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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第6章 夏竹や つわものどもが 夢のあと
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グラニーで朝食を

もう少しで終わるんジャ

 シュッツ氏は上り坂のトンネルを出てすぐのところにいた。ここは我が始めてマギ・バンブー林を見たところだ。シュッツ氏は馬の手入れをしていた…… イケオジは何やっても絵になりますな。


「シュッツ様! 」


ボルちゃんの掛け声によりも早くこちらに気がついていたようです。さすがはエルフ。気配に敏感。


「ミア君。無事に討伐できたようだね。おめでとう。前に来たときはあの魔植で覆われていたのだが、変われば変わるものだね」

「ありがとうございます! これもシュッツ様のご助言のたまものです! 」

「スネーク君も無事で何より。そちらは………… レオン君だったか。ミア君が来るまでよく里を守ってくれたね」

「それが守備隊の仕事ですので.それで、此度の訪問、なにかありましたか? 」


ハート様はこの場で話をしたそうだったが、シュッツ氏のお腹が鳴っていることに気づきます。


「いろいろ聞きたいことはありますが、まずは砦まで。ボルドウィン殿、食事の用意はできそうですか? 」

「それは大丈夫です。今、ヴィンデルバンドが砦まで全員分を運んでおります」

「やー、助かるよ。まさかこんな所に迷い惑わしの樹木が森になっているとは思いもかけなかったので、泊まる準備をしていなかったのだよ。もうお腹ペコペコでねぇ」


こうしてシュッツ氏を南側砦に迎え入れ、ついでにハンナちゃん達が砦にいた野郎部下と、通信部隊のレイハー氏を交えて朝食を取ることになったのであった。我、ハンナちゃんと調理室で準備です。朝ご飯は何を持ってきたの?


「時間がありませんでしたので、エマさんから燻製肉をいただいてサンドウィッチを。あとは希望があれば昨日のお残りスープを温めますが…… スネークちゃんは何か食べたいものがありますか? 」


食べたいものっつーか、我、コーヒー飲みたい。朝はコーヒー飲んでしゃんとしないとね!


「コーヒーですか…… アレはまだ作り方がよくわかりませんし、どなたが飲むかわからないのでスネークちゃんにお任せしていいですか? 私はお湯を沸かしてきます」

「お湯ならあたしが沸かしてきますよー、ハンナちゃんはサンドウィッチ作っててください! 」


エマさんがいる。腹一杯で動けなかったはずだが…… もう消化しちゃったのだろうか?まあハンナちゃんに料理は任せて、我、コーヒー豆を受け取ります。豆を炙ってそのあとすり鉢でゴリゴリゴリゴリ! あとはお湯を待つのみです。あ、コーヒーカップとサーバー 、ドリッパー、フィルターの銀布は前に作ってたものをオエッと吐き出します。まだかなまだかなぁお湯はまだかなぁ。お湯よりも先にサンドウィッチとサラダができたようです。ハンナちゃんがお皿にのせて、我が運びます。体内に収納していたマギハンドを口から出して運びますよ.ここにいるエルフさんは全員魔法が使える(ハート様もヴィンドアプフェルを食べて風魔法が多少使えるようになったそうだ)ので、我のマギハンドは見えてるらしいのだが、大騒ぎをされてしまった…… 魔物じゃないよ! マギハンドだよ! あ、我は今、魔物扱いか! 騒がれたが、皆腹が減っていたようで、ギャーギャーと騒ぎながらサンドウィッチをむさぼり食ってる!


「隊長さんよーー、なんか飲むものはないのかよー? 」

「ブロートだけじゃ喉につっかえて胃に落ちていかねぇぜ! 」

「まあ、気の利かねぇ女だから、しょーがねぇか! 」


ゲッタースリーのあほな子達………… いつもあんな調子でボルちゃんに絡んでいたのかな? 


「飲み物は湯が沸くまで待て。水はここでは出ないのだろう? レイハー殿? 」

「まあ場所が高いところだけに、飲み水はいちいち運ばないといけませんからね」

「そういうことだ。ちょうどスープが来たようだから、それでも飲んで胃に流し込め」


今までの会話を黙って聞いてたハート様、おもむろに声をかけた。


「部下を甘やかしてはいけませんなぁボルドウィン殿。上下関係をしっかりさせないといざというときこちらの命令を聞かなくなりますぞ? 」

「里のエルフがうるせぇってーの! 自分らで討伐すれば、わざわざオレら、こっちに来る必要なかったってーの! 」

「貴殿らはこちらに来る必要は本当になかったな。なぜ来たのだ? まったく役に立ってなかったではないか(笑)。王里の近衛軍は女性ばかりが優秀なのかな? 活躍したのは女性ばかりでしたからな! うん、そうに違いない! 」


ダンディなおじ様ハート様はボルちゃんのことを買っとるな!


「そもそも君たちはフランクフォートで待機という隊長令をなぜ守らなかったのかね? それだけでも規律違反に問われる事態だけど? それにしても、このサンドウィッチとやらは絶品だね。ヴィンデルバンド君が作ったのかね? 隊長だけでなく、衛生兵も優秀なんだね」


イケオジ・シュッツ氏もボルちゃんを褒めとるな。どうやら、ボルちゃんはえらい人にはかわいがられているようだ。部下からは…………特にあの3人がおかしいだけかな? あ、お湯が沸いたね! なんかポットがコンロに置いてあって、そこから蒸気がでております!そんじゃサーバーの分だけお湯もらいますね! こっちのテーブルにあるポットに用意してあるのはなに?


「それは隊長用の緑茶です。あとは道中でいただいたネッセルのハーブティーですよ」


ああネッセルね。ハチ退治したところで助けた少年少女からもらったやつだ。まあ食べてる間、喉が詰まらない用にするんだったら十分だな。


「スネークちゃん、ネッセルに失礼! 」


そんなこと言いながら、ハンナちゃんが飲み物を持って向こうへ行きますよ。我もハンナちゃんが作ってくれたサンドウィッチでも食べてみますか。マギハンドでサーバーとドリッパー、コーヒーポットとカップをマギハンドで持って行きまして、あとはハンナちゃんからサンドウィッチののったお皿を受け取りまして、皆がご飯食べているテーブルに持って行きまして。ん? さっきまで騒がしかったのがなんか静かになってますな。お皿にはサンドウィッチがひぃふうみぃよーいつむぅ。3種類が2個ずつのようです。一つは卵サンド、一つはタウルス肉燻製サンド、あと一つは… ほう、竜田揚げサンドですか。具材をいろいろ変えてますな。香辛料も三種類使ってます。卵サンドにはマヨネーズ、タウルスサンドにはマスタード、竜田揚げサンドにはワサビですな。いろいろ組み合わせたのかな? 研究熱心だなぁ、うん、うまい!


「ちゃんと味わって、そして料理のことを褒めてくれるのはスネークちゃんだけですね………… ヨヨヨ」


ハンナちゃんが泣いた振りしとる、ハハハ! 演技派だなぁ!


「おい、衛生兵くん。今、ボルドウィンの従魔と喋っているのかい? 」

「そうですが、それがなにか? 」

「従魔に食わせるものを食わせてたのか! 」

「お嫌いなものがありましたか? 」

「僕はトマーテはちょっと…… 」


あ、耳の短いエルフさんだ! 好き嫌いはいけません! 大きくなりませんよ!


「えーと、ポンポンヌさんでしたか…… トマーテがお嫌い、わかりました。他に何か食べられないものがある方はいらっしゃいますか? 」


あー、甘やかしとる!


「そうはいってもスネークちゃん! 皆さんに食べてもらうのが衛生兵のお仕事の一環ですから。のどにものがつかえた時は、こちらのハーブティ-をどうぞ」

「いや、ヴィンデルバンド君の出してくれた料理はおいしかったよ! 簡単に食べられてしかもおいしい! 感想を言う間もなく夢中になった!」


さすがはシュッツ氏、ちゃんとハンナちゃんをフォローしてあげてる! いや、でもおいしかったと思うぞ、実際! さて、あと3つあるので、食感を変えるためにちょっと炙ってみますか。我、火魔法Lv.2ファイアでブロート表面をこんがりきつね色に焼いていきます! きつね色になったらひっくり返してまたこんがり色目をつけますよ。


「す、スネークちゃん? 今のは何をしたのですか? 」


何をしたかって、ブロート焼いただけですがな。あと、バターとチーズがあったらよかったなぁ。


「ブターとケーゼはこちらには用意してませんでした…… が、今のはなんですか! 」


だから、表面焼いてサクサクにしただけだって。ホットサンドっていうんだっけ?


「クーーーー、私もまだまだです! そんな調理法も思いつかなかったとは! 早速メモφ(.. )するのです! 」


ハンナちゃんは相変わらず熱心だなぁ。他のみんなも見習えや!


「スネーク君は………… 確か額金つけてなかったっけ? 」

「アレは返してもらいました」


ボルちゃん、啜っていた緑茶湯飲みを置いてポーチから取りだしたるは額金ですな。


「と、言うことは………… アレがなくとも話ができるのかい? 」

「そのようです。目を見ないと話ができないそうですが」

「そうですか…… それでは私と話をしてもらえますか? 」


ん? なんか我に話があるんか? そのためにグラニーラムゼースミスまで来たの? 我、シュッツ氏の正面に向きます。キュピーン! ツチノコ・アイ! さてシュッツ氏よ、何用ですかな?


「ここに来たのは…… そうだね。一つは、きちんと魔植が討伐されたかどうかの確認。それができたら、ミア君のセブンランク認定をするため」

「セブンランク! ボルドウィン、君は仕事を使って冒険者ギルドのランクを上げるつもりだったのか! 」

「別にやっていけないことではないよ? 君は副長の… シュトルツ君、だったかな? ミア君がギルドでこの依頼受けたときに一緒にいればよかったのにね? 君だけじゃない、一緒にこの依頼を受けたのは全員女性だったけど、全員がランクアップしてるよ。ミア君、依頼終了の書類は持ってるかい? 」

「はい、先日、里の長に署名していただきました」


ボルちゃん、ポーチからなにやら紙を取り出しました。てか、紙なのかな? シュッツ氏は紙面を確認し、腰のポーチにしまいます。なんでもポーチやな! 四次元ポケットやな!


「それではミア君のランク7昇格試験、合格です! おめでとう! あとの5人もランク6に昇格するので、王里に戻る前にフランクフォートの冒険者ギルドに来てください 」

「うわーーー、隊長! やりましたね! 」

「たいちょー、すごいですね~、やりましたね~! 」

「おめでとう! まあ、ボルドウィン殿の実力ならそれくらいは当然ですな! 」


喜んでいるのはこの4人だけで、あとの人たちはポカーンと口を開けていた……


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