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命劫の核心

竹村真一たけむら・しんいちは、血刀を提げながら「死魂のしこんのみち」を一歩一歩進んでいた。その足元には、切り裂かれた死魂たちの残骸が散乱しており、地面は黒い血に染まり、鼻をつく腐敗臭が漂っていた。一方で、彼の手に握られた血刀は、今や生き物のように赤い光を脈打たせており、どこか興奮したような雰囲気を放っている。


前を歩く村脳老人そんのうろうじんは、煙管きせるを咥えながら、時折振り返って竹村の様子を伺う。その目に一瞬、不気味な光が浮かんだ。


「若いの、随分と殺すのが板についてきたじゃねぇか。」老人は青白い煙を吹き出しながら、嫌味な笑みを浮かべた。


「仕方ないだろう。」竹村は冷ややかに笑い返しながら、手にした血刀を見下ろした。「こいつらがわざわざ喧嘩を売りに来るんだ、俺は応えてやるだけだ。それにしても……この刀、妙に手に馴染んできやがる。」


「ほっほっほ、馴染むのは悪いことじゃねぇ。」村脳老人はにやりと笑い、「だが気をつけろよ、あまり馴染みすぎると、お前が刀に喰われるぞ。」と意味深な言葉を投げかけた。


竹村は一瞬眉をひそめたが、それ以上何も言わず、目を前方に向けた。ただ、心のどこかで感じていた。この血刀は確かに強力な武器だが、同時に何か自分の中の重要なものを少しずつ奪い去っているような感覚を。


天隙の守護者

道が進むにつれ、周囲の景色はさらに異様なものへと変貌していった。最初はねじれた木々と霧が目立つだけだったが、次第に地面に奇怪な死骸が散らばり始めた。その死骸のいくつかはかろうじて人の形を保っていたが、多くは既に崩壊し、骨や内臓、皮膚が入り混じった化け物じみた形となっていた。


「これは……死魂?」ゆいは鼻を押さえ、小さな声で問いかけた。


「違う。」村脳老人は足を止め、煙管を持ち上げながら答えた。「こいつらは、天隙の力に飲まれた人間たちの成れの果てだ。ここまで来て死んだ者は、死魂になることすら許されず、天隙に喰われて全てを失うのさ。」


竹村は不快そうに顔をしかめ、冷たく吐き捨てた。「聞いてた以上に気味の悪い場所だな。」


「当然だろう。」村脳老人は笑みを浮かべつつ言った。「だが、この先にいる奴らの方が、もっと厄介だ。」


「奴ら?」竹村は血刀を構え、目を鋭く光らせた。「具体的に言え。」


村脳老人は煙管で前方を指しながら答えた。「天隙の守護者だ。」


竹村たちがさらに進むと、霧が徐々に晴れ、広大な空間が視界に広がった。その中央には巨大な裂け目があり、まるで地獄へ通じる口のようにぽっかりと開いていた。その裂け目からは、黒い瘴気が噴き出し、周囲の空間を歪ませながら、耳鳴りのような低い唸り声を放っていた。


裂け目の周囲には、数十体もの異形の人影が立ち並んでいた。彼らは全員が古びた鎧をまとい、錆びた刀や矛、弓矢を手にしていた。その顔は兜で隠され、表情は見えなかったが、鎧の隙間からは黒い煙のようなものが漂い出ていた。


「これが守護者か?」竹村は眉をひそめ、低く呟いた。


「ああ。」村脳老人は頷いた。「天隙を目指した者たちの成れの果てだ。彼らの意志は天隙に飲み込まれ、今や傀儡くぐつとなって裂け目を守っている。近づこうとする者は、全てをなぎ倒す。」


「めんどくさそうだな。」竹村は血刀を握り直し、冷ややかに笑った。「だが、そんな奴ら、片っ端から斬り伏せてやる。」


「ほっほっほ、そうかい。」村脳老人は一歩下がり、壁際に座り込むように身を屈めた。「せいぜい頑張るんだな。見物させてもらうよ。」


竹村の気配に気づいた守護者たちが、ゆっくりと動き始めた。


「ギギギ……」


鎧同士が擦れる金属音が響き、守護者たちが一斉に竹村の方を向いた。その空洞の兜の中には、無の目が竹村を射抜いていた。そして、一斉に低い咆哮が響き渡った。


「撃滅セヨ——!」


竹村は血刀を握りしめ、刀身から放たれる赤い光は実体を持つかのように激しく跳ね回り、地獄の深淵から燃え上がる炎のように全てを喰らいつくしていた。彼の足が地面を強く踏みつけるたび、砕けた石が四方に飛び散り、その怒りに満ちた咆哮は雷鳴のごとく響き渡った。


「殺す!!!」


「ゴゴゴ――!」

竹村は血のような疾風となり、守護者たちの群れに突進する。握られた血刀が横一線に振り抜かれると、刀光はまるで天雷が大地を裂くかのように閃き、空気を切り裂く鋭い音を立てた。最初の守護者は長槍を振り下ろそうとした瞬間、血刀が胸を切り裂き、鎧を真っ二つに断ち切った。黒い霧が裂け目から溢れ出し、その全てが血刀に吸い込まれていく。血刀は喜ぶかのようにうなり声を上げ、赤い光はさらに強く燃え上がった。


「おおおおおお!!!」

竹村の咆哮が戦場を揺るがし、その瞳は燃え上がる炎のようにギラギラと輝く。足元を強く踏みしめると、粉塵と瓦礫が舞い上がり、次の瞬間には二体目の守護者の前に現れていた。血刀は再び振り下ろされ、守護者の盾を真っ二つに断ち、その体も粉々に砕け散った!


「もっと来い!!!」

竹村は狂気のような笑みを浮かべながら叫び、さらに突き進む。その怒りと殺意に満ちた姿に、まるで天地が震えるようだった。守護者たちが一斉に長槍や大剣を振りかざして突進してくるが、林子轩はそれをかわし、または切り裂き、血刀の閃光が戦場を紅く染めていく。


「邪魔する奴は、全員死ねえ!!!」

その咆哮は戦場全体に響き渡り、黒い霧さえ震え上がるかのようだった。三体の守護者が同時に攻撃を仕掛けるが、竹村は鬼火のような速度で動き、血刀が円を描いて振り回されると、三体とも一瞬で粉砕された。


「ドゴォ――!」

戦場の中心で爆発が起こり、血刀が放つ赤い光が破壊的な衝撃波となって守護者たちを吹き飛ばした。竹村の体は紅い光に包まれ、彼の怒りと狂気が渦を巻いて天を突き刺すほどの勢いとなる。彼は天を仰いで吼えた。


「俺の前に立ち塞がる奴は、全員叩き潰す!!!」


裂け目の奥から黒い影が沈黙を破り、不気味な笑みを浮かべていた。「フハハハ!その殺意、いいぞ!そのまま俺の餌となれ!」


「黙れ!!!」竹村は血刀を掲げ、裂け目に向かって一直線に突撃した。その足が地面を蹴った瞬間、大地には蜘蛛の巣のような亀裂が走り、彼の姿は血の流星のように戦場を切り裂き、黒い影へと突き進んでいった――!

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