第7話 西園寺財閥グループの会長来訪と、沙苗が家出した理由(2)
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メイド長の遥さんに、意識を失って倒れた沙苗を客室に寝かせてきてもらった後、僕は沙苗の父親と対峙する。
沙苗が倒れたというのに、沙苗の父親の誠二郎は涼しい顔をしていたので、僕は怒りを抑えながら口を開く。
「……沙苗が倒れたというのに、父親として心配しないのですか?実の娘なのに。」
「政略結婚の道具が倒れた所で、別に心配する必要性が感じられないが?」
「……貴方はどこまでも沙苗を道具としか見てないようですね。本当に沙苗の父親かどうか、疑わしくなってきましたよ。」
「沙苗は正真正銘、血を分けた儂の娘だ。何を疑う必要がある?」
「そうですか。それでですが、僕は貴方の元に沙苗を引き渡すつもりはないです。血も涙もない貴方の元に沙苗を引き渡したとしても、沙苗が幸せに暮らせるとは思えないですからね。」
「引き渡すつもりがないだと?貴様になんの権限があるというのだ?これは西園寺家内での問題だ。他人の貴様が口出しすることではない!!」
「……確かに、僕と沙苗は他人です。それは変えようもない事実です。ですが、沙苗の現状を知った今、口を挟ませてもらいます。」
「何処までも己の立場を弁えないガキだな、貴様は。」
こんなことを言ってきたので、僕はハッキリと告げる。静かなる怒りを露わにしながら。
「己の立場を弁えていらっしゃらないのは───貴方の方ですよ、西園寺財閥会長。では、現時点を持って、西園寺財閥との取り引きを全て停止させていただきます!相良、瀬戸崎財閥グループ全体に周知徹底させておいて!」
「承知致しました、瀬戸崎会長。(愚かな男ですね。西園寺財閥グループにとって、瀬戸崎財閥グループは最大の取り引き相手だというのに。俊吾様は温厚なお方ですが、先代と同じく、一度怒らせてしまうと徹底的に攻撃しますからね。)」
「ふんっ、瀬戸崎財閥グループとの取り引きなど、こっちから願い下げじゃわい!!取り引きを停止したこと、精々後悔するがいい!(直ぐに泣きついてくるじゃろうな。その時を楽しみにしておるぞ、若き会長よ。)」
(取り引きを停止すると宣言しても、表情一つ変えないとはね。さて、この父親にはお帰りいただかないとね。沙苗の今後の為にも。)
「さて、そろそろ貴方にはお帰りいただきたいのですが?」
「は?何を言っておる?沙苗を引き渡してもらうまで、儂は帰らんぞ!」
「………は?何時まで人様の家に居座るつもりですか、貴方は?実の娘を政略結婚の道具としてしか見てない貴方に、沙苗は引き渡しませんよ?それに今の時代、政略結婚なんて古いですよ?」
「まだ言うか貴様は。沙苗を連れ帰らなければ、儂の立場が危うくなってしまうではないか。それに、先方には既に沙苗との結婚の話しは済ませてしまっておるからのぅ。」
それを聞いた俺は言う。
「娘の気持ちを聞かずにですか?そんなに自分の立場が大事ですか?」
「沙苗の気持ち?道具に気持ちなど要らぬであろう?寧ろ、感情など不要だ。儂にとって、娘のことなどよりも自分の立場の方が大事に決まってるだろうが。」
それを聞いた僕は、怒りのあまりに声を荒らげてしまう。
「本当に、貴方は何処まで自分本意なんだ?沙苗は家族なんじゃないのか?そんなに自分の立場が大事か?お前にとって沙苗は道具としてしか見てないってことが良く分かったよ!!お前なんて、親失「俊吾、ここからは私に話をさせてもらえないかな?」沙苗……分かった。」
いつの間にかいた沙苗に止められた僕は、沙苗にも話させてあげることにした。
沙苗が応接室に戻ってきたことに対して、何を勘違いしたのか、誠二郎が沙苗に言う。
「戻ってきたか沙苗。さあ、帰るぞ!先方が首を長くしてお前を待ってるんだか「私、帰らないわよ?」……なに?」
「聞こえなかったかしら?帰らないと言ったのよ、私は。」
「巫山戯たことを言うんじゃない!!お前に拒否権などない!!」
「なんで道具としか見てもらえない家に戻らなければならないのかしら?ねぇ、お父様?私の気持ちを考えてくれた事ってある?ないでしょ?そりゃないよね。貴方にとって、私は唯の政略の道具としてしか見られてないものね。貴方だけでなく、お母様にもね。」
「何が言いたいんだ?」
「何が言いたいんだ?ですって?巫山戯たこと言ってんじゃないわよ!!私の気持ちなんて一切考えずに道具扱いしてさ!!物心ついてからずっとだったよね!!それでも私は耐え続けてた。いつかお父様とお母様が私のことを娘として扱ってくれる日が来るんだって思って!!でも、そんな日は訪れなかった!!覚えてるでしょ?今日、私が家出する朝にお父様とお母様が私に言った言葉を!!」
「…………」
「なんで黙りなの?朝に言ったこと、もう忘れたの?そんな訳ないよね?覚えてる筈だよね!!お父様とお母様は私に『お前を先方の嫁に出す。儂や母さんの立場を守る為に、政略の道具として犠牲になれ。そして、先方の性欲の捌け口としての道具として全うしろ!!それが、儂と母さんの間に生まれた娘としてのお前の唯一の価値なのだからな!!』ってね!!」
「そんな事を言った覚えはない!!」
「覚えてるでしょ!!だったら、なんで目を逸らしてるの?それが覚えてるってことの証明よ!!だから私は今日、家出をしたの!!私は──私は貴方とあの人の道具なんかじゃない!!!!」
沙苗の、ありったけの気持ちが応接室内に木霊する。
そして、沙苗は誠二郎の目を見ながら告げる。
「私、西園寺 沙苗は───現時点を持って西園寺家とは絶縁し、瀬戸崎家に居候させていただきます!!!」
そう宣言した沙苗は、堪えていた気持ちが爆発したかのように泣きながら僕の胸に顔を埋めてきた。
そんな沙苗を、僕は優しく抱きしめるのだった────
次話タイトル↓
第1章 学年一の美少女クラスメイトとの同居生活開始編
第8話 西園寺 沙苗、西園寺家との絶縁を宣言する(1)
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