第1章 辺境の村ケラテア 8
お待たせしました。第1章終わりとなります。
楽しんでいただければ幸いです。
私がアテナの稽古後にアーノルドの家で勉強するようになってから1週間が過ぎた。
私は朝起きるとまずはキュアを自分に使えるだけ使う、これによって骨折の治りが良くなるみたいなので毎日これを繰り返していた、そして片手で出来るスープなどの仕込みだけ済ませ、具材は朝の鍛錬を終えたアーノルドに準備してもらう、朝食を食べ終えると肋骨の痛みに耐えながら村の中を軽く散歩する、散歩は肋骨の痛みが大分治まっていた3日目ぐらいからは結構な時間しており、大人が畑仕事に行き暇そうにしていた子供達と遊んだりしていた、とは言っても追いかけっことかが出来るわけでは無いので、手のひらの半分ぐらいの木の板を用意してもらい、裏面を炭で中心だけ塗り、表と裏が分かるようにしてオセロもどきを教え遊んだりしていた。
午前中はそんな感じで過ごし、午後はアテナの持って来た昼食を頂くのだが、結局今日までずっと食べさせて貰っていた、そしてアテナの稽古を見守り稽古が終わると、この辺りの地理の勉強や習慣等を教わる、文字は何故か勝手に変換されるので読めるし、書くとまた勝手に変換される不思議現象が起きていた。
そんな感じでアーノルドが戻るまで勉強し、アーノルドが帰ってきたらアテナも帰ると思ったら、私たちの食事の準備を目撃してしまい、それからはアテナが用意してくれたのを食べていた。
そんな感じで1週間過ごし、骨折の痛みもなくなり今日から鍛錬の再開である、1週間で大分体が鈍っているし、元に戻るまでどれぐらいかかるか・・・。
それから更に1週間経過し、私はトロルにやられた時と同じぐらいに動けるように戻っていた。
アーノルドとの朝の鍛錬が終わると、午前の村の畑の周囲の巡回をしながら、
アーノルド「お前の体も問題無さそうだし、今日から森の中層ぐらいまで入って実戦訓練といくか・・・、この前のトロルとの事もあるし、アテナも神殿騎士を目指すために王都を目指すことになるだろうから、レベル上げも兼ねて午後は魔物狩りとしよう」
私「レベル上げには賛成ですが・・・、危なくは無いんですか?」
アーノルド「中層ぐらいなら気を付けるのは、ベアハッグという熊の魔物ぐらいだろうな、こいつも冷静に対処すれば問題無いはずだ、トロルに比べりゃ大分弱いしな」
私「それじゃ、アテナが来たら組み手は無しで森に行く感じですかね?」
アーノルド「そうだな、昼飯食ったら森に行くぞ」
私とアーノルドはそんな話をしながら巡回し、アーノルドの家に戻ってくるとアテナが向かってくるのが見えた。
アテナが持ってきてくれたお昼を自分で食べていると、
アーノルド「今日から組み手はしないで、食べ終わったら森の中層ぐらいまで探索するぞ」
アテナ「中層までですか?」
アーノルド「ああ、お前らの今後の事も考えてレベル上げと大物との戦闘の訓練だな」
アテナ「この村の周囲で出る大物ですと・・・ベアハッグですか?」
アーノルド「ああ、この辺だとあいつぐらいがでかい魔物だからな、深部の方まで行けばもっとでかいのもいるだろうが・・・今のお前らじゃ無理だろうからな」
アテナ「それでは、ご飯を食べ終わったら準備しますね」
私達は昼食を食べ終わると、それぞれ装備を身に着けていく、私は無事だった左手のガントレットと、右手は腕の部分が砕けてしまったので、手の甲だけ着けれるよう改造した物を着け、胸当ても鉄の部分がトロルの蹴りでひしゃげていたので取り外した、ただの革の胸当てと、無事だった脛部分から足先まで鉄が付いたグリーブを着けると完了である。
アテナは予備の前と同じハルバードが用意されていたので、ヘルム以外は全部着けた全身鎧姿にハルバードを持ち、盾はバックラーである。
アーノルドは防具を着ける必要が無いのか、ハルバードのみである。
私達3人はアーノルドを先頭に森へと入り、途中出会ったスライムやフットラビット・・足の大きいウサギ、跳び上がって蹴りをしてくる・・、ビッグキャタピラー・・でかい芋虫50cmぐらいある、糸を吐いてくる・・、等を狩りながら奥へと進んでいくと、
アーノルド「この辺りからからがこの森の中層だな」
森に入り1時間ぐらいした所で中層に入ったようだ。
アーノルド「この辺りからは、さっき戦ったフットラビットやビッグキャタピラーを、餌にするような奴らがうろついてるエリアだな、木の上から襲ってくるビッグスパイダーや、集団で狩りをするブロンズウルフ・・冒険者ランクに紐付けられた名前で銅のウルフではない・・、単体では中層では強い分類のビッグマンティス・・1メートル50ぐらいあるカマキリ・・、そして中層最強のベアハッグ・・大きい個体は3メートルぐらいまである熊、ハグをしてくるのだが、太い木を圧し折る強烈なハグである。
そんな説明をしながら歩いていると、アーノルドの頭の上に何かが落ちてくる!と思ったがアーノルドは見もせずハルバードを上に突き出し、
アーノルド「こんな感じで襲ってくるから気をつけろ?」
とビッグスパイダーを掲げながら言ってくる。
アーノルドがビッグスパイダーを解体し魔石と糸を取り出し、私に閉まっとけと渡して来たのでカバンにしまう、解体を終えると、
アーノルド「こっからはアテナを先頭に、ロック、儂の順番で歩くぞ」
と言いながら私の後ろに付く、
アテナ「分かりました」
アテナは了承すると先を歩き始めた。
アテナは慎重に先頭を進み、今の所ビッグスパイダーの襲撃にも気づき、問題なく対処出来ていたが、しばらく歩いていると周囲に複数の気配を感じ囲まれている事に気付き、
アテナ「すいません、囲まれていました・・・気を付けてください、多分ブロンズウルフです」
私もアテナが気付くと同時に囲まれている事に気付いたので、
私「すいません、私も気付きませんでした」
私達はそれぞれ背中を合わせるように配置し周囲を警戒する・・・、するとガサリという音と共に私に向かってブロンズウルフが跳びかかって来た・・・。
私はブロンズウルフの噛みつきを左手のガントレットで受け止め、目の前のウルフの横面を右手で殴りつけ横に飛ばすと、追撃をしようとしたが、後ろから別のブロンズウルフが跳びかかって来たので横に転がり躱す。
立ち上がって周囲を確認すると、アーノルドは自分に襲い掛かってきたのを、早々に真っ二つにしており、ちょっと離れた茂みに移動しこちらを見守っている。
アテナは私と同じように1匹目を盾で受け止め、吹き飛ばし攻撃をしようとした所を別のブロンズウルフに襲われ2体と対面していた。
私は殴り飛ばした、頭を振りながら起き上がった1体と、背後から襲ってきた1体の2体と向き合いながら、1対1なら問題なく倒せるのに、1対2になるだけでこんなに倒しにくくなるなんて・・・と思いながら、どうやって倒すかを考えていた。
アテナも私と同じことを思い、1対1なら余裕だが1対2になるだけでこんなにも戦いにくくなるとは・・・と思いどうやって倒すかを考え、考え付いた事を実施する。
アテナは跳びかかって来た1体を、突き刺し、続いて跳びかかって来た1体に、ハルバードをブロンズウルフを突き刺したまま横に振り、突き刺したブロンズウルフと一緒に吹っ飛ばした。
飛んでいったブロンズウルフが立ち上がり、体勢を立て直している所に駆け込み、ハルバードの刃を振り下ろし首を落として2体を倒した。
私はアテナとは違い、先程と同じく1体が跳びかかって来たので、それをガントレットで受け止め、横から顔を強めに殴り飛ばし、追撃するように見せかけて、もう1体の遅れて跳びかかって来た1体を上体を反らし躱しながら、目の前を通るブロンズウルフの横っ腹に全力の一撃を撃ち込む。
横っ腹に一撃を受けたブロンズウルフは、飛んでいき口から血を吐きながら倒れ込んだので、しばらくは大丈夫と思い、頭を振っているブロンズウルフに止めを刺す為駆け寄り、駆け寄った勢いのまま頭を蹴り飛ばした。
何かが潰れる感触と共にブロンズウルフは飛んでいき、そのまま動かなくなったので、先程血を吐いて倒れているブロンズウルフに近付き、倒れている頭に一撃を振り下ろし倒した。
戦闘が終わるとアーノルドが近付いてきて、
アーノルド「個人の戦闘はまあまあだな、前にもいったが気配をなるべく細かく察知できるようにしとけ、今回みたいに囲まれる前にな、そうすりゃこっちから先手を打つことも出来るからな」
私とアテナは頷くと、
アーノルド「それじゃ魔石と牙を回収したら先を進むぞ」
私達は倒したブロンズウルフの魔石と牙を回収し先を進み始めた。
その後はビッグスパイダーを倒したりブロンズウルフを倒したり、ビッグマンティスを倒したり・・ビッグマンティスは鎌の動きが早いのだが、アテナが正面で抑えてる間に私が背後から攻撃すれば簡単に倒せた・・、と言った感じで歩き回り、そろそろ戻らないと暗くなる前に家に戻れないという所で、2メートル半無いぐらいのベアハッグを発見した。
まだこちらに気付いていないベアハッグを見て、アーノルドさんを見ると頷いたので、狩るという事だろう・・・、私とアテナは目を合わせ頷くと、気付かれないようにベアハッグへ近付いていく・・・。
これ以上は近付けないかな?という場所まで来ると、アテナが盾を見せながら私が先に行くという動きをしたので、私が頷くとアテナは跳び出していった。
私はアテナがベアハッグと戦い始めたのを横目にベアハッグの死角に回り込んでいく、アテナはベアハッグの横薙ぎを踏ん張りながら盾で受け止めれているので、問題無さそうではあるが、ガードしてる間は攻撃する余裕は無さそうなので、私はアテナに集中しているベアハッグの背後から駆け寄り、跳び上がり頭部に向かって、
私「強打掌!」
スキルを撃ち込んだ。
駆け寄る事でこちらに気付き、振り向いた鼻ずらに強打掌は吸い込まれ、ベアハッグ鼻を抑え雄叫びを上げながら悶絶する、そしてそんな隙だらけのベアハッグに、アテナは全力の横薙ぎを繰り出しベアハッグを倒した。
アーノルド「今のはいい連携だったな、2対1ならベアハッグもやはり問題ないな・・・問題は複数の敵との戦闘だな、時間も時間だし回収するものを回収して帰るぞ」
私達はベアハッグの魔石と肝と手を回収し帰宅する。
森から戻るのも特に問題なく完了しアーノルドの家の前まで戻って来た私達は、日が暮れ始めた中装備の手入れをし、
アーノルド「それじゃ明日からは、森の中層探索を基本に活動するぞ、しっかり休んで備えておけよ」
私とアテナは、
私、アテナ「はい!」
と返事し、アテナは自分の家に帰り、私とアーノルドは家に入る。
そんな生活を1週間続け、私がこの村に来て1か月が過ぎたある日・・・、
アーノルド「お前に頼みたい事がある」
私「頼みたい事ですか?」
アーノルド「ああ、手紙をこの村の北にある、カリヴィアって街の冒険者ギルドに届けてほしい」
私「手紙ですか?」
アーノルド「ああ、儂が昔仕えていたマルーシの街の領主様に届ける手紙だ、トロルの件もあるからな、領主様にお願いして兵士を何名か常駐してもらうつもりだ」
私「なるほど・・・確か徒歩で1週間ぐらいかかるんでしたっけ?」
アーノルド「そのぐらいだな、後はカリヴィアの街にいる知り合いの鍛冶師に、お前の装備の面倒を見てもらうよう頼む手紙も持たせるから装備を新調するといい、街に着いてギルドに手紙を届けたら、後は好きに行動しろ、アテナには神殿騎士になる為の実績作りの為に、冒険者になってランクを上げろと言ってあるから、一緒に冒険者になってもいいし、この村にいたいなら戻って来てもいい、別の場所に旅するならそれでもいい」
私はそう言われ、
私「手紙の件は承りました、行動については街に着いてから考えます」
アーノルド「ああ、出来ればアテナと一緒に冒険者になって、アテナに付き合ってくれると嬉しいがな、お前にもなんか人に言えない事情があるみたいだしな・・・」
私の特殊な事情にある程度気付いていたようだ・・・、
私「そうですね、食い扶持も稼がないといけないし、しばらくはアテナに付き合い今後の事を考えます、アテナが嫌と言わなければですが・・・」
アーノルド「それに関しちゃ問題ない」
アーノルドは何か確信があるようだ・・・、アテナに先に一緒に冒険者をやるように言ってあるのかな?
そんな話を聞いた日の、森の探索を終えてアーノルドの家に戻って来た時、
アーノルド「アテナ、前々から言ってあったが、そろそろカリヴィアの街に行き冒険者になる時だ」
アテナ「はい・・・」
アーノルド「この前のトロルの件があって、この村にも兵士を常駐してもらう為、領主様宛の手紙をロックにカリヴィアの街の冒険者ギルドに届かせるから連れて行くといい」
アテナはその言葉で一瞬嬉しそうな顔をするが、
アテナ「手紙を届けるなら私が届けますよ?」
と自分で言いながら落ちこんでいく、
アーノルド「いや、ロックの装備を儂の知り合いに新調してもらうから、ロックには行って貰わないといけないんだよ」
その言葉に輝きを取り戻し、
アテナ「そうなんですね、それじゃロックすまないが、カリヴィアの街まで同行をお願いするね」
私はアテナにそう言われ、
私「私もしばらくは冒険者になってアテナに付き合うつもりだよ、アテナが良ければね」
アテナ「そうなのか!?悪いなんてことはないぞ、好きなだけ付き合ってくれ・・・うん付き合って・・・」
と、なんか自分の世界に入ってしまったな・・・。
私はアーノルドに、
私「いつ頃出発すればいいんですかね?」
アーノルド「さすがに明日は、アテナが両親に挨拶なんかもあるし、旅支度もあるからな・・・、明後日でいいんじゃないか?一日あれば準備も済むだろ」
私「分かりました、じゃぁ明日は知り合った子供たちに挨拶しときますね」
アーノルド「そうするといい、準備はこっちでしとく」
そんな感じで私は、ケラテアの村を離れ次の街カリヴィアへ、アテナと向かう事になった。
2日後の早朝、私とアテナは村の北門でアーノルドとアテナの両親・・父親は年相応だが母親はお姉さんですか?と言いそうになる見た目の若さだ・・とアテナの弟君に見送られながら、村を出発しようとしていた。
アテナ母「気を付けて行くんだよ?ロックさんに迷惑かけないようにね?忘れ物は無い?」
と普通に心配しているお母さんって感じだ、アテナは恥ずかしそうだが・・・、
アテナ父「ロックさん、アテナの事を頼みます・・・、頼みますが手を出したら・・・」
と、私はアテナの事が心配なのだろう、父親から謎の脅迫を受けていた、
私「ええ、娘さんが変な奴らに引っ掛からないよう注意しますので」
アテナ「本当に頼みます、よろしくお願いします」
そんな感じで別れの挨拶を済ますと、アーノルドが近付いてきて、
アーノルド「それじゃ手紙よろしくな、街じゃ無理だと思ったらいつでも帰ってきていいからな」
私「ええ、無理だと思ったら戻らせてもらいますよ」
と、挨拶し手紙を2通受け取りカバンにしまう。
私「アテナそろそろ行こうか」
私は家族と別れをしているアテナに声を掛けると、
アテナ「わかった、それじゃ母さん父さん、アポロ行ってくる、アポロは家の事頼んだよ」
アテナの弟はアポロと言うらしい、初めて知った・・・、アテナは別れを済ませ、
アテナ「アーノルドさんありがとうございました」
アーノルド「おう、お前には俺の槍の技術は全て教えたからな、後はレベルを上げればいいだけだ」
アテナ「はい」
アーノルド「あいつにも言ったが、駄目だと思ったらあいつと戻ってこい、あいつがいればお前も村にいれるだろ?」
アテナ「は・・・、はぃ・・・」
なんかアテナがアーノルドに言われ赤面してる・・・何言ったんだろ?
ちょっと赤い顔のアテナがこちらに来て、
アテナ「それじゃロック行こう」
と私に言ったので、
私「行こうか」
そう言い村の畑を抜けカリヴィアの街に向け歩き始めた。
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