巫女ポスター、再撮影
初回のポスター撮影から、2年が経ちました。
「お久しぶりでーす!」
「ああ怜璃ちゃん、久しぶり。今日もよろしくね……」
「ポスター、今年も私でいいんですか?」
「もちろん! 怜璃ちゃんがいいって、僕がお願いしたんだ。一昨年のポスター、すごく好評だったし、前に来てくれた人にも、違いをアピールしたいしね……」
「違い……って……前と同じポーズでって言われたから、あえて同じ服で来ちゃいましたけど……詰め込み修行で使う長襦袢とかに着替えてきた方がいいですか?」
「大丈夫大丈夫! 全く同じポーズでも、十分違いは伝わるというか……むしろ全く同じポーズの方が、違いが際立つ気がするからさ……そのお腹、今日も前回同様、腹八分目なんでしょ?」
「はい……撮影があるからって、今朝のおつとめは詰め込み免除で……厨房で自主的に白米一斗とお雑煮を70杯くらい、つまんできただけなんです。年末でも減量でもないのに、お腹いっぱいじゃないのは、怠けてるみたいで何だか罪悪感がありますね……」
「一斗? に、70杯!? いやいや……怜璃ちゃん……ここの神社の人たちは感覚麻痺してるかもしれないけど、それ、とんでもない量だからね!?」
「……そうですか?」
「そうだよ! 食べきるのに何日かかるか見当もつかないよ!」
「……ほとんど噛まずに飲み込むのも修行ですし、お雑煮なら流し込むだけですから、日の出からつまみ始めて、10時くらいには終わりましたが……」
「ほとんど、昼じゃん!」
「いつもは12時過ぎまでかかりますから、それに比べれば大したことはありませんよ……」
「それじゃあ、お昼はどうするの?」
「見習いの頃は器も未熟なので1日3食ですが、だんだん食事の時間が長くなってきますので、巫女は基本的に1日2食なんです。だから日の入り後の詰め込みまで、お掃除をしたり、本を読んだりしながら休憩ですね。とはいえ、氏子の方々がお捧げものを持ってきてくださるときは、もちろんその場でお納めします。先日は胡麻油工場の社長さんが、この秋に収穫された胡麻で絞った初物をドラム缶で持ってきてくださって……8人がかりでお納めしました……」
「ドラム缶……って……?」
「200リットルなので、ざっと180キロくらいですね……」
「ちょっと待って……180キロって……それを8人で!? ……それだけで普通の人の3か月分くらいはカロリー摂取してると思うけど……太らないの?」
「先輩方の中には多少ふくよかになられる方もいらっしゃいますが……私はどんなに食べても全然太らない体質らしくて、まだ一度も減量するよう言われたことはないですね。だから高カロリーなお捧げものは、私が積極的にお納めしてます。昨日は千葉の落花生を1箱……ざっと15キロほどいただきました……」
「……全然太らない……のかな? なんだか一昨年より、下腹部が立派になった気がするけど……?」
「あ! 気づいてくださいました? そうなんです! 私、器がなかなか降りてくれなくて、デビューしたときもお腹の上の方しか使えてなかったんですけど、みぞおちを帯で締め付けたまま大食いしたり、詰め込みの後で飛び出したお腹を押してもらったりしてたら、去年から器がググっと下までくるようになって! おかげで今は、一昨年の倍近く入る器になれてます……」
(……いや、そういうつもりで言ったんじゃないんだけど……)