第9話 西園寺 沙苗、西園寺家との絶縁を宣言する(2)
第9話目の投稿になります!
第8話目で、次話タイトルの一部に誤りがありましたので修正致しました(令和3年10月19日午後21時に修正済)
大変、申し訳ございませんでした!
沙苗による、西園寺 誠二郎に対しての2度目となる絶縁宣言から暫くして、誠二郎が口を開く。
「儂に2度目の絶縁宣言とは……それだけ本気で沙苗が西園寺家と絶縁したいということか。」
「そうです。それだけ私は西園寺家に居たくないということですわ!!」
「………………」
実の娘からハッキリとした拒絶の言葉を聞いた誠二郎は無言になる。
あれだけハッキリと拒絶されれば無言になるのも仕方が無いよなと思いつつも、僕は口を開く。
「沙苗の意思が変わらないのは、もう分かっていただけたかと思います。それでもまだ、沙苗を政略の道具として連れ戻そうとしますか?道具としてでしか、沙苗を見ないつもりですか?いい加減に認めて下さい!沙苗は政略の道具ではなく、1人の人間だという事!感情を持つ人間である事を!!」
「俊吾………」
「………黙れ……」
「……はい?」
沙苗の父親が何か言ったようだが聞こえなかったので、もう一度聞く。
「聞こえなかったので、もう一度お願いします。」
「黙れと言ったんだ!!」
「………は?黙れとは?」
「沙苗が感情を持った人間だと?巫山戯たことを言うなよ若造が!!西園寺家にとって、沙苗など唯の政略の道具だ!!儂の立場を守る為の道具に過ぎない!!儂が1番なのだ!!西園寺財閥グループが財閥グループの中の頂点なのだ!!だから、沙苗を渡せ小僧ーーー!!」
そう言って、沙苗の父親は僕にではなく沙苗に飛び掛る。
だが、僕は沙苗と誠二郎の間に立ち、沙苗に飛び掛ってきた誠司郎を一本背負いで投げ飛ばす。沙苗を守る為に。
「ぐふっ……」ガシャーーンッ!!
テーブルの上に投げ飛ばしたせいか、ティーカップが宙を舞った後に床に落ちて割れる。
それを冷めた目で見ながら、僕は誠二郎に言い放つ。
「女性に手を挙げようとするとは……男の風上にもおけない男ですね貴方は。沙苗に手を出そうとするものは、僕が絶対に許さない!!権力を使うのは好きじゃないが、沙苗に手を出すと言うのなら……政略の道具に利用すると言うのなら……沙苗を守る為ならばっ!!」
そこまで言ってから、僕は拳を握りしめながら宣言する。テーブルの上に倒れつつも僕の方を見ている西園寺財閥グループ会長へと。
「瀬戸崎財閥グループ会長として貴方を───西園寺財閥グループを潰すことをここに宣言するっ!!!西園寺財閥グループ会長、首を洗って待っておくがいい!!!」
「な、な、なっ!?潰すというのか!!儂を!!西園寺財閥グループをか!?たかが政略の道具の為だけにか!!」
「ああ、徹底的に潰す!!沙苗は───沙苗は感情を持った1人の女の子だからだ!!実の娘を道具としてでしか見ていない貴様には一生分からないだろうがな!!沙苗の感情も一生の人生も───全ては沙苗自身の物だ!!沙苗自身以外の誰にも、感情や生き方を決める権利などありはしないんだよ!!だから僕は、合法的に西園寺財閥グループを徹底的に潰させていただく!!!」
そこまで言った僕に寄り添うようにして抱き着いた沙苗が言う。
「こんな私の為にありがとう、俊吾っ!!」
そして、沙苗は誠二郎に言う。
「最後に一言だけ。お父様、16年間育てていただきありがとうございました。これだけが、お父様に対しての唯一感謝していることです。だから私は、瀬戸崎 俊吾という素晴らしい男性に巡り会うことが出来たのです。だからもう、私は貴方とは2度と顔も合わせたくもありません。会うのはこれが最後です。そしてこれを言うのも、これが最後です。さようなら、お父様。」
そう締め括った沙苗は、僕の胸に顔を埋める。誠二郎の顔を2度と見たくないと言わんばかりに。
そんな沙苗の気持ちを察した僕は、相良に指示を出す。
「相良、西園寺財閥会長にお帰りいただいて下さい。顔を見るだけでも不愉快だから。」
「畏まりました、瀬戸崎会長。というわけですので、西園寺財閥会長はこの屋敷からお引取りを。」
相良の言葉と同時に、黒服達が西園寺財閥会長を立たせると、応接室の外へと連れ出して行く。
「お、おいっ!!離せ!!離さんか無礼者!!小僧!!儂にこんな事して只で済むと思うなよ!!って、儂を無理やり引っ張って来んじゃない!!聞いてるのかおいっ!!まだ儂の話しはおわ……っ………て…………。」
西園寺財閥会長の声が遠くなっていく。
それから暫くして、相良が応接室に戻ってくる。
「ただいま戻りました。ご命令通りに西園寺財閥会長には丁重にお帰りいただきました。」
「ご苦労様。ふぅ、ようやく静かになったね。」
「左様でございますね。しかし、西園寺財閥会長には失望致しましたよ私は。」
「それは僕もだよ。財閥会長としても失格だし、父親としても失格。よくもそんな環境で沙苗は耐えてこれたなと思ったよ。」
「そうですな。ですが、それも今日までの事。明日からは、自由な日常を沙苗嬢は送ることが出来る。これも俊吾様のおかげでございますね。」
「それは違うよ、相良。あくまでも僕は手を差し伸べたに過ぎない。この先どのように過ごすかは、全て沙苗自身が決める事。僕らは唯、それを見守るだけだよ。」
「……そうですな。全ては沙苗嬢次第、ですな。しかしまぁ沙苗嬢は俊吾様の膝枕で穏やかに眠っておられますなぁ。余程、ゆっくりと休むことが出来ない環境だったのでしょうな。」
「だと思うよ。そうじゃなきゃ、こんな穏やかな顔をしながら寝れないと思うよ。まぁ、可愛い寝顔が見れて、僕は幸せ者だと思うけどね。」
「俊吾様の仰る通りでございますなぁ。本当に可愛い寝顔をしてらっしゃる。」
そう───西園寺財閥会長が応接室から連れ出された直後に沙苗は僕に寄り添うようにして寝入ってしまっていた。だから僕は、沙苗を起こさないよう注意しながらソファーに座り、沙苗に膝枕をしながら、戻ってきた相良と話をしてたというわけである。勿論、起こさないように小声でね!
それから暫くの間、応接室に戻ってきたメイド長の遥さんに沙苗を客室に運んでもらうまで、俊吾は沙苗に膝枕をし続けていたのだった。自身の睡魔と闘いながら───
次話タイトル↓
第1章 学年一の美少女クラスメイトとの同居生活開始編
閑話 沙苗が自由になった日(1)
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