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第3話 俊吾と沙苗、学園正門前で風紀委員に絡まれる。そこへ、まさかの人が!?

第2章の第3話目を投稿しました!

 電車に揺られること15分、俊吾と沙苗は城西駅へと到着したので、電車から降りてから愚痴っていた。


「電車の中では、針のむしろ状態だったなぁ。」


「ほんとにね。なんでだろうね?」


「別に、僕と沙苗は付き合ってるわけじゃないのにな。」


「だよねぇー。"今はまだ"付き合ってはいないからね、私達。」


 そんな事を言っている2人。だけど言いたい!!それは、お前らが電車の中でバカップルのようにイチャイチャしてたからだよ!!と。電車に乗っていた乗客達も、同じ事を思ったことだろう、と。

 特に男性陣からすれば、俺達や僕達も美少女に抱き着かれたい、と。


 そんなことはさておき、俊吾と沙苗は城西駅を後にし、城西学園へと続く道を歩いていた。まぁ、どんな構図で歩いてるのかは割愛するが。


「それにしても、今日は暖かいな。ようやく春らしい気候になってきたんじゃないか?」


「私もそう思う。まぁ、私的にはまだまだ寒い方が俊吾と密着して、暖を取れそうだなと思うんだけどなぁ。」


「ん?何か言った?声が小さくて聞こえなかったからさ。」


「ううん、なんでもないよ!!気にしないで!(俊吾に聞こえてなくて良かったぁ~!)」


「そっか。(僕、地獄耳だから、本当は全部聞き取れてるんだけどね。言わぬが花ってことで。)」


 というような会話を沙苗としながら歩いていると、いつの間にか城西学園正門前に辿り着いていたみたい。

 だが、正門前には風紀委員達が立っており、登校してきた学園生達の服装をチェックしていた。

 僕と沙苗は、他の学園生を見習って風紀委員達に挨拶の言葉を掛け、その傍を通ろうとした。その際も、沙苗は左腕に抱き着いたままである。

 それがいけなかったのか、上級生と見て取れる風紀委員の男子に僕達は呼び止められる。


「そこの君達、ちょっと待ってもらってもいいかな?」


「はい、なんですか先輩?」


 僕達を呼び止めた上級生の風紀委員の男子に対して、沙苗は不機嫌な声で返答していた。


「君達、不純異性交友はダメだよ?学園の校則でも定められてるからね。」


「先輩、私達のどこら辺が不純異性交友なんですか?」


「君が、そっちの"貧乏人"の彼に抱き着いていることを指摘したつもりなんだけどね、僕は。そして、僕が指摘している今でも腕を解こうとしないとは。」


「先輩、不純異性交友というのがどういう意味か分かっていて言っているんですか?それと、誰が貧乏人なんですか?」


「意味を知っていて言っているんだが?そして、誰が貧乏人かって?そっちの彼の事を言っているんだがね。」


「そうですか……では先輩は貧乏人ではない、ということでしょうか?」


「それは勿論だよ。僕は、竜ヶりゅうがざき財閥グループの御曹司の竜ヶ崎 颯澄はやとという。んで、君の名は?」


「あの竜ヶ崎財閥グループの……そうですか。私の名を知る必要はないと思いますが?」


「先輩である僕が名乗ったのに、君は名乗らないと?礼儀知らずだね、君。なら、君には風紀委員会室まで来てもらうよ。」


「なんで私だけ行かなければならないのでしょうか?行くのなら、彼も一緒に行くのが普通なのでは?」


「彼は邪魔だから、連れていかない。でないと、君と2人っきりになれないじゃないか。」


「っ!?私達を呼び止めたのも、最初から私を狙ってたってことですか?」


「そういうことさ。分かったんなら、僕と一緒に来てもらおうか。」


 そう言って、風紀委員の男子の手が沙苗に触れる寸前に僕は男子の腕を掴む。


「……僕の邪魔をしないでくれないかな?」


「そういうわけにもいきませんよ、先輩……いや、竜ヶ崎 颯澄さん。」


「なんで、先輩呼びから僕のフルネーム呼びに?」


「貴方の行動は、風紀委員から逸脱しています。それに、怒らせてはいけない人を怒らせてしまった。」


「……は?何を言っている?」


「……!?まさか、正門前での騒ぎを聞きつけて来るとはね。」


「さっきから君達は一体、何を言っているんだ!!」


 その時、1人の初老の男性が僕達の方へ近付いてきた。僕達の様子を見ていた他の学園生達もが、その初老の男性の存在に気付き、ヒソヒソ声で話してるのが、僕の視界に入ってきていた。

 そして、初老の男性が僕の隣までやってくると、口を開く。


「久しいな、儂の自慢の孫よ。会うのは、儂の息子と息子嫁の葬儀以来になるか。」


「お久しぶりです、お爺様。会うのは、その日以来になりますね。ご健勝でなによりです。」


「俊吾も元気そうでなによりじゃ。」


「な、な、な、なんで此処に理事長が!?」


 突然、城西学園の理事長がこの場に登場したことを驚く颯澄だったが、気を取り直して聞く。


「どうして、理事長が正門前へ?」


「そんなもの、孫の顔を見に来たに決まっておろう。」


「へ?孫?誰が?」


「貴様の目は節穴か?孫なら儂の隣におるではないか。」


「この貧乏人が!?理事長の孫だと!?」


「貴様ァァァァァァァ!!儂の孫が貧乏人とはどういうことだぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「ヒィィィィッ!?」


「お爺様、ここは抑えて下さい。周りの学園生達も、お爺様に怯えてしまっています。」


「むっ!それはすまないことをしたのぅ。それはそうと孫よ……そろそろ儂のことを、そちらのお嬢さんに紹介してくれんかのぅ。」


「はぁ、自分で紹介出来るでしょうに……全く。」


 そう言って僕は沙苗の方を振り返り、お爺様を紹介する。


「沙苗、驚かせてごめんね。」


「ううん、謝らなくてもいいよ。この理事長が俊吾のお爺様なの?」


「うん。私立城西学園高校理事長にして、僕のお爺様でもある──瀬戸崎 繁信しげのぶだよ」


 お爺様がいることを、沙苗にいつ伝えようかと思っていた俊吾。


 こんな形で沙苗に紹介することを悪いと思いつつも、お爺様を沙苗に紹介出来た俊吾の顔には、笑みが広がっているのだった───







次話タイトル↓

第2章 沙苗との同居生活&学園生活編

第4話 俊吾のお爺様の怒りが凄まじいです!(1)

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