フラグではありません!(たぶん)
お供えが終わり、残ったお菓子を作った面々で試食。あーだこーだ姦しいわ。君ら、夕飯の準備せんでええのか?
「下準備はできているのです」
下準備か。それじゃ作るだけだな? 何作るん?
「スネークちゃんが言ってたガメ煮とコーイ…… じゃなかった、リーズィッヒ・コーイのソテーですね」
オニクは出さなくていいのか? 話している間に、味付けをして完成させてもらうか。
「毎日出すとその分だけ早くなくなりますので」
そうよなー。ニクはお金出して買うか、その辺にいる奴を仕留めるしかないも
んな。この辺には何がいるんだ?
「この辺りにはディアとかボアとかはいないのですか? 」
ハンナちゃんが調理部のお姉さま方に聞いてみますが
「ここら辺て崖ばかりでしょー?」
「いたとしてもホールマウスを狙うブルグフントぐらいじゃない? 」
「ブルグフントはちょっとねぇ……」
「鳥はどうでしょうか? 」
「小っちゃい鳥はいるけど、速く飛んでて捕まえられないし、捕まえても食べるところがないしねぇ……」
「あ!でも川にはいろいろいるわよ! コーイもたくさんいるし、マーズーも泳いでるわね。でも大物は全然ダメね。いつもはフーナとかドジョーを捕まえたりしてるわね」
「シャーケは年に一回、グロース・フルスを遡上してくるから、その時はシアン・フルスまでお出かけするのよねぇ」
「アレがこっちに来てくれればいいのにねぇ……」
なんか魚の名前がビミョーに日本語入ってるんが気になってはいたのだが…… エビとかカニとかはいないのかしら?
「スネークちゃん、エビトカカニとはどんな生き物なのですか? 」
一言でくくってはいけません! エビは殻のついた腰の曲がった生き物で、カニは鋏のついた生き物です。どちらも水辺や水中で生息します。ああ、あと貝も調査だ!
「絵で描いてくれるとわかりやすいのですが…… 」
書いてもいいが、今回は面白くないぞ。と、いうわけで、ハンナちゃんから色紙と筆と墨汁を渡され、我、エビ、カニ、貝などの水産物を描いていきます。エビやカニ、貝は足が早く大量に食材にするには向かないようです。大繁殖をした時に里の者総出で捕食したり保存食を作ったりはするんだって。
「それにシルトクレーテがでたりしたら、こわいもの」
「そうそう、じっとしてるからって油断してると、いきなりがぶってかんでくるのよね」
「大きくておいしいんだけどね」
なんやなんや! おいしそうな食材があるんかい! シルトクレーテ! 汁とクレーテ! クレッテがゴボウだったっけ? ゴボウ汁の事か! そいつ捕まえて食べたりせんの?
「スネークちゃんがシルトクレーテを気にしてるようです」
「捕まえるのが大変みたいですよ? 普通の川ならともかく、マゼンタ・フルスだとどこに潜んでるかわからないし」
どうやって捕まえて食べたんだろう? ハンナちゃんに聞いてもらったら
「なんでも増水したときに岩場に挟まったようで、水が引いてもそこから出られなくなって、弱ったところをブスリと!」
なるほど、我も気を付けよう! ところで、シルトクレーテとは何ぞ? 絵にかいてくれるとありがたいのだが?
「私も見たことはないんだけど…… 甲羅があるのよね? 」
甲羅? 甲羅があるのって亀のことかな? 今日の料理はガメ煮だからな!
「でも、婆様の話だとその甲羅って柔らかかったらしいわよ? 」
甲羅が柔らかい?
「柔らかい甲羅というと、ヴァイヒ・シルトクレーテのことですかね? 」
おいしくて、甲羅が柔らかい? それはもしや…… すっぽんのことかぇ?
「スネークちゃんはヴァイヒ・シルトクレーテのことをすっぽんというのですか。もしかして、食べ方も知ってる? 」
いや、食べ方は…… 鍋にするしか知らんがな。
「”ナベ”! 」
またか! 伝説の料理とかかよ。
「勇者文献に記載されてはいるものの、材料が多岐多彩に渡り、特定ができなかった料理の事です! ”ナベ”とはいかなる料理だったのでしょうか? 」
鍋物は、一つのお鍋にいろんな具材を入れて、みんなで料理を楽しむもので、あれがないといかんとかいうのはないのだ!
「…… ナベというのは、トプフのこと? 」
トプフがなんかは知らんが、具材を入れて煮る調理道具の事やで?
「……… それはアイントプフの事ですね………… 積年の疑問が、今日解決されました! 」
「ちょっとちょっとハンナちゃん! 一人で師匠先生とお話ししていないで、シルトクレーテの調理法、教えてもらって! 」
調理法と言ってもなぁ…… ぶつ切りにして、食べられるところを鍋に入れて、あとは普通の料理法だぞ? 料理酒は…… 白ワインとかかな? 臭み消しにショウガ…… イングウェアだったか? 醤油……ゾヤゾーゼを入れて味を調えて終わりです。煮物に使う野菜を入れて、あとキノコも入れると健康にいいでしょう。
「調理法は思ったより普通ですね」
「問題は捕獲方法よねー。誰か、捕まえてきてくれないかしら―」
こっち見るな! そこまで面倒みません! 自分らで捕まえろよ、もう!
「スネークちゃんがお怒りのようです。あまり他蛇に頼るのはよくない、と言ってます…… そうですか、やっぱりもう少ししたら元居たところに戻っちゃうのですね………」
「え? 師匠先生って、隊長さんの従魔じゃないの? ずっと一緒にいるんだとばっかり思ってた!」
我はもともと、森の中に住んでたんやで(ウソ)! だから、そこは、森へお帰り…… と言って帰すのが作法なんや!
まだまだ続きかきますが、投稿できるかどうかは未定……
お読みいただきありがとうございます。




