跳べ!ツチノコ
村長が去った後、腹が減り過ぎて我を食おうとしているエマちゃんのためにここで昼食にすることにする。
“ボルちゃん、食べ物栗以外に何かある?”
「ああ、ガルスガルスがまだ残っているぞ。ハンナ、エマでもいい、何か焚きつけにするようなものは持っているか?」
「あーあたしは藁をたくさん持ってますよぅ」
「そうか、それではここで昼食にする。ハンナはガルスガルスを捌いてくれ。エマは・・・用意ができるまでゆっくり1000数えててくれ」
なんでやねん!それと、エマちゃんに我を食べないように言うて聞かせてくれ!
ハンナちゃんはポーチから調理道具取り出してテキパキトリを捌いとるで!あ、火は・・・着火道具があるのね!便利魔道具おそるべし!
「おっとそうだ!数える前に、バウアー新兵!私はこの度世界樹を探したのだが見つけられなかった。その代わりとある人物と会い、エルフの里の危機を救うため獣魔を借り受けた。その獣魔がスネーク、このヘビだ!仇やおろそかにするな、とその方に言われた。お前もとって食おうと思わずに、仲間と思って接してくれ。あと、スネークは人語を解するが、しゃべることはできない。なので、連絡用額金を付けておくよう!以上だ!」
「えぇー、お弁当じゃなかったのですか、がっくり!あたしがっくりです!隊長!」
「それでは崖のむこうの森に行ったときに何かを狩ってくるか?けっこうな大物が潜んでいる感じではあったぞ!」
「そんなぁ、隊長!あたしまだまだ入隊したての新兵ですよ~軍に入る前は実家の農作業の手伝いしかしたことないし~」
「実家では肉は食えてたのか?」
「やだなぁ、食えてるわけないじゃないですかぁ。農家ですよぅ」
う~む。ならば問おう!その筋肉はなんだ?麦食ってそんなに立派になったのか?えー?どうなんだ??オークエルフ、まだ我を見てよだれを垂らしておるな!
「バウアー新兵、急ぎ額金を使うのだ!こやつが何を言ってるかわかるぞ!」
「え~?わかっちゃったら食べられなくなるじゃないですか~?」
「むしろお前が食べないようにする処置だ。このヘビは里を救うのに必要なのだ!急いでつけないと・・・」
「つけないとどうなるんですかぁ?」
「正座で昼飯抜き!」
「ひ~~~、勘弁してくださいよぅ!付けますからちょっと待ってくださーい!」
オークエルフさん、額金をやっとつける・・・
「あーあー、これでしゃべったら食べられなくなっちゃう!」
“我を食べちゃ駄目ジャ、ヘビだけに!”
「どういうことですか~?」
“いや、蛇と蛇がかかっていたのジャ!”
「そんなのわかりませーん」
エマちゃんの横でハンナちゃんが苦笑していた・・・
“そんなこと言ってると、森に行ったときにニク狩らないぞ!”
「え~ヘビさんニク狩れるの~?」
どうなんでしょうね?我、狩れるよね?ボルちゃんニワトリ狩っていたけど、あれくらいなら我もできるぞ!
「スネークはガルスガルスぐらいなら余裕だと言っている」
「え~ガルスガルスはすっごく素早いんだよ~、ヘビさんあたしと一緒ですばやくうごけないでしょう~?」
侮られている我。ならば刮目せよ!我の能力を!
我、バインバイン跳びはねる。跳びはねてエマちゃんの背後に行ったり横に行ったり地面についたと思ったら気配を消して匍匐前進してエマちゃんの前に飛び出たり。
最後はこれだ!大蛇――――――――――――――――ンプ!
跳べ!ツチノコ
跳べ跳べ、羽ばたけツチノコ~♪
To be to be, Ten made to be,TUCHINOKO.
本日はこれにて。
お読みいただきありがとうございます。




