアノが上手い」

ハチ「ピアニストになった。オレがあんな地位にいたからもあって、今でも叩いている」

リュウ「行くか、見つかったんだろう」

二人、連絡船のタラップを上がる。


●演奏会場

演壇で会釈してピアノの前の椅子に座るのはハチの妹。


●都庁内会議室

バンKが包帯を巻いて座っている。

黒銃「あんたを助けて、2週間、そろそろ話してくれないか」


●船上・朝

リュウとハチ、笑顔。


●都庁内会議室

バンK「そう、黒銃さん、あんたの思った通りだよ、この世界からネットを死滅させたのは、ハチとリュウ、あの二人の仕業だ」


●演奏会場

ハチの妹、シューマン「ピアノ協奏曲イ短調」を弾き出す。


●都庁内会議室

黒銃「なんでそんなことを!」

バンK「まず幼なじみだったからだ」


●道内・漁港

二人で食事を採るが、ハチは油汗。


●演奏会場

ハチの妹、叩く。


●都庁内会議室

黒銃「あの二人の関係は結局なんだったんだ」

バンK「親友だよ、多分」

黒銃「後に階級が二人を分けた、と」

バンK「オレはそれすら、王ネロやコガ先生が仕組んだものだと思っている」


●道内・病院・夜

男性看護師から追い出されるハチ。

その看護師に抗議するリュウ。


●演奏会場

ハチの妹、ピアノを演奏する。


●都庁内会議室

バンK「ところがだな、あの二人はそれを知っていて、そうしたと思えるフシがあるんだ」

黒銃「それはいったいどんな差異があるというんだ?自分の意思で動いたか?誰かに操られていたか?その支配を前提として動いた、それにいったいどんな違いが」

バンK「もうプライドや矜持の話だな」


●演奏会場

ハチの妹、ピアノを演奏する。


●道内・トンネル・夜

二人、抱きしめ合って眠る。

ハチ、突如、むせる。

リュウ、ハチの背中をさする。


●演奏会場

ハチの妹、ピアノを演奏する。


●都庁内会議室

黒銃「どちらにしても、もう彼らを裁くものはいない。この世界自体が破滅したから」

バンK「そうなのか?本当に終わったのか?今でも人々は愛し合い、赤ちゃんは生まれ、花は美しく、紅茶は香り高く、空は青い、これ以上、世界には何が必要なのか!?」


●道内・漁港

豪雪。

リュウ、乾物屋に入って食べ物を盗む。

鬼のような店主から殴る蹴るの暴行。

おそらく妻が割って入る。

リュウ、夫婦が拾い忘れたパンを拾う。


●演奏会場

ハチの妹、ピアノを演奏する。


●道内・砂浜

豪雪。

焚火の前に数人の男たち。

彼らは全員でハチを輪姦しよとしている。

リュウが脱兎のごとく突進し、火のついた木を振り回したりして、男たちを追っ払う。

ハチ、真っ青な表情。

リュウ、ハチを抱きしめる。


●演奏会場

ハチの妹、ピアノを演奏する。


●都庁内会議室

バンK「この国を1945.8.15の敗戦の日に戻す、いや、周辺地域含め、時間を巻き戻す作業。これがこのデリリウム計画の意図だったんだ!」

黒銃「誰が企んだんだ?」

バンK「その真意を探りに行ったと何故、未だ気づかないんだ!?」


●演奏会場

ハチの妹、ピアノを演奏する。


●道内・両氏小屋・朝

リュウ、目覚める。

横にいるハチ、もう半死半生。

リュウ、泣きながらバチを抱きしめる。


●演奏会場

ハチの妹、ピアノを演奏する。


●道内・岸壁

リュウは右手で杖を突き、左手でハチを支える。

二人の歩みは牛歩の如く。

何か見えたのかリュウはハチにも見せようとする。


●演奏会場

ハチの妹、ピアノを演奏する。


●道内・崖

まばゆい光り。

高い波。

ハチにはうっすらと微笑がさす。

つられたようにリュウが笑う。


●演奏会場

ハチの妹、ピアノ演奏を終える。

万来の拍手、途切れぬ拍手。


●?

光に吸い込まれリュウとハチ。

ハチは半ばもう死んでいる。

リュウはハチを引っ張っている。

ハチ「生まれてきた、よかった」

リュウ「これからも生きるのさ、終わりのようなことを言うな」


●雑木林・深夜

木の枝か露出した根にスカートの裾が引っかかる。

青のスカートがひっかかるが、そこに手が伸びる。

ハチの声「引っ張らないで、割けるよ」

赤のワンピースのメタが青のワンピースを着ているルダの裾を丁寧に取ってあげる。

リュウの声「痛てて、着いた時に落ちたから未だ痛い」

ハチの声「ここ、どこ?」

周囲はただ闇と木々とあるばかりで誰も答えない。


                                         了

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