閑話 沙苗が自由になった日(1)
今回は閑話を投稿します!
沙苗が自由になるまでの物語になります!2~3話での構成予定です!
私立城西学園に通う1年生の私、西園寺沙苗には自由がない。幼少期から今日までずっと。
唯、学園での私は交友関係が広く、男女問わず誰にでも好かれていた。学園内だけ、私は自由でいられた。学園内だけが、唯一私の心が休まる場所だった。
そんな私が城西学園に入学して早々、1人の男子生徒に一目惚れした。
その男子生徒の名は、瀬戸崎俊吾君で、私と同じ1年生でクラスメイトでもある。
彼は、クラスにいる男子や女子からの頼まれ事を一切断ることなく全て引き受けてしまう男子だった。
その為、クラスメイト全員から好かれていた。また、容姿に優れ・成績優秀・運動神経抜群でもある為、上級生の女子生徒達からも好意的に見られている男子でもあった。
中には、彼の彼女になりたいと言っている同級生や上級生の女子生徒もいるくらいだった。唯、彼はまだ誰にも告白されてない様子だったから、私にもチャンスがあると思い、その機会を狙っていた。他の女子生徒達と同じように。
そんな私が朝に自宅のリビングに顔を出すと、リビングのソファーに座っていた私の父親───西園寺財閥グループ会長の西園寺 誠二郎が私の方へ顔を向けて、こう告げてきた。『お前を先方の嫁に出す。儂や母さんの立場を守る為に、政略の道具として犠牲になれ。そして、先方の性欲の捌け口としての道具として全うしろ!!それが、儂と母さんの間に生まれた娘としてのお前の唯一の価値なのだからな!!』と。
そんな事を言われた私は急いで自分の部屋へと戻ると、服や下着を詰めるだけ、2つの旅行鞄に詰めこむ。更には、学園で使う教科書やノート・筆記用具・スマホ・財布もリュックに詰める。詰め終えた2つの旅行鞄を左手と右手に持ち、リュックを背負うと、一目散に自宅を飛び出して最寄り駅へと向かう。人生で初めて家出をした瞬間だった。
最寄り駅に着いた私は、2つの旅行鞄をコインロッカーへ入れて鍵を閉める。それから切符売り場で、城西学園の最寄り駅である城西駅行きの切符を買い、改札口を通り、ホームへの階段を降り、城西駅行きの電車に乗って、学園へと向かった。
それから暫くして学園に着いた私は、普段通りに授業を受ける。そして放課後、帰ろうとしていた俊吾君に声を掛ける。
私の声に振り返った俊吾君に、私は意を決して言う。『突然に呼び止めてごめんなさい!私、お父様と喧嘩して家出してきたので今夜、俊吾さんの家に泊めて欲しいのですが…』と。
そんな私の突然のお願いに対して、俊吾君は困惑した表情をする。突然、泊めてと言われて困惑しない人はいないと思う。私が俊吾君と逆の立場だったとしても同じ表情をすることは、容易に想像出来る。それに、彼が困惑する理由が他にもあることは私にも理解出来てしまう。その理由は、私が女性&西園寺財閥グループの令嬢だということなのだから。
それから暫くして、俊吾君は迷った末に、私を泊めることを了承してくれるのだった。
その後、俊吾君が住んでる場所を聞いた私が驚いてしまったのを、今でも鮮明に覚えている。だって彼は、相当な金持ちしか暮らせない場所で暮らしてるって言ったからなんだよね。まぁ、驚かされたのは、これだけじゃなかったんだけどね。
俊吾君が住んでるという白蘭から近い最寄り駅の白蘭駅へと向かう為に、私は俊吾君と共に学園を出て、城西駅へと向かった。そして、切符を買う段階になって、財布の中にお金がないことに気付いてしまった私は、恥ずかしい気持ちでいっぱいになってしまった。
しかし、そんな私を見かねてか、俊吾君が白蘭駅行きまでの切符を、私の分まで出してくれたので、感謝の気持ちでいっぱいになった。まぁ、からかわれて更に恥ずかしめられたけど。
そんなこんなで切符を買った私と俊吾君は電車に乗って、白蘭駅へと向かった。車中では、俊吾君が私を守るように立ってくれていたので、俊吾君のことが好きだった私は、彼のことが好きになってしまっていた。俊吾君に対しての私の好感度はカンスト状態です♡
白蘭駅へ着いて、電車から降りる際も恥ずかしめられる出来事があった後、駅に迎えに来ていた俊吾君のお父様?とお母様?と一緒に俊吾君の家へと向かった。尚、リムジンでだったけどね。
それから暫くして、俊吾君の家に着いた私は、家の大きさに驚いてしまいました。だって、俊吾君の家は、何処からどう見ても巨大な屋敷だったからね!
そして、俊吾君の屋敷の応接室に着いた私は、ついに俊吾君の正体を教えてもらったんだよね。
俊吾君の正体が、瀬戸崎財閥グループの会長だったのだから───
次話タイトル↓
第1章 学年一の美少女クラスメイトとの同居生活開始編
閑話 沙苗が自由になった日(2)
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