ポッポ孤軍奮闘
ちょいな亀・・・ちょい長めです^^
暗くなったので、我、エルフさん達のいそうな所へ戻ります。まあ多分食堂行けばいるだろう。なんかざわざわしてるな。
「なあ! もうマギ・バンブーとやらは討伐しちゃったんだろ? だったら!」
「嘘だ! まだあの忌まわしいマギ・バンブーは生えておるではないか! 」
「だから~、もうあのマギ・バンブーとやらは魔力がなくなっちゃてるんだ! 」
「もう、ただのバンブーということか? 」
「そうだ! だから、援軍が持ってきた食糧や嗜好品を分けてもらえるはずだ! 」
「ボルドウィン隊長もそんなこといってたぞ! 」
「だけど、里長が…… 」
「ねぇ! 赤ちゃん達のミルクはご厚意でもらっちゃたんだけど! 」
「そうよそうよ! 隊長さんがもう討伐は完了したっていってるんだから、いいじゃない! 」
「里長が討伐証明書にサインをするだけで、甘いのが食べられるようになるのよ!」
「甘味だけじゃないさー! ねえさん、ちゃんと酒も持ってきてくれたんだ!」
「ならん! あの魔植が残っとる限り、討伐完了とは認めん! 」
「だけどよ~、あの魔植、いや元魔植か? あれは素材としてはかなり使えるって隊長さんの従魔が言ってるらしいぜ? それだったら、残しといてもいいんじゃないのか? あ、噂をすれば、だ! 」
あ、我見つかったようですな。ボルちゃんとかハンナちゃんはおらんの?
「ここにいるぞ」
ボルちゃんがいる場所へジャンプ! スネーク空中三回転! 見事な着地! あ、地面じゃないから着頭! ボルちゃんの頭は小揺るぎもしませんな! あ、ご飯はもう食べたのか?
「ああ、食事は、私は済んだな 」
他の皆さんは………… エマさんは相変わらずだな。なんか食ってるが………… なぜひっそりと食っている? あ、今ポーチから何か出した。
”今日はオニクじゃない日なので………… 皆さんには悪いと思ったのですが、燻製肉をいただいてます~ ”
”魔力の訓練はどうだった? ”
”よくわかりませんでした~”
”何がよくわからなかったんだ? ”
”そもそも、あたし、魔力を使ったことなかったんですけど~”
”バウアーは魔力感知がまったくできないようだな”
”だけど、相撲の稽古をしてたときは尋常でないほどの力を発揮していたのだが…… アレは体内で魔力を使って強化していたはずだぞ? ”
”まあまだまだ始めたばかりだ。長い目で見るさ”
”まあエマさんはそれでいいとして…… ハンナちゃんは? ”
”ヴィンは厨房に行ってる。何でもスイーツの作り方を伝授しているらしい”
ズズズとカップの飲み物を啜るボルちゃん。中身は、緑茶かな?
”それで、スネークよ。今後はどうするのだ? ”
”グラニーラムゼースミスの里を,神樹さまの住みやすいように改良して、あと、ここの土地はちょっと痩せているから,土壌改良をして,うまくいったら我はアシアティカ様のところに戻る”
”王里まで一緒に来てくれないか? ”
”エーーー、面倒だからパス! どうせ王さまとかに会わせて、エルフ族の役に立てとかいうんでしょ? ”
”ま、そうなるだろうな………… これだけの力を持った幻想生物、しかも対話可能となれば,どの種族も放っては置かないだろう。面倒なことに巻き込まれないうちに、エルフ族の庇護を受けておくといいと思うのだが”
”敵はすべて潰す…… アシアティカ様になにかしたらエルフ族でも許さんぜよ! ”
”スネークが世界樹を守る限り、エルフ族が敵対することはないな”
「なんだいなんだい、ねえさん隊長、だまりこくって! ねえさんからもうちの里長に言ってやりなよ! 」
「ん? ああ、何の話だったかな? 」
「討伐は終わったんだろ? なら、援軍が持ってきた物資、放出してもらってもいいんじゃないかって話! 」
「ああ、そうだったな。スネークが討伐終了と言ったから、あ実質終わりだが、形式は必要でな」
「そこの蛇が言ったから討伐完了だなんて、認められるか! 」
「しかし、スネークが… 」
「従魔の手柄を自分の手柄にするな! 」
「何言ってんだ、あほ里長! 」
「従魔の手柄なら、契約者の手柄に決まってるじゃないか、そんなこともわからんのか、ポッポ! 」
「大体、従魔の手柄って言ってるけどさ、そしたらもう討伐は終わってるって認めてるようなもんじゃんか! 」
「里長は息子に職を譲れ! 」
がんばれがんばれ里長! 負けるな負けるな里長! チアアップ! チアアップ!
”ん? スネークは里長殿を応援しているのか?”
”うん、なぜにこんなに頑ななのか、もっと喋らせたらわかるかもしれんと思って”
うーん、と唸ったボルちゃん、指を顎に当てて考えます………… 周りがやいのやいのうるさいですな!
”以前はすぐやって来てすぐに撤退した小娘率いる王里の軍が、自分たちが討伐できずにいた魔植を次に来たときにあっさりとやっつけてしまったとしたら………… どう思うだろうか? ”
”ひょっとしたら、 我々がマギ・バンブーを討伐したのがうらやましい? ”
”それだけではないぞ? ずっと大切に育ててきた世界樹を、何か得体の知れない魔法で精霊化にさせてしまった。自分たちの功績を奪われた、とは思わないだろうか? ”
”コレまで育ててきたのは自分達なんだから、そこは我ら、関係ないんじゃね? ”
ボルちゃん、はぁあと深いため息をついた。ん? どうした?
”スネーク………… お前、まったく自覚してないのか? 世界樹からあのような扱いをされているのは、我らエルフ族でもみたことがないぞ? ”
”普通はどんな扱いなのだ? ”
”普通は…… アシアティカ様と私のやりとりが普通だ! ”
”え? アレが普通なのか? 我にとっては我と神樹さまとのやりとりが普通な感じなのだが? ”
”世界樹と対等なつながりを持てるのはお前だけだぞ? ”
”いやー、違うと思うな”
”どうしてそう思うんだ? ”
我、以前に孤光の神樹さまのところで大きな鳥に襲われたときのことを語る。おそらく、世界樹の中には魔物とも話をしてるものがいるに違いない!
”そのような話は聞いたことがないのだが………… 世界樹が、我らの管轄以外に存在するなら、それはあり得る話だな………… ”
”ところでさぁ? ”
”ん? どうした? ”
”いつまでこの騒ぎ、ほっとくつもり? ”
”私の出る幕ではないからな。里のことは里の者で決めないといけない”
”里の人たちは、ボルちゃんの持ってきた肉とか酒とか甘いのを早く飲み食いしたいだけなんじゃね? それだったら、ポッポちゃんにサインしてもらえばいいんでしょ? ”
”しかし、里長殿が納得していないようなので、それは今日中には無理なのでは?”
よっしゃ、久しぶりのアレの出番や!
”アレとは? ”
いくで~! まつろえ、我の赤魔法!
”赤魔法Lv.5 催眠! 対象はポッポちゃん!”
我、ポッポちゃんのテーブルの前に跳ねます!
「ん? 何だ、小娘の従魔か。躾がなっとらんようだな! 」
お? 我の目を見たね。今がチャーンス! いいかい…… 怖くないよ………… 我の言うこと聞こえるよね………… 聞こえたら、三回頷いてみて…… よーしいい子だ…………
”ボルちゃん、討伐証明書と何か書くものくれ! サインしてくれるそうだ! ”
ポッポちゃん、ボルちゃんの渡した証明書とペンを使ってサインをした。これで討伐完了です! お疲れ様でした!
「ありがとうございます、里長殿! 」
「ん? あぁ…… 儂がなにかしたのか? 」
”ポッポちゃんはサインをしたあと眠くなる………… 眠くなる前にベッドにいく…… 一晩寝たあとはすっきりして、サインしたことだけ覚えてる…………”
「…… あぁ済まないが、もう儂は休ませてもらう………… 」
「お? どうしたんだ? 急に? 」
「改心したんじゃね? 」
「従魔さんがなにかしてるんじゃねーのか?」
「ボルドウィン殿、これだけで本当に食糧などを供出してくれるのか? 」
「ああ! ニクは調理をしてないようなので無理だが、酒ならたっぷり冷やしてもらった」
「それならこれから祝勝会だ! 」
「料理も作ってもらおうぜ! 」
「スイーツもたくさん作れるわね! 」
それでいいのか? と首を傾げるボルちゃんであった……
”それでいいのだ”
本日はコレにて。
お読みいただきありがとうございます。




