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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第6章 夏竹や つわものどもが 夢のあと
642/786

近衛小隊、全員集合!(3人足りません)

新たな登場人物が多数出てきた><


誤字脱字報告ありがとうございます。

適宜修正させていただきました。ご指摘以外の箇所も発見したので修正^^;


変更;領都→州都


 

 合同訓練が魚釣りに代わることはや2時間。炎天下の勢いも陰りが見え始めた。釣った魚は次々と里の調理場へ持ち込まれ、解体されていた。当日の夕食分だけでなく2日分ぐらいは釣れたであろうか。魔道冷蔵庫を使えば1週間分くらいは収納できるからジャンジャン釣って欲しいと希望を出されたのだが……


”ボルドウィン殿! 聞こえますか? こちら、カール・レイハー!”

”聞こえる。 なにかありましたか? ”

”今、私は南側砦にいるのですが、ボルドウィン殿の部下だという方々がやってきております、いかがなさいますか? ”

”名を伺いましたか? ”

”ええ、 代表者はアインバード・シュトルツといってました”

”何名できたかわかりますか? ”

”ええと…… 11名だそうです…… 新兵が3人いないそうです。どうしますか? ”

”わかった。私がそちらへ向かう。そちらに水や食料は置いてあったかな?”

”私がここにいて使う分だけはありますが…… ”

”どうするかな? 里に入れても無駄に揉めそうな気がするな…… わかった! そこに留めて置いてくれ。すぐに食事を用意させよう”

”わかりました…… すぐ、というのはどのくらいかかりそうですか? ”

”水はすぐだな。5分もしたら私がそちらに向かう。食べ物は……ヴィンに頼むか。30分もあれば、里から砦に到着できるだろう”


「そういうわけだ、ヴィン! なにかすぐに食べられるものを11人分貰って、汗血馬に乗って南砦まで来てくれ。バウアーはヴィンについていってくれ。あと三人は引き続き、食糧確保だ。スネークは一緒に来てくれ。それと、ハート殿……」

「ん? どうされたのかな?」

「わが小隊が、一部を除きこちらへ来たのですが、里へ入れてもよいものかと愚考しております」

「え? それはどうしてでしょうか? 」

「前回、里の方々と揉めた者をおいそれと中へ通してしまっては、またいらぬ軋轢を生みそうだと思いましてな」

「なるほどねぇ…… ですが、もう魔植は退治されたことですし、それはないのでは? 」


首を傾げる守備隊防衛隊長。本来なら魔植が討伐された直後に、王里へ戻ったほうがよかったのだろう。ボルドウィンはそう考えていた。しかし、隊員が揃わないので、ここで待った方がよいのかとも思案していた。中へ入れずに砦で止めおいた方がよろしかろう、現時点でのボルドウィンの判断である。

+++++++++++++++++++++++++++

 

 我、ボルちゃんの頭に乗って南砦へ向かう! と思ったが、


「頭は勘弁してくれ。お前、なんだか重くなったぞ! 」


マジですか! 特にいろいろ食った覚えは…… あるにはあるな! だがしかし! 山のような水晶を飲み込んだが、体重がちょっと増えたくらいで済むのだろうか? いやない! 重くなったのは別の原因があるに違いない!仕方ない、ぴょん跳ねしていきますか…… と! いつの間にかボルちゃんがリュックを背負ったと思ったら”空中闊歩エア・ウォーク”で駆けていった! 待ちやがれーーーー!






 我が南側砦へ到着したとき、ボルちゃんはすでに事態を掌握していた。


「遅いぞスネーク! 」


いや、ボルちゃんが早すぎるだけだぞ! それで、なんなん? この目の前にいる整列した人たちは?


「私はまた室内で待機していますね」


そんなこと言ってレイハー氏は建物の中に入っていった。もう通常勤務になってるのかしら?


「何も副官の僕を整列させなくってもいいじゃないか! 」


誰? この僕ちゃん? パッと見エルフのボンボンかよ。 うむ、他にも10人ほどメンバーがいるようだが、これがボルちゃん小隊の全員か。いろいろ特徴はあるが…… 揃いも揃って顔だけはシュッとしている! しかし半数ぐらいはなんかニヤついておるの~。イケメンが台無しやな! とりあえず、ボルちゃんの頭に乗っとこう! バインとジャンプしたが、着地、じゃない着頭しようとしたところで、華麗に避けられた。マジで? 


「私の横にいてくれ! 皆、先ほど話した従魔が、このスネークだ。 ツチノコ、という魔物らしい。スネークがいなかったら、こんなに早くは魔植討伐はできなかったであろう。 ある方にお借りしたものだ。魔植討伐が成ったので、そろそろ元の契約者のところに戻るそうだ。スネークは額金を通じて私と話ができる。そして言うまでもないが、話ができるということは、諸君らの話も理解しているということだ。魔物だからと言って舐めていると痛い目に合うので用心されたし」


すると、一番左端にいた僕ちゃんが手を挙げた。


「ボルドウィン、質問がありまーす! 」

「副長、言ってみろ」

「本当に魔植は討伐されたんですか~? ところどころ、あの魔植を見かけたんだけど? 」


えーい、とろとろした話し方やな! エマさんのとは違う、なんだか話した相手を馬鹿にした感じの話し方だ。


「刈り取りはしてみたか? 」

「いやー、合流するのを優先したのでー」

「それよりも、隊長さーん、急いでやってきた俺たちになんかないのー?」


えーと。討伐し終わってから何日経ったっけ?


「私はフランクフォートで待機という隊長令を出していたはずだが、どうして待っていなかったか? 」


あ、これは長引きそうな予感。


「なぜ、あんなところで待ってなきゃならないんだい? 」


僕ちゃんは反論すな!


「フランクフォートは、グラニーラムゼースミスから近く、州都でもあるため物資の補充が容易だ。さらに冒険者ギルドのギルドマスターがエルフなので、君らに便宜を図ってもらうこともできたはずだ」

「2ヶ月!」


ん? 別の男が話をしだしたぞ? なんの話だろね?


「無為に過ごした期間だ!」

「無為に過ごしたかどうかは、君たちの活動内容によるだろう? ナル兵長、君はどう過ごしていたのか? 」

「あんな基本人族の街なぞで、訓練やらできるか! 俺ぁ王里で特訓してたさ!」

「他の者たちも皆そうか? 」


みんな、うんうんと頷き合ってる……


「よろしい、ならば、特訓の成果を見せてくれ!」


あ! これは、ボルちゃんのやる気スイッチを押したな!  


「ボルドウィンたいちょ~、特訓の成果を見せる前に…… 何でもいいから飲むもの…… できたら食べもの…… 」


なんか下っ端そうなやつが…… ん? こ奴はエルフか? 耳が全然長くないのだが?


「飲むものはすぐに出せるぞ? …… 器は持っているか? ポンポンヌ上等兵」

「そんなもんないっすよ…… 全部衛生兵がもってたもん」

「すべてヴィンデルバンド衛生兵に任せるからそういうことになるのだ。これを機会に野営セット一式をそのポーチに入れてはどうだ? 」

「隊長、こいつに何言っても聞きゃしません。標本採集が飯より好きな奇人ですから」


耳の短い人の隣の、こっちは普通のエルフ耳ですな……


「そういうラビー上等兵は、そのポーチに何を入れてる? 」

「私のポーチに何を入れようと私の勝手であります」


ボルちゃん、額に手を当てて溜息をつきます。


「スネーク…… マギ・バンブーを出してくれないか? 」


ああ、あれでコップ作るのね。了解了解。

本日はこれにて。

お読みいただきありがとうございます。

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