第1章 辺境の村ケラテア 6
キリがいい所までと書いてたら長くなりました。文章が途中でループしていたので修正しました。
私がこの村に来て1週間を過ごし今日で8日目だ・・・。
1週間の間何をしていたかと言うと、朝起きたらまずはアーノルドと稽古、終わると朝食を作り、基本はアーノルドと村の周囲を巡回、昼食は大体アテナが持ってきてくれるのでそれで済ます、昼食が終わるとアテナと実戦形式の稽古、最初はよく気絶していたが、ここ2日は気絶はしていない、私が気絶しなくなるとアーノルドは稽古の見守りを止め、午後からゴブリンの集落を探しに行くようになっていたので、アテナが止めるまで稽古を続ける、稽古が終わると夕方暗くなる前までだが、東の森に入り探索の練習と魔物がいれば討伐をしていた。狩った魔物はゴブリンとスライム、後は魔物ではないがウサギと鹿である。
レベルも5から6に上がりBPが22になったかと言えばそうではなく、1日に筋力、持久力、瞬発力に1ずつ振っていたので、1日3ずつ消費しており12あったBPは4日目で0になっており、6日目にレベルが上がったので体力に5と筋力、持久力、瞬発力に1ずつ振り残りは2しか無かった。
ジョブレベルは上がっていない為SPは2のままである。
レベルが上がった事とステータスを上げたことにより、当初アテナは手加減してくれていたが、レベルが上がってからの7日目、昨日は手加減等せず全力で稽古用の槍を振るっており、私も攻めきれないまでもうまく耐える事は出来るようになっていた。
8日目の今日こそは1本取ってやると、現在アテナと向き合っているところだった・・・。
私は摺り足で間合いを詰めていき・・・この1週間で分かっているアテナの間合いに入る直前で一旦止まる・・・ように見せかけ直後に間合いの中に踏み込んだが、そんなフェイントは効くはずもなく、顔面向けて鋭い突きが来るのを、ガントレットの手の甲部分で受け流し、勢いを殺さず近付いていく、アテナまで私の間合いが後1歩の所で、アテナがクルリと背を向けながら石突を突くのではなく、そのまま横から振ってきたのを身を屈めながら躱し、もう1歩を踏み込もうとすると1回転して正面を向いたアテナの回転の勢いが付いた振り下ろしが来たので、斜めに体を傾け穂先を避けつつ、手の甲で受けた穂先を外側に弾く、私は弾いた勢いでアテナの体が泳いだ隙にがら空きの脇腹に拳を打ち込む・・・が打ち込んだ場所にはアテナの体は無く、伸びきった私の隙だらけの体の頭部に、コツンと横から木剣を持ったアテナが振り下ろしていた・・・。
どうも私に槍を弾かれた瞬間に槍を手放しており、私が拳が打つのが分かっていたので前に避け、腰に差していた木剣を抜き振ってきたようだ・・・ちゃんと接近された時様に小剣も持つらしい、ダンジョンみたいな狭い場所なんかじゃハルバードが使えない事もあるから剣の訓練もしていたらしい・・・1本取れたと思ったんだけどなぁ・・・。
アテナ「1週間で大分強くなったね、今日は槍を手放さないといけないとこまで来てたし」
私「腰に差してある木剣なんて全然気にしてなかったよ・・・1本取れたと思ったんだけどなぁ」
アテナ「まだまだ負けないよ」
と会話しその後も稽古を続けアテナが満足した所で終わりになった。
アテナ「今日はここまでにして、また西の森の浅い所を探索してみようか、最近はゴブリンをよく見るしね」
私「家の前で待ってるよ、私は準備がいらないしね」
アテナ「うん、練習道具をしまったら準備してすぐ行くよ」
と言いアテナは片付けに言ったので、私は特に準備等なくこのままでいいので家の前で待っていると、
アテナ「待たせたね、行こうか」
とハルバードを装備し南の出口に向かおうとすると・・・。
チャップ「今日は男連れで、そんな物持ってどこへ行くんだね?」と言いながら思春期3人組が現れた・・・。
アテナ「あなたには関係ないです」
アテナはやはり3人組を嫌っているようだ・・・、
アテナ「ロック行こうか」
とハルバードを持っていない手で私を掴むと南の出口へ向かおうとする、それを見たチャップの顔がまた一段とひどい事に・・・、
チャップ「その素性も分からない怪しげな男と村の外に行き何を企んでいる!自警団の一員としてその男と出かけるのは許さんぞ!」
チャップは私の顔を睨みながらそう言ってくる・・・自分は手なんか触れて貰った事も無いのにてめぇは・・・と言った感じであろうか?
アテナ「何も企んでいないよ、ロックとは西の森の探索に行くだけ、アーノルドさんに二人ならいいって言われてるからね」
そう言って私を引っ張って行く・・・、私は引っ張られながら後ろを見ると、チャップが私を凄い目で睨んでいた。
私「彼等はあれでいいのかい?」
アテナ「昔から私に何かと絡んでくるからね、何か言うとまたうるさいから無視するのが一番いいんだ」
哀れチャップ君、君は完全に嫌われてしまっているようだ・・・まぁ、私も小学校中学校ぐらいの時は素直になれなかったもんな・・・そういえばチャップ君が思春期真っ只中だと、確かアテナも同年代ってアーノルドさんも言ってたし?
私「そういえばアテナって今、歳はいくつなんだい?」
と聞いてみた、
アテナ「私は16歳だよ」
私は18ぐらいだと思っていたが、年齢の割に落ち着いてるな・・・、
アテナ「ロックはいくつなんだい?」私はそう聞かれ・・・精神年齢は35だが・・・この体は20・・・ぐらいか?
私「20歳だよ」
アテナ「2つ上なだけか・・・もうちょっと上だと思ってたよ」
と言われた精神年齢は大分上ですからね・・・、そういえば手掴まれたままだったので、
私「アテナそろそろ手を離してもらっても大丈夫だよ、ちゃんと付いて行くしね」
と言うと、アテナは手を掴んでいたことを思い出し、慌てて手を離した。
アテナ「すまない、一刻も早くあいつらから離れたくて・・・」
私「気にしないでくれ、相当嫌いみたいだったしね」
アテナ「あいつらも、私の事が嫌いなら嫌いで、関わってくれなければいい物を、昔から嫌がらせをしてくる、そんな事何年もやられると流石にな・・・」
これはもうチャップ君は彼女の命を体を張って救うぐらいしないとプラスにならないな・・・。
そんな話をしながら歩いていると森の手前に到着したので、
アテナ「それでは今日も浅い所を探索してみようか、ゴブリンを見る数も増えているから不意打ちを喰らわないようにな」
私「初めて一緒に入った日のアテナのようにか?」
と私はちょっと笑いながら言ってみると、
アテナ「それは忘れてください!いきますよ!」
と行ってしまった・・・、耳が真っ赤になっていたな・・・あんまりやりすぎると、また嫌われちゃうから、もうからかうのは止めとこう・・・。ちなみにアテナとの仲はそんなに悪くない、最初に冷たかったのは、男は全員チャップみたいな奴だと思ってたからみたいだ。
私達は森の浅い所を探索していた・・・森の歩き方にも大分慣れ、初日みたいに音を立てないよう、恐る恐る歩くような事は無くなっていた。
しばらく探索していると前を歩いていたアテナが立ち止まり、伏せるような手の動きを見せたので、身を低くしながらアテナに近付き、視線の先を窺うと、ゴブリンが3体いるのが見えた。
ゴブリン3体はこん棒をそれぞれ持っており、初日に比べると武器を持ち、森の浅い所でも3体いる所を見るに群れが大きくなっているのであろう。ゴブリンの繁殖速度はかなり早いらしく、群れるとどんどん増えるらしい・・・。
私とアテナは3体同時に相手はした事が無かったので・・・初日はアーノルドさんが1体倒したし・・・どうしよう?と顔を見合わせ作戦会議をする。まだ距離があるので小声なら大丈夫だろう・・・。
アテナ「今までは多くて2体だったので、それぞれ1体ずつ倒せばよかったですが、3体となるとどうしましょうか?」
私「う~ん・・・、とりあえず両サイドを1体ずつ倒して、残った1体はどっちに来るか分からないですから、向かった方の人が引き付けて、来なかった方の人が援護に回るでいいのでは?」
とアテナに話すと、
アテナ「そうですね・・・、私達は遠距離から攻撃する手段が無いですし、魔法でも使えれば近付く前に、倒す事も出来るんですけど・・・私もロックも使えないですしね」
私はそれを聞き、この世界にはやはり魔法があるんだと思った、そういえばゲームでは魔法職もあったもんな・・・。
アテナ「そうしたらいつも通り1体ずつ倒して、後は相手の出方次第という事で動きましょう」
私とアテナは作戦という作戦でも無いが決めると茂みをうまく使いゴブリンに近付いていく・・・。
それぞれ自分に近いゴブリンの近くまで来ると、顔を見合わせ頷くと茂みから跳び出し、近くのゴブリン目掛けて襲い掛かる。
いつも通り、リーチの長く、私より動きの速いアテナがゴブリンを突き刺し、遅れて私がもう1体のゴブリンの顔面にパンチを撃ち込むと、残った1体は、どう見ても装備が弱そうに見える私に跳びかかってきた。
私はゴブリンの跳びかかりながら振るってきたこん棒を、ガントレットで受け止めると・・・闘気を発動しているので思ったより衝撃が少ないな・・・ゴブリンの後ろで攻撃の準備が整っているアテナの姿が視界に入っていたので、そちらに飛ばすようにゴブリンの体を突き飛ばす。
空中でこん棒を受け止められ、耐える事も出来ないゴブリンはそのままアテナの方に飛ばされ、待ち構えていたアテナのゴブリンに串差しにされた。
私達はゴブリンを倒しても油断せず、周囲を警戒し追加が来ないことが分かると、警戒を解く・・・。
するとガサリッと近くの茂みが揺れて、慌ててそちらを向き構えると・・・ガサッ!とアーノルドが立ち上がった・・・、私達はそれを見て2人で、は~、と溜息を出した。
アーノルド「2人とも良い連携だったな!ただ、まだ気配の探り方が甘いな!」
と言われたが、アーノルドぐらいの実力の離れた人が気配を隠していたら気付かないと思う・・・。
アテナも私と同じくそう思ったのか、
アテナ「アーノルドさんに気配を隠されたら気付きませんよ」
と言っていた。
アーノルド「そうは言ってもな、気付きませんでしたで大変な事になる事もあるからな、普段から気配を読む練習をする事だ」
確かにその通りで、旅の途中で野営なんかしていて、賊に襲われた時に気付きませんでしたじゃまずいもんな・・・時間がある時にアーノルドに練習法を聞き、練習しとこう・・・。
私「そういえばアーノルドは、なんでこんな森の浅い所に?ゴブリンの集落を探すとしたらもっと奥って言ってませんでした?」、
私はまだ夕暮れには時間があるのに、ゴブリンの集落を探しているアーノルドが、森の浅い所にいる事に疑問を持ち聞いてみる。
アーノルド「ああ、やっと集落を見つけたんだがな・・・どうにも様子がおかしくてな・・・」、
私「様子がおかしい?」
アーノルド「引っ越すのか、慌ただしく集落の物資を纏めて、移動する準備をしてるもんだからな、他所に移るんだったらいいんだが、もしかするとこの後村に襲撃するかもしれんので、村に戻って村長に伝えて備えさせようと村に戻って来てたんだよ」と説明してくれたので、
私「そうしたら急いで戻らないと!」と慌てたが、
アーノルド「もうしばらく時間はかかるだろうし、来るとしたら夜だろう、まだ時間はあるし余裕はある」と落ち着いていた。
私「そうだとしても早めに戻って準備しないと!」私は危険度が分からないので不安だった・・・、
アーノルド「まぁそうだな、それじゃ戻るか」と普段通りのアーノルド、私はアテナを見ると、こちらもアーノルドさんが焦ってないし大丈夫みたいな感じだった・・・。
私達は3人で村に戻ると、アーノルドは村長に話をしてくると村長の家に向かい、私達はいつも通り装備の手入れをし、井戸で汗を流すと、アーノルドの家の前で話をしながらアーノルドの帰りを待っていた。
私「村にゴブリンが襲撃に来るかもしれないのに、アーノルドもアテナも全然焦ってないね?」
アテナ「村を魔物が襲うのは時々あるからね、普段は畑をやってる自警団の村人もゴブリンぐらいなら皆倒せるしアーノルドさんがいるから心配はしてないよ」
どうもそこまで大きなイベントでは無いみたいだ・・・まぁ私もアーノルドがゴブリンにやられる姿は想像できないけど・・・どうにも嫌な予感がするんだよな・・・なんかどっかで見たような・・・。
私が考え込んでいるとアテナが、
アテナ「あ、アーノルドさんが戻ってきた」
と言ったので考えるのを止め、前を向くとアーノルドさんがこちらに向かって来ていた。
アーノルド「村長と話をして来た、ゴブリン共は来るとしたら今日の夜だろうから、北と南に自警団を配置して、交代で夜通し見張りを立てる、こっちに来ずどっか別の地に移動してくれれば、翌日にでも集落を確認して終わりだな、もし襲撃してきた場合は応戦して殲滅だ」
という事で決まったらしいが、自警団は、という事は、私達はどうするんだろう?と思い聞いてみる、
私「自警団ではない私とアテナはどうするんです?」
アーノルド「お前らは、ゴブリン共は来るとしたら纏まってどっちかに来るはずだからな、来た方に自警団を集めて応戦するから、来なかった方に、はぐれたのが来た時の為と、来なかった方の自警団へ襲撃されてる方に移動するよう伝える為に、村の中央付近にある村長の家で、儂と一緒に待機だな、儂は襲撃が来たらそっちに駆けつける」と言われた、私とアテナは空いてしまう側の代わりの門番みたいだ。
私「了解しました」
アテナ「わかりました」
私とアーノルドは夕飯を取り・・・アテナは一度家に帰った・・・アテナがご飯を食べ戻って来たので支度をして村長宅の前に来ていた。
村長宅前には村の自警団の人達とチャップ達3人が集まっていた・・・チャップの私を見る目が嫉妬で凄いことになってる。
村長宅前には焚火が敷かれ、いくつかタープのような物が張ってあり、その下で仮眠を取ったりするようだ・・・、アーノルドさんが指揮を執っており、北と南の入り口にとりあえず3人ずつ立たせ何時間か置きに交代するようである。
私とアテナ、それとチャップ達3人組も襲撃があったとき用の待機組である。
アーノルドは初めて見る、全身鎧でフル装備になっており、もの凄く強そうである・・・、私は暇なので、
私「実際の所、脅威度はどんなもんなんですか?」とアーノルドに聞いてみた、
アーノルド「ゴブリンソルジャーっていう剣を装備したのが3体いたが、それ以外は全部持っててもこん棒だからな、数も50ぐらいだったしな、まぁ自警団で全然対処できるレベルだな・・・、気になるのは、なんで急に移動しようとし始めたのかってとこなんだが、魔物の考えは分からんからな・・・この辺じゃゴブリンの集団を襲う魔物なんていないしな・・・」
私「普通は急に移動する事は無いって事ですか?」
アーノルド「まぁ態々作った集落をすぐ捨てないだろ?だからちょっと変な感じなんだが・・・」私はそれを聞き嫌な予感が強くなった気がした・・・。
しばらくアテナと話をしていると・・・チャップが凄い目で睨んできてた・・・南の方から自警団の人が走って来て、
自警団員「アーノルドさん来ました!南の畑の近くの森からゴブリンが出てきました!」
と伝えに来たので、アーノルドさんは目を瞑って座っていたが立ち上がり、
アーノルド「自警団員はすぐに南へ向かうぞ!アテナ達とチャップ達は北の入り口に向かって、北の自警団員に南へ来るように知らせろ!お前らは伝えたらそのままそこで待機だ!」
と言って南へ自警団の人達と走って行った。
私達は駆け足で北の入り口に来ると、そこにいた自警団員に南側に襲撃があったので向かって下さいと伝え、自警団員がいなくなった北の入り口を、アテナと私、チャップ達の3人に別れ守っていた。
私「はぐれたゴブリンが来るかな?」
アテナに聞くと、
アテナ「どうだろうね?ゴブリンは臆病だからあんまりバラバラに攻めてきたりはしないと思うよ」
私はそれを聞いても嫌な予感が無くならない、何か・・・そうだ・・・こちらに来る前ゲームを始める前に見た攻略動画的な物に、序盤のレイドボス攻略が上がっていて・・・ゴブリンが大量に襲ってきた後確かレイドボスが来るんじゃなかったか?
私はそれを思い出したところで、もしもの為にSPを使ってスキルを習得する事にした。
私はカバンからステータス板を取り出しジョブツリーを操作する、私は今後1人で生きていくつもりは無かったので、まずは仲間を死なせない為にライトボールを習得し次のキュアを習得する、これで回復量は少ないが味方を回復できる。
アテナはいきなり石板を取り出し、何かしている私を不思議に思い、
アテナ「それは何をしているんだい?」と聞いて来たので、この世界には無いと思われるステータス板の事を今はまだ教えられないので、
私「これは私の流派の心得みたいな物だよ、それを見て心を落ち着かせようと思ってね」
アテナ「そうなんだ・・・、なんて書いてあるんだい?」
聞かれたので、ちょっと考え有名な、
私「明鏡止水の心を持って常に行動しろって書いてあるんだよ」
アテナは明鏡止水という聞いた言葉なのでよく分からなかったみたいで、
アテナ「明鏡止水というのは聞いた事ないね?どういう意味なんだい?」
私「一点の曇りの無い鏡のように綺麗で、澄み切った水が揺らぎの無い状態、ようは落ち着いてって事だよ」
かなり簡単に説明してしまったが、うまく伝える言葉が思い浮かばなかった・・・
アテナ「それはいい言葉だね?明鏡止水か・・・」
アテナは気に入ったのか言葉を反芻しているようだ・・・。
私達が北の入り口に来てしばらく経つと・・・東側の畑に近い森の方から大きな音が聞こえてきた・・・チャップ達がなんだなんだ?とざわついている・・・私達もそちらを注視していると・・・、木を折りながら緑色の体長4メートルはあるトロルと呼ばれる魔物が、
トロル「ぶふぉぉぉぉっ!」
と雄たけびを上げながら出てきた・・・。
トロルは手に木を半分に折ったのをこん棒にしたような物を持っており、畑の周りの木の柵など簡単に踏みつぶし、畑に侵入し村に向かって進み始めた。
私とアテナは、このままでは村の周囲の柵まで壊されて、村が襲われると思ったので、顔を見合わせトロルに向かって走り出す・・・チャップ達は腰が抜けたのかへたり込んでいたので一応、アーノルドさんを呼ぶよう声を掛けたが駄目であろうな・・・。
私「多分私とアテナではトロルは倒せないと思うので、アーノルドさんが来るまで耐えましょう」
アテナ「そうだね・・・あれはアーノルドさんじゃないと倒せないだろうね」
私「それじゃぁ挟むような形で気を散らしながら時間稼ぎしようか?」
アテナ「分かった、それじゃぁ私は右から回るね」
アテナはそう言うとトロルの前を抜ける事になる右からを選択して駆けて行った。
私は多少安全な左からトロルに向かって駆けて行く・・・トロルは近くで見るとかなり大きく見える・・・このトロルはやはり、転生前に見た序盤のレイドボスで本来は5,6人のパーティーで戦う相手のはずだ、タンク職が前線を支えアタッカーが攻撃を加え、ヒーラーがタンクを支えるといったパーティーで挑む前提のボスのはずだ・・・、決してアタッカーと遊撃の2人で挑む相手ではない・・・。
トロルが正面を走り抜けるアテナに気付き、気を取られた所で私はトロルの右後方に回り込み目の前に見える右太ももに攻撃をしてみた・・・、まったくダメージが入っている感触が無い・・・。
トロルは攻撃した私を認識し、丸太のこん棒を振り上げたので私はすぐに傍を離れる、私の居た場所にブオンッと怖ろしい音をたてて通り過ぎる、反撃が来ることを見越して軽い攻撃にしていてよかった・・・、思ったより動きが速かった。
アテナはトロルが私に攻撃したのを確認して、逆側から突きを放ったが、穂先が刺さる事は無かった・・・、トロルが左手を払うように振ったのをちゃんと避けていたのでアテナも全力で攻撃をしたわけでは無いのだろう。
私とアテナはしばらく、チクチクと交互に攻撃をしては離れるを繰り返していたのだが、トロルは苛立ってきており、攻撃が大振りだが鋭くなっていた時だった、私が太ももに攻撃を加え、反撃が来ると思い離脱の体勢を取り、トロルの攻撃が来たため離脱をすると、トロルの攻撃は振り払いではなく、横薙ぎになっており私の居た所を通り過ぎ・・・、槍を構え突きを出そうと前傾になっていたアテナの方に向かって行った。
アテナはトロルの体が回り、右手に持った丸太のこん棒が自分に向かって、横から来ている事に気付いたが自分は槍を突き出そうとしていた為、前に体重がかかっており、避けるにしても前にしか避けれず、そうするとトロルの足元に転がる事になるので、これは槍で受けるしかないと、丸太のこん棒を槍の持ちで受け止め・・・たが、槍が折れ、こん棒の直撃を喰らい吹っ飛んだ。
私は横薙ぎを避けた先で、その後景を見た。
私はトロルに攻撃をしかけ、こちらに気を向かせ、攻撃を避けながら吹っ飛んだアテナの様子を見るが・・・、ピクリとも動かない・・・、私は直ぐにでもキュアをしなければと思いながら必死にトロルの攻撃を避ける。
トロルがこん棒を真上から振り落としたのでギリギリ横に避けトロルの足元に滑り込み、トロルの顔面に手の平を向けて、目暗まし代わりになれと、
私「ライトボール!」
私の手の平から光球が顔面に飛ぶ・・・、私は顔面に光球を喰らい地団駄を踏んでいる足元を転がり抜け、アテナの元に全力で向かう。
私はアテナの元に辿り着き、息を確認すると・・・、良かった呼吸はしている、ただ重傷なようで、吐血しているので、急いでキュアを使える限り使う・・・。
私はキュアが出なくなるまで使うと、アテナは意識を取り戻したので、
私「アテナ申し訳ないが、直ぐにアーノルドを呼びに行ってほしい」
アテナ「それではロックが1人になってしまう・・・1人ではあいつは抑えられないよ」
私「武器の無いアテナじゃ居ても同じだよ、腰の小剣もどこか行ってしまってるみたいだしね」
アテナはそう言われ自分が盾しか着けてない事に気付く、
アテナ「だが・・・」
私は何か言おうとするアテナを遮り、
私「アテナが早くアーノルドを呼んでくれれば、その分皆が助かる可能性が上がる、私はアーノルドの攻撃を捌く練習ばかりしたからね、攻撃を避けるだけならなんとかなるさ」
アテナ「・・・」
私「トロルが眼暗ましから回復しそうだから早く行くんだ!」
アテナ「死ぬんじゃないぞ!」
アテナはそう言って南へ向かって駆けだす。
トロルは駆け出し始めたアテナに気付き、こん棒を投擲するような体勢になった為、私はアテナとトロルの間に入る様に体を入れる・・・と、こん棒を投擲した。
私は避けるとアテナにこん棒が当たる為、両腕を交差させガントレットで受け止めると・・・、バキャッという音が、交差させた上側にあった右腕から聞こえ、受け止めきれなかった衝撃で後方に吹っ飛び転がる。
その音で振り返ったアテナに、
私「早く行けっ!」
と立ち上がりながら言う、アテナはそれを聞き今度は振り返らず全力で駆けて行く・・・、私は折れて動かなくなった激痛の走る右腕を見、痛みで吐きそうになりながらもカバンに手を突っ込み、カバンから低級回復ポーションを出しがぶ飲みする。
トロルが近付くまでになんとか3本ほど飲み切ったが、骨折は治らないようだ・・・、私は動く左腕だけ構え、アーノルドが来るまで耐えきると覚悟を決め、トロルの攻撃を避け始めた・・・。
・・・あれからどれぐらい経ったのだろう、私は攻撃は考えず、ひたすら避ける事だけを考え動きまわっていた。
神経をすり減らす、一撃も喰らえない状態で避け続け、集中力が落ちてきているのか、危ない場面が増えてきている、今も避け損ない、こん棒に引っ掛けられ転がされたが、追撃をなんとか躱した。
今の所応援が来る気配は・・・無い、もう体力の限界も近い・・・、私はぼんやりとする頭で、少しでもトロルの動きを遅くして、村への被害を減らそうと考え、最後の力を振り絞り、トロルの私のしぶとさに苛立ち大振りになっていた横薙ぎを倒れ込むように避け、転がり、目の前に来たトロルの足の小指目掛け、
私「強打掌!」
スキルを叩き込んだ。
トロルは小指に走る痛みに呻きながらも、それを与えた小さい人間に怒りをぶつけるように足で思い切り蹴り飛ばした。
私「ぐはぁっ!」
私は隙だらけの胴体にトロルの蹴りを喰らい、吹っ飛び畑に転がり倒れた・・・、薄れゆく意識の中カバンから低級ポーションを出そうと手を突っ込み、取り出したところで意識を失った・・・。
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