夕方の風みたいな何か
掲載日:2023/07/06
夕方になって
蝉が鳴いている
気怠い風が吹いて
夏の匂いがする
ねえ、と言えば
なあに、と振り返る
なんでもない、と言えば
いつもみたいに柔らかく笑う
夕陽が街を照らして
わたしは影と歩いている
風が吹いて
ひまわりが揺れている
暑い夏の日の終わりごろ
遠くの雲がかすむように燃えている
一度だけ、聞いてみたかったことがある
七夕祭りに行きたいって言ったら
連れていってくれる?
そうして帰りに川の橋を渡るときに
立ち止まっていつまでも渡れないでいたときに
気づいて戻ってきてくれたら
そうして自然に手をつないでくれたら
きっと、いつまでも大切にして
覚えていられるから
夕方の風が
あの頃のきみを思い出させる
風上のきみに呼びかける
聞こえてほしい
聞こえないでほしい




