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第6話 初デート(6)

 果たして俊吾は制限時間内にデカ盛り料理を完食出来るのか……。

 最後まで読んで頂けたら、作者としても嬉しく思います。

 俺が注文した洋食屋ミナトスペシャル・裏は店員2人掛かりで運ばれてきた。

 さり気なく60分にセットされたタイマーも持ってきていて、テーブルの上に置いていた。

 想像していた量以上に盛られた料理に絶句した俺と沙苗だったが、運んできて疲弊している2人の店員にお礼を言う。


「大変な思いをしてまで運んでくださり、ありがとうございます」


「私からもお礼申し上げます」


 俺と沙苗がそれぞれ店員にお礼と感謝の言葉を伝える。


「いえ、これも店員としての仕事ですので。

 ですがお客様からそう言われると、飲食店の店員をしていて良かったなと思います」


「私も同じ思いです」


 何処か誇らしげな表情をしながらそう返してきたので、俺は言う。


「これからも頑張って下さい!」


 そう2人の店員に言うと「はい、頑張ります」と言って頭を下げてから別のお客さんが座っている席へと向かっていった。

 店員が離れていった後、俺は改めて洋食屋ミナトスペシャル・裏を見る。

 巨大なオムハヤシ(推定4kgくらい?)の上に、特大サイズのエビフライ5本・特大サイズのハンバーグ(デミグラスソース掛け)・フライドポテト約20本・白身魚フライ5枚(タルタルソース掛け)・ウィンナー10本・肉団子20個・唐揚げ10個が盛り付けられている。

 見た目の総重量が約8kgだと俺は予想した。

 俺と同じく洋食屋ミナトスペシャル・裏を見つめていた沙苗が素直な感想を述べる。


「私、コレを完食出来る自信はないわね。

 食べれたとしても、精々半分が関の山だと思うわ……」


 大盛り2つを注文した沙苗でも半分が限界だと言う。

 だが俺は絶対に制限時間内に食べ切ってみせるぜ!

 沙苗にカッコイイ所を見せたいしな!

 そう改めて気合いを入れ直した俺は、箸を手に持ってから沙苗にお願いする。


「沙苗、今から食べ始めるからタイマーのスタートボタンを押してくれ」


「分かったわ!

 それじゃあ俊吾、準備はいいわね?」


 箸を構えてから俺は沙苗に頷く。

 周囲のお客さん達からの視線を感じる中、沙苗がタイマーのスタートボタンを押すと同時に言う。


「よ~い、スタート!!」


 その合図と同時に俺は洋食屋ミナトスペシャル・裏に喰らいついた。

 それと同時に沙苗が注文した料理が運ばれてきた。


「お待たせ致しました。

 オムハヤシの大盛りとナポリタンの大盛り、大盛りフライドポテトをお持ち致しました。


 では、ごゆっくりとお食事をお楽しみ下さいませ」


 そう言って一礼してから店員は離れていった。


「どれも美味しそうね!

 それでは、いただきます♪」


 そう言ってから沙苗は大盛りオムハヤシから食べ始める。

 一口食べる度に顔を綻ばせている沙苗は可愛かった。

 何時までも見ていたい所ではあったが、制限時間があるので今は食べることに集中する。


 沙苗が大盛りオムハヤシの半分を食べ終えた(運ばれてきてから5分後)時の俺は唐揚げ10個と肉団子20個を平らげ、白身魚フライに手を出したところだった。

 白身魚フライを食べ進めていると、何を思ったのか沙苗はナポリタンをフォークで絡め取り、それを俺の口元に近付けてきたのだ。


「はい俊吾、ナポリタンをどうぞ♪」


 俺、白身魚フライを食べてる最中なんだが……。

 そう思いつつも素直に口を開ける俺。

 口を開けた瞬間に、待ってましたと言わんばかりにフォークが差し込まれる。


「ナポリタンのお味はどう?」


「もぐもぐ…うん、美味いよ。

 沙苗が食べさせてくれたから、余計に美味く感じたよ」


「なっ!?こんなところで何言ってるのよ、もうっ!!」


 俺の切り返しを受けた沙苗の顔は一気に真っ赤に染まっていく。

 そしてそれを誤魔化すかのように一心不乱に再びオムハヤシを食べ始める。

 それを見つつ、俺も洋食屋ミナトスペシャル・裏を食べ進める。

 そんな時、店内放送が流れ出す。


『本日は洋食屋ミナトに御来店頂き、誠にありがとうございます。

 洋食屋ミナト店主のミナトと申します。

 現在当店にご来店のお客様の中で、私が開発したデカ盛り料理完食チャレンジに挑戦中のお客様が居らっしゃるのは皆様もご存知だと思います。

 果たして見事制限時間内に完食出来るのか……はたまた完食出来ないのか。

 どうか皆様、挑戦中のお客様に暖かな声援を!

 制限時間は残り45分です。

 最後まで諦めずに完食目指して頑張って下さい!』


 ミナトさん……俺にとって今の店内放送は相当なプレッシャーなんだけど。

 だけどそうまで言われては、何がなんでも制限時間内に完食させてやるさ!

 そう意気込んだ俺は周囲のお客さんからの声援を受けながら、食べるペースのスピードを上げる。

 因みに周囲のお客さんの反応はこんな感じだ。


「兄ちゃん、頑張れよ!!

 最後まで諦めずに完食を目指してくれや!」


「すげぇ…あの兄ちゃん、食べるペースが更に加速したぞ!?」


「あの若いお兄さん…凄いね。

 だけど、連れのお姉さんの料理の量も凄いんだけど……」


「このペースだと、初の完食者になるんじゃね?

 そう思うくらいに食べるペースが早い…!」


「一体、あのカップルはどんな胃袋を持ってんだよ……」


「……よく見たらあの若い兄ちゃん、瀬戸崎財閥グループの現会長様じゃないか?」


「えっ?あの有名な瀬戸崎財閥の!?」


「今、公式ホームページを見たんだが……本人で間違いないぞ」


 あらら、正体がバレちゃったよ。

 公表したから、何れはバレると思ってたけど。


 そう思いながらタイマーをチラッと見ると、残り30分しかなかった。

 タイマーで残り制限時間を確認した次いでに沙苗の方を見ると、大盛りオムハヤシと大盛りナポリタンが盛られていたハズの皿は既に空になっており、俺が食べる様子を黙って見ていた。

 いつの間に完食したんだよ……。

 だけど俺の方も、残すは巨大オムハヤシのみとなった。

 満腹度合い的には腹5分目くらいか……これなら行けるな!


 そう思った俺は、巨大オムハヤシを次から次へと口に運んでいく。

 その様子を固唾を飲んで見守るお客さん達。

 それから暫くして残り時間が5分を切った時、遂にその瞬間が訪れる。


「ご馳走様でした!!」


 最後の一口を食べ終えてからそう言う俺。

 その言葉を聞いて、いつの間にか待機していた店員がタイマーを止めてから告げる。


「洋食屋ミナトスペシャル・裏、完食チャレンジの結果を発表します。

 挑戦者のお客様が残り時間2分36秒を残して完食したことを、洋食屋ミナト店主の私、ミナトが確認致しました。

 よってお客様の完食チャレンジは成功です!

 初の完食成功、おめでとうございます!!」


 そう俺に告げたのは、洋食屋ミナトの店主であるミナトさんご本人だった。

 これには流石の俺でも驚かされた。

 まさか店主自らに見届けるとは思ってもいなかったからだ。

 チャレンジを見守っていたお客さん達からも「チャレンジ成功おめでとう!」「兄ちゃんなら成功すると思ってたぜ!」「いい食いっぷりだったな!おめでとう!」等と言った祝福の声を掛けられた。


「あ、ありがとうございます!!」


 祝福の礼を述べると、ミナトさんが俺に言う。


「改めてチャレンジ成功おめでとうございます!

 まさか現役高校生に完食されるとは思ってもみませんでしたよ。

 しかもその挑戦者が瀬戸崎財閥グループ現会長ご本人様だということにも驚かされました。

 それではこちら、チャレンジ成功賞金1万円と賞状です。

 お受け取り下さい」


「ありがとうございます」


 そう言って俺は賞金1万円と賞状をミナトさんから受け取る。


「デカ盛りチャレンジを成功されたお客様に、今一度暖かな拍手を!」


 パチパチパチパチパチパチッ!!


 店内は拍手喝采に包まれる。

 勿論、その中には沙苗も含まれている。

 そして沙苗は拍手しながら俺に言う。


「俊吾、チャレンジ成功おめでとう!!」


 最愛の恋人である沙苗からの祝福の言葉がこんなにも一番嬉しいものなんだと、俺は改めてそう心から感じた。

 そしてその後、チャレンジ成功報酬の洋食屋ミナトスペシャルデザートと食後のデザートを堪能してから会計を済ませ、洋食屋ミナトを後にするのだった───













 この作品をお読みいただき、ありがとうございます!


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