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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第6章 夏竹や つわものどもが 夢のあと
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のたり エマ太郎

タイトルは著名な相撲漫画をオマージュしたものです。

相撲成分はほぼありません^^。


 エマさんが四股を踏んだため、即席土俵は速攻で崩壊してしまった………


「と言うよりスネークよ? 」


なにかな? 


「この丸くて四角いものはなんなのか?  これがスネークの言う、相撲の闘技場なのか? バウアーには特に力士で闘えとは指定してないから、これはいらないのでは? 」


まあ、そうですねーク。土俵は相撲だけの闘技場です。武器持った人が上がってはいけませんでした。そんなわけで、我、土俵をなくし、代わりに


”構造物作成。石畳。20m四方で、表面平ら、ある程度ざらざらにして”


ガガガガガ!


面積は狭いがこれで十分じゃないか?




「ふん。模擬戦をするには狭いが…… ま、査定するには足りる広さか……」


ボルちゃん、不満があるなら聞くぞ? 単にこの辺りの平らなところだけ石畳にしたんだからな? それに………… シュタイルハング村から領都メルゼブルグに行く道中で、ヴァッへ君やヴェヒター君と稽古してた時はこれくらいの広さだったぞ!


「そうだったかな? ま、スピード勝負をしない限り、さほど広さは必要ないからな。ふふ…………」

「なぁボルドウィン………… これは君の従魔がやってるのか? 」

「そうだ。君たちはフランクフォートの冒険者ギルドによったのだろう? シュッツ様から、私の従魔について聞かなかったのか? 」

「…… いや、聞いたけど…… こんなにすごいなんて聞いてないよ? 」


まあ直接見せたわけじゃないし、信じられんのも無理なかろう。


「フランクフォートで待機していて、私たちと一緒に出発していれば、その規格外に驚くだろうな」


そして長く付き合えば慣れてしまうだろう、とぼそっとボルちゃんがつぶやいたのが聞こえた。外野がざわついていたが、ちゃんと聞こえてたぜ!


「さあ、もう一度仕切り直しだ。カールセン、バウアー。向かい合え! 」

「えーーー、さっきの足慣らしはなんなのーーーーー? 」

「アレは四股という準備運動ですよ~! ところで先輩は~、準備運動しなくって大丈夫ですかー? 今食べたばっかりですよね~? 」


あ、こいつ、上等兵7の名前覚えてないな! 我は…… 今覚えた。カールセン君だ。駄菓子の名前っぽいな。エマさん、今度は股割りやって足の筋を伸ばしている。


「準備運動って行っても、軽く走るだけなんじゃないのか? 」

「今まではそうだったが、これからはバウアーがやってるように、体の関節を柔らかくし、可動部分を広げるような運動を訓練に取り入れることにする! ま、そうはいっても効能がわからないだろうから、カールセンは今はやらなくていいぞ! さあ、バウアーもういいか? 」

「はい~! 」


エマさん起き上がって半身に構えました。


「カールセン。バウアーが無手だと思って油断してると大変な目に遭うからな!! 」

「えー! 無手じゃないでしょーー! なんか手に持ってるしーーー!」

「ハイ! 始め! 」


唐突に始まった模擬戦。覚悟を決めたのか、カールセン君は掛け声かけて木剣もって突っ込んでくる! なんか弱そうだな。エマさんはと言うと……


「な! 何で当たらないの? 」

「それはけてるからですよ~~」


なんかのたりとした動きで、カールセン君の木剣の突き、振り下ろし、薙ぎ払いを皮一枚で避けてます。足場はそのまま、上体だけ動かしてますな! そういう歌を歌って踊りをするのがありましたな…… ニャーニャートレインだったか……


「そこまで!」


ボルちゃん、いつの間にか砂時計を出して時間計ってた。アレはハンナちゃんが持ってたやつ?


「カールセン、どうした? 一太刀も当たらなかったではないか? 」

「あ"ーーー、ラビーとやるときは…… ぜぃぜぃ………… そこそこやってたと思うんですが………… 」

「もしかしてぇ、あたしがかわいいから、遠慮しちゃいました~? 」

「ど、どこが………… かわいいのさ…… 凶悪だよ………… 真面目にやったのに…… スーハーハー、 何で当たらない! 」

「そう言われましてもぉ、先輩の動きがー、遅いのでーーー、避けれちゃうんですよねぇー」


いつもののたりとした動きからは想像も付かないエマさんの動き…… のたりエマ太郎…… いや待て! ニクが絡むと異様に早くなるときがあるな!


「まったく成長していない…… 」


どこかのバスケの先生みたいなことをボルちゃんがつぶやきましたな。


「シュタイナー兵長、今まで何をしてきたのだ? カールセン上等兵をきちんと訓練していたのか? 単に自主性に任せていただけでは使い物になることはないぞ? この様子だと、ラビー上等兵もポンポンヌ上等兵も変わらないのではないか? 」

「僭越ながら、バウアー新兵の成長ぶりに目をくらまされているのではありませんか? 彼女の動きに比べたらまだまだですが、三人の上等兵は地力をつけてきております、それなりに」

「それなりに、か」


顎を親指で押さえて考え込むボルちゃん。


「ではその三人でバウアーを相手にしてみろ。ドルヒを使っても構わん」


ドルヒってなんや?


”スネークが、黒曜石や水晶で短剣を作ってくれただろう? ああいった類いのものだ。支給品だから、皆が持っている”


おいおい、短剣持った3人相手にするのはきつくないか?


「バウアーよ。今度は殴ってもいいぞ! それとも、切られないと殴る気にはなれないか? 」

「んんん~、あんまり気は進みませんね~~~…… でも、切られるのいやだしぃ~~~」

「そ、そうだ! 鞘付き! 鞘をつけたら切れないから安全安心でしょ? 」

「そうしましょう、隊長!」

「ポンポンヌがいいこと言った! 」


そんなに殴られるのがいやなのか?


「あの~」


ここでハンナちゃん、皿をきれいにして収納し終わったあとの発言です。


「私とエマさんと隊長の木剣を使えばよいのでは? 」

「…… そうするか。それでルールは先ほどと同じだ」


さてはこいつ、自分だけ木剣持ってると勘違いしてやがったな? 我、たくさん祝福つけた木剣つくったでしょ? みんなに1本1本あげて、余ったものは売っちゃたけど。


「そう言えばそんなの有りましたねぇ~」


エマさんもポーチから木剣取り出しまして、3本そろいましたな。


「それでは先ほどと同様に」、上等兵三人とバウアー新兵で模擬戦を行う! 双方、用意はいいか? 」

「え~、ほんとにやるんですか~?」

「やりたくねー! てか、当てられる気がしねぇ! 」

「こうなればヤケです! 皆、やってやりましょう! 」

「始めっ! 」


ボルちゃん砂時計をひっくり返しました。ハンナちゃんは、両手の拳を口元に当て、はらはらとしております。そしてエマさんは…… 今度は避けるだけではなくて、ナックルで剣を弾いて軌道をそらしつつ、やっぱりのたりと動いてます。のたりエマ太郎!


”その、エマ太郎というのはなんなのだ?”

”相撲界(角界)には、四股名、エマさんの場合だと、バウアー山だな、それが家名になるのだ! エマ太郎は相撲界における名前だな! ”

「よし、わかった! エマ太郎! そろそろ決着をつけろ! 」

「エマ太郎って…… なんですかそれ~><!」



続き描きますが、多分投稿するのは今日じゃない!


お読みいただきありがとうございます。

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