うっちゃれ! バウアー山!
タイトルは有名相撲漫画のオマージュです・・・
もうネタがないので相撲関係は終わります。
結局、エマ太郎は剣先を避けるだけでなにもせず、そのまま時間切れとなったのだった。ボルちゃんは不満そうだったが、エマ太郎の性格からいって、他人を殴れるのはよっぽどのことがない限り無理だろう……
「バウアー新兵は、私と一緒に2ヶ月を共にして、あっという間に強くなったのだが、君たちはどうか? 」
おおぅ、ボルちゃん挑発するねーーー!
「も、元々ガタイがよくて才能もあったんじゃねーの? ボルドウィンの躾がよかったんなら、これまでそこの出来損ない3人組だってもっと強くなってたはずじゃねーか! 」
と、まあゲッタースリーの誰かがもの申しているが、うーん、そうかなぁ…… 本人にやる気がなかったらいくら才能があっても強くなんないと思うんだけど?
「才能があっても、やる気をなくしてしまった者達の末路がアレだな…… ヤジを飛ばすだけで、体を鍛えない・技を磨こうとしない・心が未熟」
なかなかに辛辣やな。
「隊長がそこまで言うんなら、そこの嬢ちゃんの剣技も、よっぽど上達しているんでしょ~? 僕らと手合わせ、願いたいなぁーーーー! 」
別のゲッタースリーがハンナちゃんをご指名だ。魔法ならともかく、ハンナちゃんに剣技はないよな。どんだけ勝ちたいのか知らんが、それはないんじゃないんですか?
「ヴィンデルバンド衛生兵は、衛生兵としての職能を十分以上に発揮してきた。君らに治療行為ができるか? できないだろう。やらせることもない。症状が悪化するだけだからな」
「だけど隊長さんとずっと一緒に行動してたんでしょー? そしたら訓練もしているはずですよねー? 」
ゲッタースリーの三人目が口を出した。ゲッタースリーはボルちゃんに思うことでもありそうですな!
「そういうことで、衛生兵のヴィンデルバンドちゃん、オレらを相手にしてくれよぉ? 」
にやけた顔してババンバーン! ハンナちゃんも困り顔です。
「ヴィンデルバンドは剣技ではなく、魔法技が2ヶ月で相当伸びたのだが、君らはそれを相手にするのか? 」
「そんなわけないでしょー? 剣技ですよ! 剣技! 」
最初のゲッタースリーのやつが帯剣していたドルヒ?だっけ? を抜いて、軽く一振り…… 、ム! 魔法か! 風魔法Lv.4空気壁!
「キャッ!! 」
ハンナちゃん、尻餅をつく! どうやら鎌鼬系の切り裂く風魔法ではなかったようで、我の空気壁は薄すぎたようだ。空気弾の大きなやつだったのかな?
「ほぅ……」
ボルちゃんがなんか頷いてる。それにしても、許せん! 我、赤魔法…… を使おうとしたら、エマさんが、風魔法を使ったゲッタースリーの剣を持つ手をむんずと掴んでいた。あれ? いつの間にエマ・ナックル外してたの?
「どうやら~先輩もいけない子のようですね~ 」
空いてる手でビンタ!ビンタ!右からビンタの左から往復ビンタ!ビターンビターンビターンビターンビターン! 我より怒り!いまそかり!
「てめっ、何しやがる! 」
隣のゲッターが止めさせようとして手を出すが、エマさんビンタしてた手で手首を掴みまして、憤怒っと投げ飛ばします! そしてさらにビンタを続けます!
「は……離しやがれ………… 」
「何でハンナちゃんに魔法を使いましたかーーーーーー!!!」
ビターンビターンビターンビターン。鳴り止まぬビターン音。
「こら、新兵! 止めんか!」
今のところ無傷なゲッターが止めさせようと近づいてきますが、エマさんビンタしてた方の手を使って突き飛ばします!
「こ、この野郎! 」
突き飛ばされたゲッターは、起き上がり呪言を唱えました。
「水よ! 打ち出でて 邪悪なる者を清めたまえ! 打ち水! 」
変な呪言ですな。マナをなんとかって言うのはないんかいな?と思ったら、ゲッターの手からお水がぴゃー! エマさん華麗に躱します。
「ふむ……」
ボルちゃんなにを頷いとるんや。
「そのお水はー、飲むとお腹壊しそうですね~! 」
エマさんは握っていたゲッターの腕を引き寄せ、ゲッターの体を打ち水とやらへの盾としました。
「あぶあぶ……ギュンター! やめ、やめろー!!」
「チ! 卑怯者め! ゲッツを盾にするとは! 隊長! こいつ、止めさせてください! 」
「その必要はないな。ただいま査定の真っ最中だ。ゲッツ上等兵、君は関係ないヴィンデルバンド衛生兵に攻撃を加えたから減点な」
話している最中よそ見してたギュンターとやらに、エマさんささっと近づいて、胸ぐらを掴みます! そこでアゴに鉄砲ぶちかませ!
「はいーーーーーーーーー! 」
掌底でアッパーカット! 哀れ、ゲッターギュンターは膝から崩れ落ちました……
「ギュンター! てめぇやってくれたな! 」
「はいーーーー! やってあげましたーーー!」
「ギリー上等兵! 魔法は禁じていたはずだ! 」
「かんけーないね! 風よ! 刃となりて 邪悪なる者を切り裂きたまえ! 鎌鼬! 」
「いかん! バウアー! ”蒸着”だ! 」
「蒸着ぅーーーーーーーー!」
あらら、ここで切り札つかうんかい!
デレレレレーーーン!カシッ・ピーン!キュィイン!ツゥーン!テレレレン・バーン!ツワワワワァン……パーン…テーーーンテレレンテーーーンテレレレレン……
”貴様、何者だ!”
日下開山・バウワー山!
”日下開山・バウアー山はコンバットスーツを蒸着するタイムは、わずか、0.05秒にすぎない! では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!”
「ええぇ? あたし、二度と言わないって思ってたのに~?」
”蒸着……ピカッゴロゴロ…デゥエンデゥエンデゥエン……リョーカイ!コンバットスーツ・テンソーシマス!”
そこにあったのは、迷彩服の上から前掛けと真っ白な綱にこれまた真っ白な紙垂を付けた力士になる前の金太郎ファッションであった。横綱・バウアー山エマ太郎の完成や!
「なんですか~!これは~!」
「な、何だあれは?! オレの鎌鼬を弾きやがった!」
これぞ日下開山! バウアー山じゃ! ゆけ! バウアー山! ゲッターギリーをうっちゃれ!バウアー山!
「いわれなくてもーーー! ハンナちゃんに乱暴したやつはーーー、許しませんよーーーーーーーー!」
「ま、待て! 衛生兵に魔法をぶつけたのはオレじゃなくってゲッツ……」
台詞を言い終わる前に、ゲッターギリーはエマさんの張り手一発で星になった……
本日はこれにて。
お読みいただきありがとうございます。




