記憶
ちょっと長めです。
盗賊のリーダーが倒れた後、彼が振り返りました。
そして、初めて彼の顔を見ましたが、彼に顔はありませんでした。本来あるはずの目や鼻、口はなくのっぺりとしていました。色は後ろと同じで赤黒い感じで、騎士服のようなものを身に着けていました。
その姿を見ても不思議と、怖いとは感じませんでした。むしろ、気心を知れた仲のような安心した感じになりました。
ただ、これだけは聞かないといけない気がして聞きます。
「助けて頂きありがとうございます❗………
あの…あなたは物語で
出てくる魔王様でしょうか…」
感謝の言葉を伝えるのと同時に、そう質問しました。
彼は物語に出てくる魔王様の特徴と似ていたのです。
「あ~…あれの最後は確かに私ですね………
私を見て怖くはありませんか?」
濁しているような返答がきました。
そして、怖くないかとも聞いてきました。
それに私は、
「いえ、全然怖くないですよ❗むしろ、こころが安らぎます。」
と返しました。
「そうですか、それは良かった………
てっ…それよりも、あなたは大丈夫ですか❗あいつに何かされかけていましたけど❗傷や痛い所は有りませんか❗」
それに彼は、ホッとしたようでしたが、すぐに現状に気付き、私を心配してか、私の元に駆けつけて、矢継ぎ早に私の体を心配していました。
「まだ背中が痛みますが大丈夫ですよ。」
「なっ❗それに他にも傷が一杯あるじゃないですか❗速くこのポーションを飲んでください❗」
背中が痛むと伝えたら、彼が慌て私に、ポーションを渡して来ました。渡されたポーションは私が作る初級ポーションよりも色が濃く、中級ポーション以上の物でした。
私はそのポーションを彼に返そうとするのですが、彼は顔がないのに更に悲しそうな感じなったので、そのまま飲んでしまいました。
その効果は劇的でした。
背中の痛みは消え、その他でもいろんな所にあった擦り傷や切り傷等が治りました。
これ絶対このような傷じゃなくて、もっと大きな傷が治るような上級以上のポーションだと分かり、使って大丈夫だったか心配になり、彼の顔を見ます。
そうしたら、彼はホッとしているように見えました。
「もう大丈夫ですよ❗心配をおかけしてすみませんでした。私はシエルと言います。
あの、お名前を聞いてよろしいですか?」
「えっ…」
私が名前を聞くと、彼は息を飲むように驚いていました。
「どうかされましたか?」
「いえ、何でもないです。私はレオンと言います。……………そうか…覚えていなかったか……」
彼はレオンさんと言うそうです。何故かその名前を聞くと心に何かがつかえました。
レオンさんは最後に何か言っていたようですが聞き取れませんでした。そして、言っている間悲しそうにしていました。
「それにしてもあなたが無事でよかったです。あなたに何かあったら私は…私は胸が張り裂けそうで……また、あの時ようになるんじゃないかと………よかった……本当によかったです……」
レオンさんは私の前に膝を着き、私の無事を心配していました。そして、言うにつれてだんだんと泣いているようでした。
私は、いつの間にかレオンさんの頭を撫でていました。
撫でているとレオンさんは初めは驚いていましたが、私に体を預けるようにしました。
「あの時、あなたを置いていってごめんなさい。」
「ハッ❗……シエルさん今のは❗………あっ❗…すみませんでした❗」
撫でている最中に私はそう呟いていたようで、
レオンさんがそれに驚いて、その後、私に体を預けているのに気付いたようで、体を離しました。
ですが、私はそのような事を気にする余裕がありませんでした。
私は今、先ほど呟いた内容で脳が混乱していました。レオンさんとは初めて出会ったはずなのに、もっと昔から出会っていて、仲良く話したりとか、今までに体験したことがないことが、次々に思い出して来ました。それに脳が耐えきれ無くなり激痛を発しました。
「あ、頭が……」
「……し、シエルさん大丈夫ですか❗」
それに気付いたレオンさんは私の異変に気付き、私の元に駆けつけ、私の肩に手を置き、必死に呼び掛けます。
ですが、更に頭が痛くなっていき、そして…
「あああああアアアアーーー❗」
悲鳴をあげました。
その時に、前世の記憶が戻り、
「シェーラ❗シェーーラーーー❗❗…」
――そうだったのね…レオン……――
そして、私は彼の私を呼ぶ声を聞きながら完全に意識を失いました。




