忘れてた魔法
そんな魔法もあ~ったねと~♪
いつか~話せる~日もくるわ~♪
それでよー、コウのタロー君よ~!
『な、なんじゃい!』
びくびくすんなよ~、君、どこかで神樹さまの実、食べてるよね~、ここ以外で! どこで食べてるのか、我に教えてくれないかなぁ~? できるなら、そこにつれてって欲しいんだけどさぁ~♪
『わ、ワシの餌場を寄こせてか! 』
君の餌場なんてとらないよー↑。ただ、他に神樹さまがどこかにいるのか知ってるでしょ~? それを教えて欲しいんだよねぇ!
『み、南の方にはなんにもないぞ? あっちは世界樹ではなくても食べ物が豊富なので、赤い実探す必要がないだけじゃ!』
ふ~ん、それじゃ北の方には何かあるのかな? 教えろ下さい! つーか、そこに神樹さまがいるってことだろ! 案内しろや!
『あ、赤い実は北の方で確かに取れる…… が、世界樹がそこにあるかどうかはわからんのじゃ! 』
どゆこと?
『赤い実は確かにある。…… あるが、氷漬けになっている物がそこら辺に落ちとるんで、それを食っとるだけじゃぞ! 』
ほーん…… 氷漬けねぇ…… 赤い実があるんだったら、近くに神樹さまがいるってことじゃねーのか?
「…… そうとは限りません。その場所がどこだか、どのような場所かはわかりませんが、誰かが氷漬けにした実をそこに運んだのかもしれません。目的はマルス・プミラの写し木を増やすため」
それをこいつがもしゃもしゃ食った訳か。…… 有罪! 被告鳥を唐揚げの刑に処す!
『異議あり! 何でそんなに判決が早い! 』
『だまらっしゃい! お母様の判決に疑義を挟むとは何事ですか! 』
『赤い実食っただけで有罪なんか、聞いたこともないわ! 黙って唐揚げとやらの刑に処されなさい! …… ところでお母様』
ん? なんや?
『からあげ、とはなんですの? 』
カラアゲっつーのは、オニクをカタクリ粉…… 白い粉に塗して、高温の油で揚げた料理だが…… アナさんはオニクなんか食べるのか? そういや、植物しか食べてないよな?
『リョーリとは? 』
リョーリとは? 簡単に言ってしまえば、食べられるものをよりおいしく、食べやすくするようにするということやな。まあ人のやることだから、アナさんには関係ないが。
『私もお母様のリョーリ、食べたい! 』
そかそか、食べたいか。しかし、今我には手がないので料理することはできないのデス…… と思ったけど、できなくはないか。我、いつぞや作ってそのままにしてた白磁のお皿をオエッと吐き出しまして。食材としまして、グラニーちゃんからいただきました赤い実をオエッと3つ吐き出しまして。空中に咥え投げます! そして! 威力極小のカマイタチ! 赤い実を縦に四分割!皮をV字カットして真ん中の逆V部分は剥きます! 芯部分をカットして…… アレ? 種がないね。ま、いいか、リンゴのウサギさん・マルスプミラバージョンの完成です! お皿の上に立つように、少しお尻の部分をカット!
『こ、これがリョーリ! 』
「ふふふ…… なんだかアナに似てますね」
『そんなもん、食っちまえばいっしょじゃねーか! さぁ、食うぞ!』
コウのタローに皿ごと食われそうになったので、問答無用の赤魔法パラライズ! 我がよしと言うまで痺れてなさい!
『アパーーー! 』
んで、神樹さまにお聞きしたいんですが、この実、何で種がないの?
『次代の種入りかどうかは私たちが自由にできます。事情はよくはわかりませんが、その風の谷のマルス・プミラ様の実に種がないのであれば、その実はすべて食べるために成らされたのではないでしょうか』
ん~、そうかもしれませんねぇ。この実、多分グラニーちゃんの二回目の結実だったよなぁ。
『あ、でも私たちの属性入りの実だと種は確実に入ってますけど』
そんなもんなのですね。で、アナちゃんはさっきからこっち見て何してるん? 食べないのか?
『食べていいのでしょうか?』
アナちゃんのためにつくったんや。食べてもらわないと困りますな。あ、我はさっき余った芯部分と皮のところいただきます。神樹さまはどうする? 共食いになるから食べるの止める?
「いえ、種がないのであれば大丈夫です。それにしても、我らの果実でアナをかたどるとは…… さすが神の御子ですね」
などといいながら、一つ手に取りしみじみとうさリンゴを愛でます。そして一口、しゃりしゃりしゃり…… なるほど、他の方のはこのようになっているのですね、ふむふむとか言いながら味わって食べてますな。一方アナちゃんは、うさリンゴを手に持つのに苦労してます。両手で挟んで落とさないように慎重に……パク!シャリシャリシャリシャリごっぎゅん!
『これがリョーリ…… 』
そやで。まあこれは形を変えただけなんだけどな。人だったら、食べやすいように加工したり加熱したり味を付けたりするんだけどな。アナは魔物だからそこまではせんでええやろ。
『私、人になってお母様のちゃんとしたリョーリが食べたい!』
そうは言ってもねぇ…… そういや、しずちゃんは人になれるんだったっけ? ハンナちゃんの従魔のうち、いずみづちとほむらづちはなんか人化してたけど。しずちゃん、首をふるふる横に振る。
「人化の魔法や技能は、我らマルス・プミラと同様の精霊化とおなじなのではないのでしょうか。種族的な違いなのかはわかりませんが、ある程度時を経ないと人化の術は覚えないのでは? 」
そういやお姉さん婆も人化の魔法?技能?をもっとったねぇ。樹人族の人達は思念体で人化できてたようだったなぁ。ああなつかしや。 …… ってか、人化のことはどうすればいいか今は見当も付かないぞ?
「くぇ~~~」
ん? なんや、コウのタローはなんか言いたいことがあるんか? ワシにも食わせろ、とかだったら次は問答無用の毒付与ですよ? ゲロ鳥さんは全身麻痺しながらもぷるぷる首を横に振ります。んじゃ、首から上だけ解除ね?
『ぶは~~~貴様、いつの間に状態異常の魔法なんか…… いや、初めて見たときにはもうもっとったか……』
んで? いいたいことはそれか?
『ち、ちがうぞ! そのウサギは無魔法を使える! だから人化もいつかは使える用になるじゃろうと言いたかったのじゃ!』
え~? 無魔法が使えると、どうして人化の術が使えるようになるのさ~?? このゲロ鳥、いい加減なこと言ってんじゃ…… ん? 待てよ? 無魔法…… 無魔法でよく使ってたのって…… Lv.6が魔纏いの千手観音だよな。あとはLv.4の弾性体化、Lv.1・Lv.2の硬化と軟化、Lv.3の表面潤滑化。Lv.5ってなんだっけ?
”無魔法Lv.5擬態化です”
【その魔法は現在使用できません】
魔法の声の人と音声ガイダンスの声の人は別人? 声が違う気がする…… で、擬態化ってあったね、そういうの! 確か1回使って失敗してそれっきりだったような覚えがあります。擬態化で人に化けることってできたん? それならたくさん使っとけばよかった><




