酒蔵がないと始まりませんな
誤字脱字報告ありがとうございます。
適宜修正させていただきました。
何はともあれ、酒蔵がないと何もできません。我、クラさんと姉さんズを連れて調理場を出ます。
「後学のため私も同行しよう」
なぜかボルちゃんも同行することに。
「隊長がいくところ、私あり」
「あたしもいますよ~」
ハンナちゃんはいいとして、エマさんはもう帰ってきたのか?
「はい~、ご飯配達して、ついでにお酒も持っていったらいたく喜ばれました~」
あ~、やはりエルフの皆さんもお酒は好きなんだな。ドワーフの人たちもお酒好きだったし。まだ見果てぬ獣人さん達もお酒好きだったらいいな。お酒がつなぐ人の縁。お酒は世界を救う!
「酒で身を滅ぼすこともあるけどな」
なんかボルちゃんがボソッとつぶやいたが、まあ気にしない!
「ほどほどに嗜む程度にすればいいと本にも書いてありました。お酒はお薬の王様だそうです」
酒は百薬の長が変な風になってる! そりゃ単に酒好きが酒飲むための言い訳に使ったんジャないのか。
「それで、スネーク殿。どの辺にその酒蔵を作るというのですか? 」
うん。そうだね。この辺の水はあまりよくなさそうだから、魔法で水を使える人に水出してもらえばいいか。すると、酒を貯蔵するのに日当たりの悪いところの方がいいよね。北側の崖とかどうよ。
「どうよ、と言われても…… 特に何の問題もありませんぞ」
食堂や調理場みたいなところは確か南東側の崖の中に作られてたから、そんな感じの設備が北側で存在しなければいいんだけど何の問題もなければいいよね。夜になっても里の中はほんのり明るい。そういう風に崖の岩を、入植したときに改造したそうだ。祝福魔法かしらね? もっともそういう風にできてるのは崖の下層だけで、我が砂に変えて吹き飛ばした部分は単に上に登るだけの階段があるだけだった。後先考えてなかったが、上部分に何もなくって良かった。
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てくてく歩くこと十数分で、北側の崖に到着。なんか南側の出口にあった可動橋ぽいのがここにもあった。まあ目印にもなるし、この辺でいいか。 我、崖に向かって
”構造物作成、貯蔵庫と作業場。崖の壁面には明り取りのガラスを使って”
ガガガガガガガガ!
なかがどうなってるかはわからんが、とりあえず横幅5m、高さ2mほどの出入り口ができた。ちょっと我、確認してくる! 暗くっても中はツチノコ・アイで見れるのジャ! ふむふむ、調理場と食堂のような感じの広さになっておりますな…… しかし暗いままだと作業もしにくかろう・・・・・・ ここは体内にある水晶玉に光魔法を込めて…… おえっおえっおえっおえっおえっ! 壁面の高いところに水晶玉が嵌まるところを作りまして、しょぽしゅぽしゅぽしゅぽしゅぽ! これでよし。おーい、はいってきてもだいじょーVだぞ!。
「おおお……」
「なにここーー? 」
「ひろーい!」
「あっかるーーい! 」
「きれーーーーー! 」
「なんにもなーい! 」
そりゃそうだ。作ったばかりだからな。えーと、なにが必要かな? まずはサトウキビの茎から葉を毟ったり汁を絞ったりするための作業台、搾り汁を貯めるための瓶、搾りかすを集めて水に浸けるための桶。煮詰めるためのかまどと、煙を外に逃がすための煙突。あと、発酵してできた醸造酒を蒸留するための設備がいるか。そうすると、冷却装置が必要になるわけで…… 崖の向こうには川が流れてるんだったよな…… ついでに水を濾過するものも作るか…… 濾過する仕組みには木炭があるといいんだが…… そうすると、木材を炭にする炭焼き小屋もいるな…… 最初のうちは我が作っておくか。我、体内に貯蔵してるマギ・バンブーの竿を体内で無酸素燃焼! おえーーーーーーーーーーーーーーーっと吐き出します。
「ん? また何か作ったのか? 」
「これは…… 炭? ですか? 」
そうですジャ! 竹で作った炭、すなわち竹炭ですな。
「ここで何かを加熱するのですかな? 」
炭はそういう目的がメインなんだけど、それ以外にも使い道はあるのだ!
”構造物生成! 蓋付きの貯水タンク! 水導管を川まで繋げて、一杯になったら止める弁作って。タンク内部の表面にはクリスタル水道管を作って外に出して! 内部に貯めた水が出る蛇口を外に作って! ”
ガガガガガガガガ!
「えっと…… これを加熱するのですか? 」
ちゃうねん! これは外の川から水を引き込んでだな、ここにある竹炭を砕いてなかにいれて・・・・・・ おっと、炭を入れる前に銀糸を出して綿状にして中に詰めて…… それから炭を入れて、ろ過装置完了! あとはここのバルブを捻ったら、おおっ!水が出てきましたな! まあ生水だから直接飲まなければいい。煮沸すれば使えるはず。んで、こっちの釜戸に作った1石鍋を使って、さっき甘味をとっのサトウキビの残り物を…… そうだね、風魔法かなんかで細かくしたらいいと思う。
「それではミィアちゃんにやってもらうか」
あ! 呪文なしでボル・イタチがでてきた! てか、ずっといたのか? 魔力は大丈夫か?
「ああ、スネークに改良してもらった蒼天な、私が魔力を込めなくても大丈夫になった。ハリケーンについては前の蒼天並みに魔力を使うが、以前のものと比べて性能が段違いになったな」
そうですか、そりゃよかった。そんじゃあミィアちゃん、お願いね。
「みゃっ! 」
ボル・イタチは片手をあげるとあげたその片手が小さなナイフになりました。鎌じゃねー!
とんとんとんとんとんとんとんとんとんとんとん!
テーブルの上に置いたサトウキビの残滓はあっという間にボルイタチのナイフによって細切れにされました…… そう言えばさぁ、イタチってカワウソに似てるよなぁ…… おんなじ仲間だよなぁ。フェレットとかイイズナとかオコジョとかもさ。ラッコもそうだっけ? 挨拶するときに、やぁ!って手をあげるのはこいつらの習性なのかしらね? なんでそんなことを連想したかというと、日本酒の中に獺の祭とか言うお酒があったのを思い出したのだ! ここではイタチが酒を造るから鼬の祭という名前になるな! ラム酒なのにな! ささ、この刻んだ残滓を鍋に入れて!
「もう酒作りとやらは始まっているのか? 」
まあそうね。初めてだからうまくいくかどうかはわからんが。あとは鍋に水を入れて…… 最初だから我の体内に残ってる魔法水を入れとこう!おぇええええええええええ! あとは、釜戸に炭入れて、
火魔法Lv.1点火!
「煮だしたものを別の壺に入れて保存するのですかな? 」
本当は木の樽がいいんだけどねぇ。ああ、もう一部屋、保管場所を作っておくか。作業部屋の隣に
”構造物生成。同じ部屋を隣に作って。広さは今の・・・・・・そうねぇ20倍ってところか”
ガガガガガガガ!
似たような部屋が出来上がりました。こっちは灯りなし。ここで静かに熟成させましょう。
「また新しい部屋が…… 」
ここは貯蔵室に使いや! お酒熟成させるだけでなくって色々保管するのにも使えるで!さあ、あとはなんだ? 黒砂糖作りか?これも基本的にはサトウキビの搾り汁を加熱して・・・・・・ 普通の糖はどうやって白くするんだろうね? 我、メルゼブルグでは魔道具使ったからできたけど。ここに今度来た時に青魔法ができたら作ってやろう。だから黒砂糖で我慢しときなさい!
「いやいや、砂糖と酒ができるだけで十分満足ですよ! 」
砂糖はともかく、酒はちゃんとできるかどうかわからないのだが……
本日はこれにて。
お読みいただきありがとうございます。




