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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第6章 夏竹や つわものどもが 夢のあと
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ちょっと一服


 僕ちゃんは副長という役割らしい。それに、三席とかいってた。ボルちゃんが確か筆頭剣士だったよな。主席とかじゃないんだよな? えらい順番の名前付けが間違ってると我、思うのよ。次席は来とらんのかしら? あ、近衛兵の中から強いやつの1番目と3番目を討伐隊に入れたんだな。次席はたぶん、引き続き王宮とやらの警備をやってるに違いない。確か半分の兵数といってたが、半分もいなくなって大丈夫なのだろうか?


”ま、休みがなくなるだけで、警備それ自体は問題ないだろうな…… もともと廃止されようとしていた組織だからな”

”近衛兵がいなくなったら、誰が王城とやらの警備をするのだ? ”

”組織は廃止されるが、人はいなくならない。確か軍務卿管轄から内務卿管轄に移行するとかどうとか。うちの兄から聞いた話だ”

”ボルちゃんにはお兄さんがいんのか? ”

”兄が二人、姉が一人だな…… ふふ、お前をブラッツ兄さんに合わせてみたくなったな” 

”もう一人の方はいいんかい! ”

”バナン兄上は年がだいぶ離れているからな”


あ、これはフラグになりそうだな。さっさと折っておこう!


”王里にはいかんからな! ”

”…… いや、無理に連れて行こうとは思っていないが? ”

”ならばよし! …… で、僕ちゃんの査定は終わったけど、次はどうするんだ?”

「次は、席次から言って兵長1からだな。ヘルムート・ナル! 」

「今の見ちゃったら、やらないわけにはいかんな! 」


おおっ!気が引けたかと思いきやその逆ですな。この子はバカなのかな?

+++++++++++++++++





 兵長その1はあっさり倒され、兵長その2(自慢の槍を置いてきたあほの子)も開始と同時に試合終了~。審判してた兵長その3は査定放棄。ここで、ハンナちゃんとエマさんが馬に乗って華麗に登場!


「隊長~、皆さ~ん、大丈夫ですか~? 」

「お腹が減ってたら動けませんもんね~~~!」


シュタッと汗血馬から降りた二人。もう完全に乗りこなしてますな~。一方、見慣れぬでかい馬が来たからなのか、及び腰の野郎どもです。


「ヴィンデルバンド衛生兵、バウアー新兵。ご苦労様。何を持ってきてくれたのかな? 」

「時間が時間ですし、もう少ししたら夕食になりますので、軽食ということで、”サンドウィッチ”をご用意しました…… あれ? 人数が少なくないですか? 」

「あたしと同期の3人がいませんね~? どうしちゃったんでしょ~~?」

「ま、それは後で問いただすとして、まずは食事だ。そこのスネークが作ったテーブルに出してくれ。あと、飲み物も頼む」

「飲み物はお茶でよかったでしょうか? 一応冷たいものも用意しておきましたが……」


ここで、流れを読まず耳の短いエルフさんが発言します。


「あー、僕にもう一杯冷たいものを! 」

「えー、ポンポンヌ上等兵さんでしたね。他に冷たいものご希望の方は? 」


あらら、皆さん手をあげておりますな。真夏の日陰のないところで、査定か何だかしらないものをやるのって変だよな。


「それと、”サンドウィッチ”ってなに? 僕、初めて聞くんだけど? 」


先ほどは流したが、こいつも僕っ子かよ! あ、男で僕っ子はいいのか。いや、男だよね? リーちゃんみたいな僕っ子じゃないよね?


”ポンポンヌさんは男性ですよ?”


脳内でハンナちゃんが声をかける…… そうか!ポンポンヌってどこかで聞いた名前だと思ったら、メルゼブルグの冒険者ギルド(フランクフォートでもあったかな?)で掲示板に依頼主の名前ででてたな? ポンポンヌって、よくある名前なのかな?


”そんなことはないと思いますが…… ”


我の脳内に語りかけつつ、長テーブルの上にサンドウィッチとクリスタルカップ、それにティーポットをポーチから取り出すと、てきぱき並べだした。


「なんだ?この食いもんは? バイツェンブロートに、なんか挟んでるのか? 」


サンドウィッチに興味を持ったのか?槍を持ってこなかった人が怪訝そうにそれを見つめている。食いたくなかったら食わなくってもええんやで?


「あ~、そのサンドウィッチはタウルス・サンドですね~! おいしいですよ~~! 」

「おい、女新兵! お前これ食ったことあるのかよ? 」

「それはもう~! オニクはあたしとスネークさんで作りましたから~~」

「ヴィンデルバンド君 ……フォークがないようだが…… 」

「シュトルツ副長、これは手でつまんで食べるのです。あ、手を洗った方がよいですね」


ハンナちゃんは水魔法を使ってみんなの手を洗っていった。マメやな! しかし、濡れた手をズボンやら服の袖で拭いたりしたら台無しやな!


「副長、クリンゲさん!これめっちゃうまいですよ! 」


ポンちゃんがモガモガ食ってますな。そしてグラスの飲み物を飲んだ瞬間


「ナニコレ! 毒なの! 口がピリッとしたんだけど? ねぇ衛生兵ちゃん、どういうことなの? 」

「それは炭酸水という飲み物です。毒ではありませんから安心してお飲みください。いっぺんに飲みますとガスが上がってきてしまいますので、ゆっくり飲んでくださいね」

「ヴァイツェンブロートにニクと野菜を挟んで食べやすく三角形に切ったのですか…… これは衛生兵が考えたの? 」

「じゃーーーん! これはそちらにあらせられます、レシピ図書館のスネークちゃんが考案したものですーー! はい拍手ーーーー! 」

「ほう… 魔物のくせに料理を考えるとは…… 」


耳の短いエルフ、ポンポンヌだっけ、ぽんちゃんでいいか。何やら目つきが怪しい…


「この料理、料理協会で登録すれば、一財産築けると思うけど……」

「残念でしたー! それはもう基本人族さんに伝授済みです!」

「そんな勿体ない……」


そんな登録するところがあるんか! まあヘビが行っても登録してくれんだろうけど。


「それより、もっとないかな? 食べ足りないよ! 」


ぽんちゃんの隣の6号くんがもう食べ終えていた。


「あと数時間もすれば夕食ですので、軽く食べられるものを準備したのですが……」

「ペーター・ラビー上等兵。食べても動けるなら、あと二切れ追加してもいいが? 」


6号くんはウサギか! 全然それっぽくないが…… 今度ニンジン食べさせてみよう。ラビー君はうんうん頷いてたので、ハンナちゃんはあと二切れお皿に追加した。


「これはさっきのとは具材が違うね…… ハオスエンテのタマゴか… こっちは! また新しい具! なにこれ? スーススクローファの肉の周りに何かついてる!」

「ラビー先輩~、お目が高いですね~! それは”トンカツ”という具材ですよ~。一品料理を具材にした”カツサンド”です~!! おいしいでしょ~?」


なぜか自慢げに胸を張るエマさん。


「エマさんが作ったカツサンドですからね。それは自慢もしたくなります! 」


なるほど、弟子が作ったちゃんこというわけですな。別にちゃんこ鍋だけがチャンコというわけではないんやで! 相撲取りが作った料理がすなわちちゃんこなんや! 我にも一口ちょうだいな。


「ほうほう、なるほど! その情報は初めてですね。メモメモ…… お待たせしました。こちらがちゃんこです」

「いまだに相撲取り扱いされてるーーーーー! 」


これを聞いたボルちゃんがなぜかニヤリと笑っていた。

本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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