スネーク出撃?
日が落ちたがなお明るさを残している頃合いに、我とボルちゃんは崖を登り切った。まあ、暗くなったら我、発光するだけですがな!上り坂道を淡々と駆けていくボルちゃん。この人は疲れんのかな?我は魔力使い過ぎない限り疲れないけれども。さあここからは普通の坂道だ。ちょっと急ぎますか!
村の門に着く少し前に先行した村長とポルさんに追いついた。あ~やはり相当の近道になってますね、あの崖。
「おお、もう追いついたのか?して、何か収穫があったか?」
村長、抜かりなく情報収集してるな!
“ボルちゃん、イモを見せてやったら?あれを村に植えておけば、多少の飢えは凌げる・・・と思う”
ボルちゃん、頷く。早歩きになりながら、ポーチからイモを取り出す。
「これが谷底にあった。スネークが探してきたものだ。村長殿は知ってるか?」
「こ、これは・・・もしかしたらお助けイモか?」
「お助けイモというのか?これを植えておけば、飢えは凌げる、スネークがそう言っているが?」
「どのくらいあった?」
欲張り村長め!谷底にまた行こうとしてるな!3株ぐらいと言っておいて!
「あまりなかったらしい・・・持ってきたのは3株分ぐらいだそうだ。村長殿は昔冒険者だったそうだな?あの谷のレベルはどのくらいだ?普通に村人が入っても問題ないレベルか?」
「ああ、もうずいぶん昔のことじゃな。このポルティエと他の仲間3人でいろいろ回ったわ。昔の我らぐらいなら、あの谷ぐらいは問題ない」
「村長殿達の昔のレベルはどのくらいなのだ?」
「そうじゃな、剣だけなら今のボルドウィンぐらい、名前覚えたぞ、あっとるじゃろう?
すこし劣るか?ポルティエよ、どう思う?」
「いやー、お前、マッドボアを一閃したことないだろう?剣士さんのひざ下ぐらいにも及ばんだろう?」
あ、門に着いた。村長の指示通り開いてますな。
「いや、あのマッドボアはボルドウィンが切る前に何もないところでけつまづいとる。あれはエルフの魔法じゃろう。あんなんがあればわしにもできると思うぞ!」
「なるほど、私ぐらいのレベルでは問題ないということですね。ではほかの者たちは?」
「他の者だと厳しいな・・・あの谷に降りるのにかなり消耗するだろうし、ボアやらベアやらが出てきたらあっという間にやられるな!」
ビアだったら一撃でやれるんだろうけどな!いや待て、さんざんやっつけたと見せかけて最後に負けるのがビアでした^^(前世での我の飲み会の記憶)。
「それでは、村人には今回のことは知らせない方がいいだろう。谷に出入りして今日みたいに命を取られる危険があるかもしれん」
「ちょっと待ったー!」
門の中で威勢の良い声が!お昼に門を出たときの若者だな。
「あんた、村に泊まっている太りエルフのお仲間だろう?あれを見て、エルフ族があの谷に行っても大丈夫なんて言えないだろう!」
太りエルフ・・・エマちゃんのことやな!違うぞ、エマちゃんは太ってるんじゃない、相撲取りなんだ!それが証拠に力はある!あの鍬捌きを見ていないのか?あ、見てないな!あと、体つきはあれだけど、心持ちは優しいのを知らんのか!あ、それは今関係ないか!しかし、自分が言うのはいいが他人が言うのは腹が立つな!威嚇しちゃる!
「シューーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ボルちゃん、我を遮ったー!
「太りエルフとはエマ・バウアーのことだろうが、あれはまだ今年入隊したてで、これから鍛えていくところだ。それと」
ボルちゃん若者を見てニヤリと笑う。
「鍛える前でも、君・・・ヴァッへと言ったか?力比べでは君では勝てないと思うがね」
「ヴァッへよ、控えておれ・・・ボルドウィン殿、それくらいにしておいてくれんか?若造どもの教育が成ってなかった。こちらの無礼は詫びる・・・」
「いや、こちらこそすまない。若者が覇気を見せているのだ、ついうれしくなってな!鍛えがいがありそうだと思った!」
「あんた、えっらそうに言ってるけど、そんなに強いわけ?なら、俺と勝負してくれない?」
アッチャッチャー><、見てわからんかこの子は!君の体躯と全然違うだろう?
ボルちゃん、困った困ったという仕草で村長を見る。