朝飯後のお仕事
短いです
ハンナちゃんが外のテーブルに持ってきた朝飯は黒パンとスープだった。うんこ鳥は食べる気をなくしたらしくじっとしてましたが、エマさんが食べだした燻製肉を見て、ギャーギャー騒ぎだした。こいつ、結構な肉食なのか? それにしてはうんこの中に結構植物の種が入ってるぞ?
「それにしても大きな鳥さんですねぇ…… 唐揚げにしたら何人前になるのでしょうかねぇ? 」
その言葉を聞いて、うんこ鳥は騒ぐのを止めたようだ。ああ、エマさんや、こいつは食わないでくれ。我が乗り物として使うから。
「そうですか…… 残念ですがわかりましたーーーー! 」
「やっぱりスネークちゃんは帰っちゃうのですか? 」
里を救うまでっていう約束だったからな。これ以上はエルフ族には干渉しないぞ? ハンナちゃんがショボーンとしたが、君には我の姿に似たヒバカリカリンがいるだろうが。
「カリンちゃんはスネークちゃんに似ているのですが、料理とかは全くわかりませんからねぇ」
ま、料理はこれまで基本的なことをいろいろ教えたから、それを応用すればよろし。そんじゃ、我、額金を返却いたしましょう。ボルちゃん、とってくれ。
「ああ、名残惜しいが、そういう約束だったからな。ありがとう、スネーク」
ボルちゃんが我から額金を外します。額金外しても技能【おもうはなすつたわる】があるからな。近くにいる人なら我、目を見て思念を伝えることができるのジャ! だけど、額金が外れて解放感、爽快感! ああ、我自由の身! 全裸になった感じと言えばわかるかしら? ん? どうしたボルちゃん?
「ああ、今レイハー殿から通信が入った…… ああ。んん…… 近くまでシュッツ殿が来ているそうだ。だが、迷い惑わしの森ができていてヘタに動けなくなったらしい…… スネークよ、お前なんかしただろ? 」
ああ、そう言えばなにかをしましたな。里に容易に入られるのは困るだろうから、外輪山の外側に迷い惑わしの森を作っておいたぞ。エルフ族が出入りするのに困らないように、道端にマイルスネークンを作っておいた。それにキースネークンを当てれば、道案内ができるようにしてある。キースネークンは里で持っておけばいいだろう。我、吐き出します。
おぇええええぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇおぉぉぉぉぉえええぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇ!
「これがキースネークン…… これをどう使うのだ? 」
飯食ったばっかりだが、確かめに行くか? それを持ち給え!
「腹いっぱいになって動けなくなるまでは食わないからな! ヴィン! バウアー! 行くぞ! 」
「待たれよ、オレも行く! 里の者が使い方を知らなければ迷い惑わしの樹木たちに閉じ込められたままになるからな! 」
「たいちょ~、あたし、お腹いっぱいでうごけませーん」
「ならばバウアーは他の者に伝言だ! ヴィンは砦のものに朝食を用意して汗血馬で砦に来てくれ! そのキースネークンとやらを忘れずに持って来いよ! 」
うんこ鳥はここで待機な! グラニーちゃんは、どうする?
「いけるところまで、ついていきます! 」
てな感じで、食休みもほどほどに、我とボルちゃん、ハート様で南側砦に行くことにした。馬で行った方が早そうだと思ったのだが、まだ馬のやつらは飯を食ってないらしかったので、それならばと二人とも駆けていくことにしたらしい…… しかしボルちゃんの速さには我でもついていけない。ましてやハート様では…… エルフ族って言ってもいろいろいるのね……
我とハート様が南側砦に着いたときには、ボルちゃんはすでにレイハー氏との話し合いを終えていたらしい。ボルちゃんと我とハート様は休憩なしでフランクフォートの冒険者ギルドマスターでエルフ族のイケオジ、シュッツ氏のところまで出迎えに行くことになった。グラニーちゃんは南側砦までは行けないようでした。それで、シュッツ氏は昨晩こちらに来てたらしいが、迷い惑わしの森林ができてるとは思いもせず、たまたまその辺にあった建物で一夜を過ごしたそうだ…… あれ? もしかしてニアミスしてた? それで朝になって一旦来た道を引き返し、砦に一番近くてなおかつ一番高いところまで戻って連絡を付けたそうだ。どうやって? 額金通信はボルちゃんが借りてった以外にはもうないはずだが…… まだ連絡手段があったのかな?
「シュッツ殿から明け方に手紙が届いたらしい。それで砦周辺を探索しようとしたら、この有様だ。スネークよ…… お前、手加減を知らんようだな。これではアシアティカ様の周辺にあった迷い惑わしの森と同じではないか! 」
いや~、だからエルフさん達にはわかるようにマイルスネークンを置いてきたんやで! 二人ともキースネークン持ったか? そしたら道なりに進むべし!
道らしき道がありますので、それを頼りに進みますと、昨晩我が作ったマイルスネークンが見つかります。
「それで? どうすればいいんだ? 」
キースネークンを当ててくれ。そうしたら里への方角を示してくれる。それ以外はすべて外の街道へつながるようになっている。今回は一番高いところを目指しているので、我が目視で見つけましょう!
「いや、それなら、私が見た方が早いな!」
言うなり、ボルちゃんが空中闊歩を使って迷い惑わしの樹よりも高いところに駆け上がります。うーむ、地上を言うものには有効でも、空をかける者には効き目がありませんなぁ、迷い惑わしの森! なんか対策を考えておこう。 ボルちゃんの道案内は不安だったが5つのマイルスネークンを抜け、我らは無事シュッツ氏のところにたどり着いたのだった。




