戦場は荒池
「よし、それで手を打つか・・・貯水池も何とかして欲しかったのじゃが・・・」
「何か報酬があれば、追加でやってもいい。旅の食料とか」
「ここのチーズとバターでよいか?」
「量にもよるが・・・」
「それは仕事次第じゃな・・・さて、そろそろ見えてくるか・・・あれじゃ」
村長が指さしたのは丘と丘の間のくぼ地だった・・・なるほど、あそこなら両方の丘に降った雨が集まって来るな・・・欲を言えば、谷間と反対側のところに溝を作って谷間の方に流れるようにすれば、もっと効率よく雨を集めることができるだろう。
くぼ地では一人誰かが鍬をもって地を耕している。力強い鍬捌きだ。腰が入っているね~この村にも若い人がいたんだ!
「おーい、エマさーん!」
エマさん・・・さっき聞いた名前のような・・・え?あれ?エルフ族の人?顔はわからないけど、体つきはどう見てもオークの人でしょ?我、この世界でオークを見たことないけども!あれが新兵の人?あ、オークの人がこっちに近づいてきた!我発見された!え、なぜによだれを垂らしている・・・?
「あ~、たいちょ~お帰りなさいー。お昼のお弁当~、持ってきてくれたんですね~・・・もうわたしお腹が空きすぎてぇ~たおれそー・・・です。なまで食べちゃっていいんですか~?いいんです!」
お腹がグーーーーーーーーーー!となっている。我を見つめるオークエルフ・・・ひっ!我、お弁当ですか?いいえ、ケフィアです><我、食べてもおいしくないよー!!
「ヘビのニクはガルスガルスに似て大変美味だそうだ、あいつの話ではな」
ボルちゃん、なんかあげたってーな!我、食われるよ!
「エマさん!このコは食わせませんよー!とりあえずお疲れ様です。お水でもたんとお飲み!」
ハンナちゃん、何か唱えたと思ったら手の平から水がシャーっと出てきた・・・見事にオークの口に命中・・・オークさん、ごくごく飲んでますがな!
「スネークよ、あれはオークではない。れっきとしたエルフだ」
いや、わかりますよ、耳尖がってるし、肌の色白いし。でもなぁ・・・体格がなぁ・・・ボルちゃんを横に4倍増しした感じじゃないか!筋肉エルフ、そして脂肪エルフ!合わせて、相撲エルフや!あ、一応女子かな?相撲はできないか^^。
「エマ・バウアー新兵!私は戻って来た。まずは経過を聞こうか?」
「はいーっ、エマ・バウアー新兵報告しますう!わたしエマバウアー新兵、隊長が出られた後期間にして
半分は本村の畑を耕し、あとの半分は貯水池の掘り返しをしておりましたことを報告します!」
ボルちゃんに敬礼するオークエルフさん。エマとは聞いていたが、バウアーが苗字なのか。
「この子はよく働いてくれるんじゃが、その分よく食べてのぅ・・・」
「お肉がないと動けないのでありますよ・・・」
「肉をとるとその分の乳製品が作れなくなるでの・・・」
「それではまた崖のむこうに行ったときにガルスガルスを狩ってきます」
「隊長、それだと馬待ちの時間はいることになりますね・・・」
「それで手を打ったからよいのではないか?なあ村長殿!」
「そうさなぁ・・・もっとここを深く掘ってくれたらよかったのじゃが」
”ボルちゃんよ!我が土魔法を使うから、エルフの秘術ということにして村長に隠しておけばいいんじゃね?“
“スネークちゃん、いろいろ魔法が使えるんだ・・・そりゃそうか!緑魔法が使えるんだもん”
事情が分からないエマちゃん、我をずっと見ています・・・ヨダレ垂らしながら!えーい!よだれを拭け!よだれを!
ボルちゃん、背負子の中から柿を取り出す。
「バウアー新兵、それでのどの渇きを潤しておけ!」
爺さんまたびっくりしてる!
「それも森の中で?」
「ああ、あと栗もあるが・・・そちらはすぐには食べられないな」
「もっと何かないか?」
「すぐに食べられるものは・・・あるにはあるが、それは我らの糧食だ!」
「種になるものを分けてはもらえないか?」
「分けてもいいが、この地で育つかどうかはわからんぞ?」
“ボルちゃん、イモがあるんじゃない?あれは荒れ地でも育つよ!
しかし、いろいろと要求が多くてかないませんな!”
“同感だな(ですね)”
「それでは、村長殿は昼飯を食ってきてくれ!その間に我らはエルフの秘術を用いてこの池を掘っておく。それでどうだ?」
村長は頷いてこの場を去っていった。本当に去ったかどうか、我、ジャンプして確認。村長が遠くに見える・・・大丈夫だな。




