雲龍型で四股を踏む
も少し、相撲のはなし・・・でもないような?
ボルちゃんに絡んでいたゲッタースリーは、ハンナちゃんに手を出したことでエマさんからお仕置きをされたのであった。
「さて、残りはナル兵長とクリンゲ兵長だな…… バウアーはもういいぞ。お疲れ様でした」
「いや、オレはバウアーとやってみたいな。やたら強いじゃねーか!」
ボルちゃんは、アゴに人差し指をつけて目を瞑りました。
「いや、クリンゲにはあとでボーデン兵長に槍技を教えてやってくれ」
「ボーデンに? 剣から槍に武器を変えさせるのか? にしてもよ、あやつに槍は合わんと思うが、まあいい。なんか考えがあるんだろう。それでいいぜ」
「それでは全員砦の中に入れ」
「たいちょ~~、あたしはいつまでこの格好ですか~~?」
横綱を締めて、化粧廻しが前掛けになっていたエマさんはまだまだ恥ずかしいみたいですな。せっかくフンドシなくしてやったのに!
「そうだな…… その姿で、四股とやらをすればよかったのではなかったかな? 」
「え~そうでしたっけ~~??? なんか笑ってませんか~~?」
笑っとるな、うす~く!
「まあなんだ、とにかくやってみろ!」
「もうどうなってもしりませんからーーーーー! 」
エマさん、片足を天に向け伸ばします!
そしてーーー!
よいしょーーーーーーーーーーーー! ずしーーーーーーーーーーーーーーーん!
天が鳴動します! どこかにいた小鳥、ピ太郎たちかな?が飛び上がります。
もういっちょ、よいしょーーーーーーーーーーーーーーー! ずしーーーーーーーーーーーーーーーん!
地も鳴動します! わらららららと蠢く小動物。あれは火鼠のネズ太郎達……女の子だったらネズ子かな? やっぱり変な名前だ。
「確か前回はアレで倒れたよな…… やはり魔力が上がっている…… もう一度だ!」
そういや、前掛けの柄にドラゴンの顔がぼんやりでてきましたな!
「もうヤケですぅ!」
よいしょーーーーーーーーーーーー! ずしーーーーーーーーーーーーーーーん!
あああ! 前掛けから、ドラゴンが!
もういっちょ、よいしょーーーーーーーーーーーーーーー! ずしーーーーーーーーーーーーーーーん!
う、生まれたーーーーーーー! 前掛けからずるりと這い出てきたドラゴン! エマさんの周りをぐるぐると回っております! エマさんはなんかふらふらです!
「なんだありゃあ! 新兵からドラゴンが出てきやがったぞ! 」
「ふーむ、まだアレをコントロールすることはできないか…… クラウド・ドラゴンといったか? 」
そうです、あれが文字通り、ダイヤモンドの破片でできた雲龍! 攻めてよく、守ってよし!
「ほう、ドラゴンか! ならば! 俺の龍貫で…… ない! 俺の槍! 」
この子もあほの子なのかしら? さっき王里に置いてきたっていってたじゃんか!
「自慢の槍は置いてきたのではなかったのか? 」
「あーーーー、そーーーだったーーーー! だがしかし! あの程度、簡易槍でも十分だ! やるぞ! 」
やるな! やるな?ではない! なるな!だ! ちょっとボルちゃん止めなさいって!
「しかし、あのドラゴンのことが何もわからないからいい機会だ。あのドラゴンはなにをするんだ? 」
そりゃ、守ってよく! あ、あほの子槍エルフが、簡易槍とかを龍に向けて切り込んだ! ………… スッカスカだね…………
「クラウドというからには実体がないのか……ふむ」
あ、ドラゴンさん、槍持ってるエルフを睨み付けましたな! 突撃するー!
「な! なんなんだこいつは? 手応えが全くない!」
槍でぐりぐりしてますが…… まあ雲に向かって槍を突いてもねぇ?
「実体がないのに攻撃ができるのか? 」
さあ? なんか雲がエルフの体を通過してます………… む! 血が出ている?
「実体がないわけでもなさそうだ。あのキラキラとした物でクリンゲを引っ掻いている、そんな感じだな」
「隊長! エマさんが!」
「ム! 魔力の使いすぎか! …… 」
どうした? 我に、魔力補給を頼まないのか?
「魔力の使いすぎで気を失ったのなら、そのあと起きたら魔力総量が増大するという話だったよな? ヴィン、大丈夫だ! バウアー、もう一度四股だ!」
「たい…… ちょ~……、もう…… きつい…… 」
「そこで、もう一度四股を踏むんだ! 」
エマさん、ふらふらしながら片足をあげる!…… 足を振り下ろさない…… のかと長らく待ってようやく、
よいしょーーーーーーーーーーーー!ずしーーーーーーーーーーーーーーーーん!
エマさんは土俵入りの型を取ったまま気絶していた…… 指が天に向いていれば、我が生涯に一片の悔いなし!とかいいそうだった。
「バウアーの夕食にはタウルスのステーキを出してやらないといけないな」
エマさんの生涯に肉片の食いありだな!
本日はこれにて。
お読みいただきありがとうございます。




