第2章 冒険者の街カリヴィア 7
お待たせしました。ちょっと長いです。
楽しんで頂ければ幸いです。
次の日私達は楽しみにしていた朝食を食べに1階に降りると、
ハンナ「ロックとアテナ待ってたよ」
ハンナは私達を見るなりそう言うと厨房に行き・・・、私達が席に着くと直ぐにこちらに何かを持ってくると、
ハンナ「とりあえずアルキノコのスープだけ持って来たよ、今日は特別にお代わりして貰っていいからね」
そう言うと、厨房に戻って行った。
私達は出されたアルキノコのスープを飲んでみると、
アテナ「ロックこれ凄い美味しいよ!」
私「本当だね、これがアルキノコだけで取ったスープなんだとしたら凄い魔物だね」
私がそんな事を言っていると、
ハンナ「正真正銘アルキノコだけで作ったスープだよ、今日のは特に味が凄いよ?それだけあのアルキノコが新鮮だったからだけど、旦那もあんな新鮮で傷が少ない奴は初めてでこんな味になったのも初めてだって褒めてたよ」
そう言いながら今日の朝食を並べてくれたので、
私「鮮度で味が変わるんですか?」
ハンナ「そうなんだよ、うちは普段からアルキノコのスープをベースに料理を作ってるからね、昨日飲んだスープとこのスープじゃ全然味が違うだろ?」
私はそう言われ昨日飲んだスープを思い出し、昨日飲んだスープは美味しいコンソメスープがベースのオニオンスープだったけど、今日のはそれに更にトリュフでも入れたような味になっていたのだった。
私「全然別物じゃないですか・・・」
ハンナ「だから傷が少なく鮮度がいい物は高くなるのさ、それにしても今回のは鮮度が良すぎたね、この味なら200ゴルドじゃ安すぎる位だね・・・、このスープだけでお金が取れそうだし、このスープを混ぜた料理も美味しくなるからね・・・このスープは封印するようかもね」
私はそれを聞き、確かにこのスープが毎回出ると評判が広がると私が居なくなった時に同じ味が出せなくなる可能性があると思い、
私「もしもこの鮮度のアルキノコを持ってくる事が、私以外じゃほぼ無理だとしたらどうしますか?」
ハンナさんはそれを聞き少し考えると、
ハンナ「う~ん・・・、ロックが別の街に行ったら手に入らなくなるなら、やっぱり封印するのが一番かな?これがうちの普通だと思われたら、ロックが居なくなった時に大変だからね」
私「時々手に入るぐらいであればどうですか?」
ハンナ「それなら特別メニューとして出してもいいかもね?」
私「ちなみにハンナさんであればいくらまで出しますか?」
ハンナ「スープ1杯10ゴルド・・・いや15ゴルドでもいけるか・・・これを使った料理を40ゴルドで出すとして・・・アルキノコ一体で・・・うん、1000ゴルドは出せるね」
私「十日に1体でいいんですか?」
ハンナ「あのサイズだからね、1体で十日持つよ」
私「それなら十日に1体納品しましょうか?」
ハンナ「それが出来るならうちは有難いけど・・・」
私「アテナどうかな?」
アテナ「ハンナさん私達はもちろん?」
ハンナ「特別にタダでいいよ、二人にタダで出してもお釣りが来るからね」
アテナ「そう言う事であれば問題ないよ」
私「それでは今後は十日に一度、私達がこの街にいる間は納品するという事で・・・」
ハンナ「あぁ契約成立だ」
こうして私達はこの街での定期的な収入源を一つ追加するのだった。ちなみに朝食はアルキノコスープにトリュフの味がするオムレツにサラダと、今日はフォカッチャというイタリアのパンだった。
私達はスープのお代わりもさせて貰えたので、お代わりし朝食を食べ終えると部屋に戻り、
アテナ「ギルドを通さないで魔物の納品を契約したけどいいのかな?」
私「それは大丈夫だと思うよ?ギルドはあくまで依頼の仲介をしてるだけだしね、アルキノコの依頼は他のお店からも出ていたから、宿り木亭からの依頼が無くなってもアルキノコの討伐依頼は出るわけだしね」
私はもう一つ重要な事があるのでそれも伝えておく、
私「それに私達が納品しない限り同じ鮮度のアルキノコは、同じマジックバッグを持ってるか、保存の魔法を使える人じゃないと納品出来ないわけだしね、ギルド的にも助かるんじゃないかな?」
アテナ「ギルドが助かるのはどうしてだい?」
私「今朝食べたスープと同等の味を出そうとするなら同じアルキノコが必要になるからね、多分昨日か今日に同じ依頼を出していたお店に納品されるはずだから、時間でどれぐらい味が変わるのか分からないけど、それでもいつもより美味しいスープが出来る可能性があるからね、お店としては今後も同じ物が欲しくなるわけじゃないか?」
アテナ「それはそうだろうね?同じ値段で美味しい物が使えるならそうしたいだろうし」
私「そうするとギルドは私達に依頼しなくちゃいけなくなるから、指名依頼にしなくちゃならないし、駆け出し冒険者の受けれる比較的簡単な依頼が減ってしまうからね、それなら今回は、たまたま鮮度のいい物が納品された事にすれば問題無いからね、私達も通常よりも高く報酬が貰る上に目立たなくて済むし、ギルドも面倒な手間は増えず駆け出し冒険者の依頼も減らない、というどっちにも不利益にはならないからね」
アテナ「なるほど・・・、ロックは色々考えてるんだね?」
私「カバンのせいで命を狙われたくは無いし、出来れば楽に稼げるなら稼ぎたいしね?切羽詰まってトロルみたいなのとやり合うような冒険はしたくないしね・・・」
アテナ「私もあの時のようなことにはなりたくないね・・・」
私達は少し前のトロルとの戦いを思い出し、
私「とりあえずこれで、安定した収入を二つ得る事が出来たからね、アルキノコは見つけ次第討伐してカバンに仕舞っとけばいいしね」
アテナ「森に行った時に見つけたら倒してロックのカバンに仕舞っておけば必要な時に渡すだけでいいのか・・・」
私「ベアハッグもそうだね」
アテナ「手頃な依頼が無ければとりあえず森に探索に行けばいいわけだね」
私「そう言う事だね、森に行く用事がある時もアルキノコは狩っておけばいいわけだしね」
アテナ「そうと決まれば今日も冒険者ギルドに依頼を見に行こうか!」
アテナがそう言うと私達は出掛ける準備をし、冒険者ギルドへと向かった・・・。
冒険者ギルドへ着くと今日は少し話し込んでいたからかクエストボード周辺には人が少なく、依頼受理の受付に人が並んでいた・・・、それでも受付の人数が多いからか結構なスピードで処理されて行っているが・・・。
私が受付を見ていると、
アテナ「今日はこのビッグホーンディアの討伐にしようか?角をなるべく傷つけずに討伐で報酬アップみたいだね」
私は依頼書を見せて貰うと、
私「森の中層の手前ぐらいから出現するみたいだしいいんじゃないかな?アルキノコを狩りながら探索して、ベアハッグもいれば狩れるしね」
アテナ「じゃぁ依頼を受けて来るね」
アテナはそう言うと受付へと向かって行ったので、私はまたすることも無いので、クエストボードを眺めていると・・・、
女A「ちょっといいかしら?」
と、今日は女性に話しかけられたようだ。
私は振り返り、
私「はい?なんでしょうか?」
私が振り返るとそこには、多分女性だと思われる二人組が居た・・・、多分なのはローブで頭から体まで隠していて分からないが、ローブの体のラインが女性っぽかったからと声が女性だったからである。ちなみに声を掛けて来た女性と思われる人は、多分アテナよりどこがとは言わないがデカそうである・・・もう一人も多分女性だけどこっちは普通である、どこがとは言わないが・・・、そんな事を考えていたか少し二人からの視線が冷たくなったような・・・?
女A「ゴホンッ、あなたは先程一緒にいた金髪の女性とはどういった関係で?」
私はそう聞かれ、赤の他人にアテナの情報を与えるわけにはいかないしなぁと思いながら、
私「関係と言われても?顔も隠してるような人に言うわけには・・・」
私がそう言うと、
女A「あら、ごめんなさい・・・、これでいいかしら?私はセシリア、後ろの子はアルテミスと言うわ、一応二人とも赤銅級の冒険者で、二人で組んで活動しているわ」
私は顔を隠していたローブの下から現れた、アテナとは違った大人の女性といった雰囲気の美人に見惚れてしまった・・・。
セシリア「それでいいかしら?」
私はセシリアに話しかけられ意識を戻すと、
私「私とアテナの関係は、アテナの保護者にしばらく付き添うように頼まれたのでPTを組んでる感じですね」
セシリア「あの子はアテナさんと言うのね・・・、それじゃしばらくしたらPTは解散するのかしら?」
私「どうなんですかね?一応アテナが私を必要無いと言えば解散することにはなりますけど」
セシリア「恋人で一緒にいるわけではなく、あくまでその保護者に言われて付き添っているからアテナさんがいらないと言えば解散すると・・・」
私「そうですね、保護者の方もアテナが心配で私に付いて行く様言ったみたいですし」
セシリア「分かりました、ありがとうございます」
そう言うとセシリアさんと後ろにいたアルテミスという子はどっかに行ってしまった・・・。
入れ替わるようにアテナが戻ってくると、何か警戒する顔で、
アテナ「ロック今のは?」
私「赤銅級冒険者のセシリアさんて人とアルテミスって子の二人組の冒険者の人だね」
アテナ「なんでロックに話しかけて来たんだ?」
アテナは何かを警戒しているようだが・・・何か怪しい点でもあったのか?と思いながら、
私「私とアテナの関係について聞いて来たね、恋人かどうかとかいつかPTは解散するのかとか?」
アテナはそれを聞くと険しい顔つきになり、
アテナ「なるほど・・・今後は要注意人物だね・・・ロックに目を付けるとはね、中々見る目がある強敵かもしれないね・・・」
私は要注意人物の後がよく聞こえなかったが、向こうもアテナの事を気にしていたし、アテナが注意をするぐらいだから何かあったのかな?と思いながら、
私「あの二人と何かあったのか?」
アテナ「いや、ロックは気にしなくていいよ」
私はそう言われたので、女性冒険者同士なんかあったのかもしれないと思った・・・。
私達は冒険者ギルドを出て昨日と同じ森に着くと、中層付近を目指して森を探索していた・・・。
アテナ「ロックこれでアルキノコ2体目だ」
私「これでとりあえず2週間分だね」
私達は森に入り、時折出会う襲ってくる魔物を狩りながら、アルキノコを2体狩ると・・・、
私「そろそろ中層付近だから、ビッグホーンディアが出てくる層だね」
アテナ「かなり普通の鹿を大きくしたような魔物だっけ?」
私「図鑑によると、体長2.5メートルで名前の通り角が大きく、それで突進攻撃をしてくるみたいだね、倒すなら突進を避けて角を傷つけないように頭を落とすか、心臓を突くかだね」
アテナ「了解したよ」
そんな話をしながら探索していると、アテナが何かを見つけたようだ、
アテナ「ロックあっちにビッグホーンディアがいるんだけど、近くにそれを狙ってるコボルドも3体いるみたいだ・・・」
私はアテナと同じ方向を見ると、確かに言った通りアメリカヘラジカを一回り小さくしたようなビッグホーンディアとその近くにコッソリ近付いているコボルドが見えた。
私達はどうすると顔を見合わせ、
私「コボルドとビッグホーンディアの勝った方とやり合うのが一番楽だけど・・・、それをすると角が傷つきそうだね?」
アテナ「そうしたら私がビッグホーンディアでロックがコボルドをやるかい?」
私はコボルド3体かぁ・・・、まぁ大丈夫かと思い、
私「分かった、早く終わったら援護お願いね」
アテナ「そっちもね?」
私はアテナより早く終わらないと思うけど、
私「了解・・・」
私達はそれぞれの獲物に向かってなるべく気付かれないように進んでいく・・・。
私はまだこちらに気付いていない、ビッグホーンディアを襲おうとしているコボルド3体の、一番近いコボルドに駆け寄り、駆け寄る事で気付いて振り返りつつある横顔に全力のストレートを喰らわすと、潰れる感触と共にコボルドは吹っ飛び、こちらに身構え、私には分からない言葉で喋っている完全に戦闘態勢になっているコボルドと戦闘に入る。
私を挟もうと両側に開こうとしているコボルドを視界に入れつつ、ビッグホーンディアから距離を取るのと挟まれないようにする為、少しずつ後ろに下がる・・・、そうするとコボルドもジリジリとこちらに近づいて来るので、ある程度後退した所で、何かに引っ掛かり体勢を崩したふりをすると・・・、コボルド2体は今だっ!と2体同時に襲い掛かって来たので、素早く横に避け、近い方の飛びながら剣を振り下ろして来た隙だらけのコボルドを、ヤクザキックで横っ腹に蹴りを入れると2体同時に吹っ飛んだので、転がっている近い方のコボルドの頸椎を踏み砕くと、もう一体のコボルドが寝ながら水平に剣を振って来たので飛び退く。
私は残った立ち上がったコボルド1体と向き合い、少しずつ間合いを詰めていき・・・、相手の間合いに入るとまた跳びかかって来たので、ヒョイと横に躱し、隙だらけの横顔に全力ストレートを撃ち込んだ・・・。
私は増援と生き残りを警戒し、全滅させたようだと警戒を緩めアテナの方を見ると、あちらも終わっているようで、見事に首で斬り落とした頭を持ってこちらに満面の笑みで掲げて見せた。正直美人が笑いながら頭だけのごっつい鹿の頭を持ち上げる映像に私は少し怖かった・・・。ボタボタ血が落ちてるし・・・。
時間は少し戻り・・・、アテナはコボルドの方に向かったロックと別れ、ビッグホーンディアに向かって進んでいた・・・。
私はコボルドに向かったロックを全然心配しておらず、コボルド3体なら今のロックなら余裕だろうなと思いながら、ビッグホーンディアを倒す方法を考えていた、考えると行っても倒し方はさっきロックが言っていた通り頭を落とすか、心臓を一突きであるが、心臓の位置は初めて戦う相手で、鹿に見えるが鹿とは位置が違う可能性もあるので、やるなら頭を切り落とすかな?と決めていた。
分からないのはどの程度の突進速度という事と、避けるにしてもどのくらい追従されるかとかである・・・、それは一度見ないと分からないから、最悪角は傷つくかもしれないがこの盾で受け止めようと思いながら進んでいると、ロックの進んだ方向からコボルドの断末魔が聞こえた為、ビッグホーンディアも気付きそちらを向いた為、私はわざと気を引くために音を出して近付き、ビッグホーンディアの気を引く・・・。
ビッグホーンディアは思惑通りこちらに気付き戦闘態勢に入った為、私はいつ突進が来てもいいように構えると・・・、ビッグホーンディアはこちらに頭を下げ角を突き出しながら突進してきた!
私は思っていた以上では無かった突進を余裕を持って横に跳びながら躱すと、下を向いて余り見えていなかったのか、横に跳んでから少し軌道がこちらに修正されたが、余裕を持って躱すことが出来た。
鹿は真上が死角と聞いた事があるから、突っ込んで来る時は正面に立っている死角にいる私が見えない限りはそこにいると信じ突っ込んできているのだろう・・・、それで見える位置は角の当たる位置では無いから軌道を修正しようとするが間に合わないと・・・、私はビッグホーンディアの動きが分かったので、突進して通り過ぎ走った勢いで離れたビッグホーンディアが、Uターンして再度こちらに突進してくるのを身構えて待つ・・・。
ビッグホーンディアは後ろ足で何度か地面を掻くと・・・、再びこちらに向かって突進してきたので・・・ギリギリまで引き付け横に躱すと、目の前を角が通り過ぎ首が見えた瞬間私は躱しながら振り上げていたハルバードを首に向かって振り下ろした・・・。
私の目の前を勢いのまま通り過ぎしばらく走った後、そのまま首で頭と胴体が別れたビッグホーンディアが倒れた。
私がビッグホーンディアの頭を持ち上げ、ロックのいるであろう方向を見ると、やはり傷一つないロックがコボルドを倒し終えていたのであろう、こちらを見ていたので笑いかけながらビッグホーンディアを倒した証拠として頭を掲げて見せた。なんか引き攣った顔をした気がしたが気のせいか?ビッグホーンディアの頭が気持ち悪かったのかな?
私はコボルドの3体の討伐証明部位の耳を切り取り、魔石を抜き取るとアテナの方に向かい、
私「無事ビッグホーンディアを倒せたみたいだね?」
アテナ「そうだね、思ってた以上の突進の速度も無かったからね、ロックも普通に倒せると思うよ?体は傷つけてもいいみたいだしね」
私「アテナが避けれるなら、一瞬の速さなら私の方が速いから私も避けれそうだね」
アテナ「ロックなら余裕で避けれるよ、私でも余裕があったからね」
私は図鑑のビッグホーンディアのページを見ながら、
私「角は薬になるから証明部位兼納品対象で・・・後は毛皮も一応取れるらしいから一応本体ごと回収しようか・・・、納品は角だけ剥ぎ取って背嚢に括り付けようか・・・、さすがに背嚢の口に途中でひっかかるしね」
アテナ「了解」
私達はビッグホーンディアの角を両方剥ぎ取ると、体は背嚢に入れているマジックバッグに収納し、角が無くなった頭に用は無いので、別の魔物の餌となってもらう。
私「今日はちょっと早いけど引き上げようか?」
アテナ「そうだね、アルキノコも2体狩ったし、目的のビッグホーンディアの角も手に入れたしね」
私達は早めに切り上げ街に戻ることにした・・・。
今日の帰りはアルキノコは見つからず、襲ってくる魔物だけ返り討ちにし街に戻り、ギルドへ向かう・・・。
冒険者ギルドに着くと、オルテガのいる受付に向かい、またまたちょうど良くオルテガの前が空いた時に順番が来たので、
私「オルテガさん今日もよろしくお願いします」
オルテガ「お?ロックか!今日はなんだ?っていうか後ろに背負ってるビッグホーンディアか・・・」
私達がそれぞれ1本ずつ背負っている角で分かったのだろう、
私「そうです、後、体も丸ごとあるんですけど・・・」
体の部分だけ顔を寄せ小声で話すと、
オルテガ「本当か?」
とオルテガさんも小声で聞いてくる、
私「アテナが首を一撃で落としたので多分綺麗な状態かと・・・」
オルテガさんはそれを聞くと、
オルテガ「角の処理をしたらサインを渡すから少し待っててくれ、裏に行けるように準備する」
そう言うと角の検分をし、
オルテガ「全然傷も無いし問題ない、報酬上乗せでサインする」
そう言ってサインを書き羊皮紙を渡されたのでそれを貰い列を離れ、しばらく待っていると・・・。
ギルド職員「ロックさんとアテナさんですね?」
私達は職員に声を掛けられ、
ギルド職員「今度時間のある日中にギルドに来て欲しいとオルテガさんからの伝言です」
そう伝えると戻って行ってしまったので、
私「・・・だってさ、どうしようか?」
アテナ「う~ん、街の中の時間のかからなそうな依頼を受けて、それが終わった時にでいいんじゃないか?」
私「そうしようか・・・、それじゃビッグホーンディアの依頼完了サインを・・・」
アテナ「私が行って来るよ!」
そう言うとアテナは私の持っていたサインを奪い行ってしまった・・・。
無事依頼完了し450ゴルドを受け取って戻って来たアテナと宿に戻ると、そこには群がるお客さんとどうにか収拾しようとしている宿の女将ハンナさんがいた・・・。
私達は群がる人達を描き分けながらハンナさんに近付くと、
私「ハンナさんこれは一体どうしたんですか~!」
私は騒々しい声に消されないように大声で呼びかけると、
ハンナ「ロックいい所に帰って来たね!ちょっとどきなぁっ!」
男A「なにしやがっ、うおわぁぁぁぁっ」
男B「アニキィッ!!」
どっかで見た事ある人がハンナさんに投げ飛ばされると、辺りは静まり返り、
ハンナ「ちょっとお客さん達悪いが待ってて遅れよ」
と凄みのある顔で睥睨し、
ハンナ「ロック宿に入っておくれ」
私達はそう言われ宿に入っていく・・・、ハンナさん自分よりデカい男をぶん投げたけどこちらの世界の女性は力が強いのか・・・?とりあえず女性は怒らせないようにしようと誓った・・・。
私達は宿に入ると、
ハンナ「すまないがあの鮮度の良いアルキノコを狩ってたりはしないかい?」
私とアテナは顔を見合わせると、
私「ハンナさん2体狩ってますけど・・・」
ハンナ「そうかい!今すぐ売ってくれないか!」
私はハンナさんに掴みかかられ揺さぶられながら、掴まれた肩がっ!指が食い込んでっ!そんな私をみかねて、
アテナ「ハンナさん落ち着いてください!ロックがそれじゃ喋れませんよ!」
ハンナさんはそう言われハッとなり、離してくれた・・・、
私「売るのは全然問題ないんですけど、外のあれはどうしたんですか?」
ハンナ「あのアルキノコのスープがうちに泊まってる冒険者や商人から話が広まってね・・・、昼には耳の速い美食家共が押し寄せて来てね・・・、その美食家が更に周りに広めたもんだから・・・、今度は普通の人も集まって来てね・・・、10日は持つはずのスープが無くなっちまったのさ・・・、それで食べれなかったお客が怒ってあの騒ぎさ・・・、か弱い私じゃ収拾しきれなくてね・・・」
私はか弱いという所で疑問を持ったが、その瞬間殺気を感じたので考えるのを止め、
私「なるほど・・・それでちょうど良く私達が帰って来たと・・・」
ハンナ「そう言う事さ、料金は後になっちまうけどアルキノコを頼めるかい?」
私「そう言う事でしたらどうぞお渡ししますよ」
私がそう言うと、
ハンナ「すまないね、助かるよ、それじゃ厨房の旦那に渡してくれるかい?付いて来ておくれ」
私はハンナさんに付いて厨房に入ると、そこには唸っている熊みたいな人がいた・・・。
熊男「ハンナか?もうスープはどうやっても出せんぞ・・・出せても急遽仕入れた大分味の薄いアルキノコのスープだけだ・・・こんなの二流レストランでも使わないぞ・・・」
ハンナ「昨日のアルキノコを狩った冒険者が今日も狩って来てくれたんだよ」
熊男「なんだとっ!」
勢いよく顔を上げハンナさんを見、私を視界に収めると、ズンズンという音が聞こえそうな勢いで私に近付き私を掴もうとした所で、
ハンナ「落ち着きなよあんたっ!」
と、熊男はハンナさんに突き飛ばされダンプに衝突されたように横に吹っ飛んだ!
私は目の前のハンナさんが実はトロルよりも強いのでは?と思うと、ギンとした目で睨まれたので、全力で目を逸らした・・・、
ハンナ「ロック今何を思ったか言ってみな?」
私はそう言われ冷や汗を流しながら、
私「いえ・・・、ナンデモナイデス、それよりもアルキノコはどこに出せば?」
熊男「お~、痛てて、アルキノコはここに出してくれ」
私は復帰した熊男に指定された場所にアルキノコを背嚢からだし置くと、
熊男「ほ~、マジックバッグ持ちか・・・しかも大口サイズか、イイモノ持ってるな」
熊男が出されたアルキノコを見て、
熊男「それにしてもこの鮮度・・・今狩ったばかりのような・・・」
私はやはり気付かれたかと思い、
私「それ以上言われると私はこの街を去らないといけなくなるので、アルキノコの納品は出来なくなると思ってください」
熊男「なるほどな・・・俺らも昔は冒険者だったからな、それが相当な物だってのは分かるしそれを持ってる危険性もな・・・宿の客の情報は絶対もらさねぇよ安心しな」
私「そう言って貰えるのであればこの街にいる間は、今後も定期的にアルキノコは納品します」
熊男「ロックと言ったか?このアルキノコはどれぐらい納品出来そうなんだ?」
私「アルキノコをメインに狩ってるわけでは無いので・・・今日はたまたま2体いたので狩りましたが」
熊男「アルキノコは一度茹でてスープにしちまえば、味が落ちずに保存出来るんだ、だから狩れたら狩った分だけ卸してくれて構わない、金額は嫁ともう決めてあるんだろ?」
ハンナ「ああ、当初の予定では十日で1体1000ゴルドの予定だったんだけどね」
熊男はそれを聞くと、
熊男「今日の勢いがしばらく続くとなると・・・スープは1杯20ゴルド、料理は50ゴルドでも良さそうだな・・・、ハンナ今日の売り上げは?」
ハンナ「もう今の時点で宿は満室だから10部屋一人用で500、二人用5部屋で500、大人数用が3部屋で一部屋300だから900、宿代だけで1900、スープ代が300人前出ちまったからね4500ゴルド他にも料理は出てたからね、大まかに言っても7000は稼いだんじゃないかね?」
熊男「今までの最高記録だな・・・そうしたらアルキノコはこの鮮度のやつは1500で買い取ってやってくれ、出来ればもっと出してやりてぇが・・・」
私「いえ、労働力なんかでお金が掛かる事も火を使うのにもお金が掛かりますしね、それに普通は高くても150ゴルドですからね、その10倍ですから十分ですよ、私達はご飯代がタダになるらしいですし」
熊男「そう言ってくれると助かる、そういや名乗って無かったな、俺はハンナの旦那のゴリアテ、この宿の料理長だ」
私「ロックです、もう一人外にいるのがアテナです、よろしくお願いします」
ゴリアテ「おう、よろしくな、そうしたら俺は仕込みを始める、喋ってる間にアルキノコの鮮度は落ちちまうからな」
そう言うとゴリアテはスープ作りに入った。
私とハンナさんは厨房を出ると、
ハンナ「ありがとうロックとアテナ、今日は多分下は混むと思うから、夕食が出来たらあんた達の分は部屋に持っていくよ」
私「分かりました、楽しみにしてます」
ハンナ「旦那の料理は美味い上に今日のは更に美味いだろうからね、私は外の収拾をつけて来るよ、夕食で出すと言えば落ち着くだろうしね」
そう言ってハンナさんは外に出て行ったので、私達は部屋に戻る事にする。
部屋に戻ると、
アテナ「凄かったね?」
私「そうだね・・・今度から森の探索ではアルキノコは見逃せないね・・・」
アテナ「アルキノコは確か・・・、普通のキノコに魔力が溜まるとなるんだよね?」
私「魔物図鑑にはそう書いてあったね・・・」
アテナ「という事は森の奥とかに行けば行くほど増えるのかな?」
私「そのはずだけど・・・、森の奥は魔物が強いからアルキノコはすぐ食べられちゃうんじゃないかな?」
アテナ「そうか、だから浅い魔物が少ない所の方が生き残れるのか・・・」
私「まぁアルキノコブームもしばらくすれば落ち着くだろうから、それまではなるべくアルキノコを見つけたら狩るという事で」
アテナ「了解だ」
私達はアルキノコの需要が落ち着くまでアルキノコをなるべく狩る方針を立て、夕食を食べ一日を終えた。夕食はジャガイモやニンジン、それと鶏肉っぽいお肉の入ったグラタンにアルキノコスープ、サラダ、ブールと呼ばれるフランスのパンだった。そういえばこの世界でまだ麺類を見てない気がするので今度休みの日に探してみようと思った。
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