スネーク脱走
「さて、何をするにせよ、もう夜だ。やるやらないは別にして、門を閉じて家に帰る時間じゃないのか?村長殿、どうする?」
「ヴァッへ、今日はもう家に帰れ。このエルフさんたちはもう何日かしたら村から出ていかれるから、それまでに何か教えてもらえることはあるじゃろう。ボルドウィン殿、それでよろしいですかな?」
「ああ、泊めてもらってる分、なるだけ要望は聞く。理不尽なことは聞けぬがな」
「それでは明日沙汰を出す。門番もいいが、鍛錬と野良仕事を増やしてやらんといかんか?」
「野良仕事はちゃんとやってるからいいだろ?」
「あのなぁ。よそ者に貯水池掘る仕事をさせてどうするんだ?村をよくするのは村人の仕事だ!労苦を惜しまんと働いとればよかったものを。よそ者のエルフさんに働かせおって!恥を知らんといかんぞ!」
「カネも出さないで村に泊めているから、そのくらいのことはやってもらってもいいじゃないか?」
「泊めて世話をしとるのはわしの家じゃて。ワシの家の仕事をさせたことはないぞ?」
そうかな?ハンナちゃんなんかがアーダちゃんのお世話をしてそうな気がする^^。
「やはりそろそろ村を出ていく時期かの?そしたら剣を教えてもらう方がよいかもしれんな。村長!」
「わかりました、二人がそう言うんなら・・・」
お、意外と素直なのね!まあ年寄りの言うことは聞いとくもんです!茄子の花と姑の小言、千に一つの無駄もなし、と。
門での問答が終わり、ポルちゃんは我らと別れて家へ帰った。もう少ししたらポルちゃんの奥さんに桃を食わせるころだろう・・・その前に玄関でお説教かしら?
村長のおたくはどうですか~?おうちに着くと、真っ先に出てきたのがアーダちゃんでした!我、とっ捕まる><なぜ怖がらない?我はこの子が怖い><この子は将来ヘビハンターになるのでは?
「すねぇくちゃんお帰り~」
ニッコニコでためらいもなく我を撫でまわしてくる!なぜだ!!そして我の名がスネークだとなぜ知ってる?と、思ったけど、アーダちゃんの後ろの人が教えたのね。
「隊長、スネークちゃん、お帰りなさい!」
そしてその後ろには・・・えーと、若奥様、だったっけ?アーダちゃんのお母さん?
「お父さんお帰り。その様子じゃポルさん見つかったようね。よかったー・・・アーダ、そのヘビはエルフさんの従魔ですからね。触ってはいけません!」
「大丈夫だよーママー、すねぇくちゃんおとなしいんだよ!ほら!」
げげーん!アーダちゃん、我を若奥様に突き出した!やーどうもこんばんは!そうです、我がすねぇくちゃんです!それ、変なヘビさん、あそら、変なヘビさん!ぐるぐるぐるぐる変なヘビさん!
「キャ―――――――――――――――――――!」
若奥様がお倒れになった・・・
”ボルちゃんよ!”
”どうしたスネーク?”
”我はうちにいない方がいいのでは?外で待っといていいか?”
”しかし今は・・・”
”アーダちゃんに、今から我が言うことを伝えてくれ”
“アーダちゃん!ずっと触っていると、スネークはぬるぬるになってしまうぞ!“
一言一句違わずにアーダちゃんに伝えるボルちゃん。それでも離さないアーダちゃん。仕方ない・・・
“無魔法Lv.4表面潤滑!”
我の体からなんだかあせっぽいものが出てきたと思ったら、アーダちゃんの手からスポーンと我抜ける!我、脱走に成功す!ボルちゃんの後ろに着いた!
それ、変なヘビさん、あそら、変なヘビさん!ぐるぐるぐるぐる変なヘビさん!だっそうだ!
「村長殿!スネークが屋内にいると迷惑なので外に出しておきます」
「ああすまん、いろいろ気を使わせて悪いな・・・」
外に出た我、ボルちゃんにお助けイモの種を置いといてもらう。
“ボルちゃんよ、我、これから一仕事してくる”
“あまり派手なことはしないようにな・・・それと桃は夜の分と朝の分の6つでいいか?”
“そんなにいらない、一つでいい”
“そうか、またあれを使うのだな!”
我が緑魔法使うのばれてた^^。
本日はこれにて。
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