第1章 辺境の村ケラテア 7
短めです。次ぐらいで1章も終わりかなと思います。
私は口に何か柔らかい感触が当たると共に、ぬるい液体が口の中に入ってきたのでそれを反射的に飲むと、柔らかい感触は口から離れていってしまったが、体の痛みが少し落ち着いた気がして目を覚ます。
私はうつ伏せで倒れたはずだが、仰向けになっており、アテナの顔が横向きに見え頭が持ち上がっているので、膝枕をしてくれていたみたいだ・・・、しばらくこのままでいさせてもらおう・・・。
アテナ「目を醒ましたか・・・、生きててよかったよ」
アテナの目尻にちょっとだけ涙が見える、心配させたようだ。
私「なんとか生きてたね、アテナがここにいて私が生きているという事は・・・アーノルドが来てくれたんだね」
アテナ「ああ、全速力で南のアーノルドの元に行き、連れて来たよ、あっちはもうほとんど収束していたしね」
私「トロルは?」
アテナ「今アーノルドさんが解体してるよ、トロルの魔石は高く売れるらしいからね、お肉も特殊な方法で燻製にするとか言ってたね」
私「トロルって食べれるのか・・・」
アテナ「普通には食べれないらしいよ、その特殊な燻製方法で燻製にしたら食べれるんだって」
アーノルド「おう、起きたか」
私はアーノルドに話しかけられたので身を起こそうとするが、
私「っぐぉぉぉ」
私は起きようとしたが腕と肋骨に激痛が走ったので起き上がれなかった、一度痛みに気付くとそこがズキズキと痛むのでカバンからポーションを取り出したかったのだが、近くにないな・・・、
アーノルド「アバラ骨やってんだ無理に起き上がろうとするな、探してるのはこれだろ?お前マジックバック持ちだったとはな、旅をしてるというには軽装だったからおかしいとは思ってたがマジックバッグ持ちなら納得だな」
私はアーノルドからカバンを受け取ると残り5本となった回復ポーションではなくマジックポーションを飲み、キュアを唱え自分を回復させる、2回でキュアが出なくなったが痛みは多少マシになった。
私「ふぅ~・・・アテナしんどかったら降ろしてくれてくれていいからね」
アテナ「全然大丈夫だから気にするな」
私はアテナがそういってくれたのでズボン越しであるがアテナの膝枕を堪能しながら会話する事にした。
私「アーノルドぐらい強ければトロルは余裕で倒せるんですか?」
アーノルドはそれを聞き少し考えると、
アーノルド「1対1なら負けんな、2体はなんとかなるとしても、3体同時だと厳しいな、トロルは図体がデカいだけあって力は凄まじいからな」
私「トロルはこの辺でも普通に出るんですか?」
アーノルド「いや、あいつらの生息地はもっと北の、ここからだと2週間ぐらいかかる、カリヴィアって街の東側にある森のはずなんだが・・・もしかするとさっき襲ってきたゴブリン共を追ってきたのかもしれんな・・・」
私はトロルがこの辺でも普通に出るレベルではなく、イベントボス的な魔物であることに安心した・・・、あんなのが普通に出るのであれば、私は真面目に料理人を目指す。
私「イレギュラーな魔物だったんですね・・・防御を重点的に鍛えていて良かったですよ・・・」
アーノルド「お前が蹴り飛ばされたのが見えた時は焦ったが、まぁよく耐えた、おかげで畑が少し荒れたが村には被害無しだ」
私「それはよかった・・・、蹴り飛ばされたのは、体力の限界だったので最後の悪あがきに、トロルの足の指先にスキルを撃ち込んだからですね・・・」
アーノルド「それで変な動きをしてたのか・・・、後処理は儂と自警団でやるからな、お前はもうゆっくり休め」
私はアーノルドそう言われ、キュアをしたとはいえ全然回復しきれていなかった為、意識を失うように眠った。
アーノルドは眠った私を見て、安心のため息を吐き、アテナに、
アーノルド「アテナ、お前も両親を安心させるために家に帰って休め、ロックは自警団員に儂の家まで運ばせとく」
アテナ「いえ・・・、はい、帰ります」
アテナはロックが心配だったが、この状態から死ぬことは無いと思い、両親も安心させないと思い直し返事をし、ロックの頭を少し持ち上げ自分の膝の代わりにカバンを入れると立ち上がり、少し躊躇いながらも家に帰って行った。
私は外から聞こえてくる、アーノルドとアテナが稽古をしていると思われる木と木が当たる音で目を醒ました。
私「お~っぐぬぉぉぉ~・・・ふぅ~」
私は癖で伸びをしようとしたが、右腕に走る痛みと、息を吸い込んだ時に肋骨辺りに痛みが走り悶絶した。
すぐにキュアを使えるだけ使い、痛みが和らぐと、右腕には添え木と葉っぱの様な物が当てられ、包帯で固定されていた・・・、上半身裸の折れていると思われる側の胸部にも同じ葉っぱが当てられ包帯で固定されている。
私「お腹が空いたな・・・」
私は空腹に耐えかね、痛みを堪え起き上がると、とりあえず稽古をしているアーノルド達を確認しに外に出た。
外に出て鍛錬場へ向かうと、やはりアーノルドとアテナが稽古をしていた・・・、私はそれを眺めていると、アテナが気付き・・・アーノルドは直ぐに気付いていた・・・稽古を止め、慌ててこちらに駆け寄ってくる。
アテナ「ロック気付いたのか!」
駆け寄ってきたアテナは槍を放る様に置き、私の体をペタペタと確認するように触るのだが、それが肋骨に当たったとき、
私「っぐ」
と私の声が漏れたので、アテナは慌てて触るのを止め、
アテナ「あっ、すっ、すまない・・・」
と謝って来たので、慌てていたのを不思議に思い、
私「そんなに慌ててどうしたんだ?」
アテナ「君はまる3日寝っぱなしだったんだぞ・・・、このまま起きないんじゃないかと思って・・・」
なんと私はそんなに寝ていたのか・・・そりゃ腹も減るわ・・・、私のお腹はそれを確認すると、ぐぅ~っと鳴った。
アテナはそれを聞きクスリと笑うと、
アテナ「ちょっと待ってろ」
と、アーノルドの家の方に駆けて行った。
アーノルドはそんなアテナを見ながらこちらに向かって来て、
アーノルド「おう、やっと起きたか」
と、私の事を大事な孫娘が嫁に行っちまったみたいな表情を浮かべた後、ニヤリと笑いながら言ってきた。
私「3日も寝てたと思いませんでしたよ」
アーノルド「それだけ疲労が溜まってて、体のダメージもでかかったんだろ」
それを聞き、確かに限界が来るまでトロルの攻撃を避けて、MPも何度か使い切ったし、体もボロボロだったもんな・・・。
そんな話をしていると、
アテナ「待たせたな!」
と、いつものバスケットと湯気の出ているマグカップみたいな物を持ってきた。
私とアテナは、木のベンチみたいなところに並んで座り、アテナはバスケットを自分の横に置くと、手に持っていた湯気の出ているマグカップを、私の口元に運ぼうとしたので、
私「無事な左腕が有るから大丈夫だよ」
と、アテナからマグカップを受け取り飲む、匂いはハッカみたいな匂いがしていた、
私「なんか、すぅ~っとするね」
アテナ「それは薬草を煎じて溶かしたものだからね、体の治りが良くなるんだよ」
ゲームには薬草なんて無いけど、似た世界ってだけで、ゲームの設定そのままって訳じゃないかもしれないしな・・・、トロルの襲撃だって似てはいたけど、ゲームならゴブリンを殲滅すると出現するわけだから、本来はゴブリンを殲滅したアーノルドの方に出なければおかしいもんな・・・やっぱりゲームに似た異世界って事なんだろうな・・・発売してから1週間だったし、攻略動画もこれ以上先は見ていないから、今後は新しい所に行ったら、今回みたいな事に注意しなきゃいけないって事だけ覚えておこう・・・。
私が薬草茶を飲んで考え込んでいたのが、薬草茶が口に合わなかったのかと思ったのか、
アテナ「飲めそうになければ普通のお茶を持ってくるぞ?」
と、立ち上がり取りに行きそうだったので、
私「いや、大丈夫飲めるよ、ちょっと考え事してただけだから」
アテナ「そうか・・・、そうしたらこれを食べるといい」
と、ピタというパンとパンの間に、野菜とチーズを挟んだサンドイッチ的な物を、私の口元に差し出してくる、これも自分で食べれると思ったけど、左手にはマグカップを持っていたので、ご厚意に甘えようと、差し出されたサンドイッチを食べさせて貰う。
私は時折手に持ったお茶を飲みながらサンドイッチを食べさせて貰っていたのだが、サンドイッチが後一口という所まで来たので、どう食べた物かと悩んでいる・・・、このままだとアテナの指に口が当たってしまいそうなので、マグカップを置きサンドイッチを受け取ろうかと思ったんだが、どうもマグカップを置こうとする動きを見せると、ニコニコしているアテナから謎の圧力がかかるので、なるべく指に当たらないように、このままいくしかないなと決めると、サンドイッチだけを咥えるように食べたつもりが、何故かアテナがずいっと差し出したので、結局アテナの指をすこし咥えてしまった。
私はサンドイッチを飲み込むと、
私「すまない、気を付けたんだが口が指に当たってしまった」
アテナ「いや、気にしないでくれ、私は気にしていないからね」
と、後ろを向き何かを食べる仕草をし、新しいサンドイッチを差し出して来たので、まだ全然お腹が空いていた私は、さっきと同じくご厚意に甘え食べさせて貰う。
私がサンドイッチを食べ終え、少し温くなった薬草茶を飲んでると、
アーノルド「お前はしばらく安静だな、とは言え体を動かしとかんと鈍るからな・・・毎日散歩ぐらいはしろよ、俺はしばらくアテナとの稽古が終わったら、他にもトロルみたいなのが村の周囲に来てないか確認する予定だからな・・・」
と、言い何かを考えると、
アーノルド「お前はちょっとこっちに疎いみたいだから、アテナに色々教えてもらえ」
私はこっちという言葉にちょっとドキリとしたが、この大陸って事かと思い安心した。
アテナはアーノルドの言葉に内心喜びながら、
アテナ「私でよければ教えよう」
と普段通りを心掛けて喋る、私はそんな様子に気付く事も無く、
私「それじゃぁ、よろしくお願いします」
と、頭を下げた。
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