逮捕しちゃうぞ!
赤い実を食べきったカグヤちゃん。満足そうな様子です。さて、グダグダ話をしていてもしょうがないし、本題に入りますか。
”カグヤよ。我は、君を討伐するためにやってきたんだが、これ以上、世界樹やエルフから魔力を吸わないなら、討伐は止める。そして、別のところにつれていく。君らで自由に移転先を決めたりしたら…… たぶんそこのタマを使って移動しようとしたんだろうが、移動先でエルフや謎のじいさん達に見つかったりしたら、まずいと思う。エルフたちの場合は恨み買ったし、じいさんたちの場合なら、また利用されることになるだろう。我の連れて行くところだと、そういうことにはならないが、それでいいか? ”
「うん…… 」
”何か不満か? ”
「時々は会いに来てくれるんでしょう? 話し相手が契約相手だけって言うのはさみしい…… 」
”転移、が使えるようになったらいつでも会いに行くさ。話し相手は、たぶんたくさんいるぞ。君が悪さしなきゃな”
「悪さって…… 魔力吸ったり、殺したり? 」
”そうだ。人、人族じゃないけどな”
「えーーー! 人じゃないのに話せるのー? 」
”我、人じゃないけど、話してるだろ? この世界、人じゃなくっても話す生き物結構いるぞ? ”
「スライムとか、ゴブリンとか? 」
”スライムで話す奴はまだ見てないな。ゴブリンは話せる奴がいた。あと、でっかい鳥も話ができてるぞ”
「ねぇ、ドラゴンは? ドラゴンはいるの? 」
”ドラゴンは、まだ見てないな。いろいろいるらしいが、我はまだ未体験。連れて行くところには樹人族がいる”
「ジュジン……族? 」
”木が話をするんだ。思念体と言って、精霊状態みたいにもなれるらしい。違いがいまいちわからんが。そこなら話し相手も不足がないだろう? 大勢いるしな”
「私、そこにいってもいいのかな…… 」
”悪させんなら受け入れてくれるさ! 大丈夫だ!”
いざとなったら光魔法と緑魔法(残ってたら)使うか。
”それで、どうする? そっちの僕たちも連れていくか?”
「そうだね…… せっかく契約してくれたんだし、ここで放置はないかな? でも、みんないっぺんに動いたら、エルフさん達にばれるんじゃない? 」
”そこはそれ、我の技能が火を吹くのだ! 貯める、を使うとみんないっぺんに我の体内に収納できます”
「デター! チート能力の一つ、収納! ツッチーは鑑定も持ってる? 」
”いや、鑑定はないな…… 自分自身のステータスを見る、ステータス魔法は使えるみたいだけど、なんか表示がおかしいらしくってちゃんと読めないし。さて、ネズミとツバメを回収しようと思うのだが、どこにいるかわかる? ”
「えぇ…… 場所はわかるけど、ちょっと離れてるかな…… タマが動けたらタマに乗っていくんだけど…… 」
”そいつは明日の朝まで痺れたままだな! もういいか。我が一緒に行くから場所を教えてくれ! ”
「でも、ホトケも倒れたままだし…… 」
”我が運ぶのジャ! ツチノコ引越センターは荷物も運ぶのだ! それでは、タマとやら。これから、我がお前を飲み込む! 怖いなら、目は瞑っとれ!”
ぶるぶる震えていたが怖くはないみたいで、目をカッと見開いていた。わかり申した、それではタマを丸呑みします! あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん…… 技能にもレベルがあるのかしらねぇ…… 前は我より大きいものはアゴをゴム化して大きくしてからじゃないと飲み込めなかったけど、いまでは飲み込みたいと思ったものはすんなりと、それこそ掃除機がチリを吸い込むように口の奥に入っていきます。グラニーラムゼースミスの里襲撃犯の従犯、逮捕や!
「これがツッチーの収納スキル! 私も飲みこむの?」
”ネズミとツバメを回収したら飲み込む。今は、そいつらの場所がわからないから手で持って運ぶ”
「手? ツチノコって手があるの? 」
”ツチノコには手はないぞ。まあ見てなさいって”
無魔法Lv.6魔纏い マギハンド千手観音!
我から魔力の手が出ます! これが見えるかな?
【WARNING!WARNING!WARNING!】
【水魔法消滅まであと16!】
【WARNING!WARNING!WARNING!】
【水魔法消滅まであと16 !】
【WARNING!WARNING!WARNING!】
【水魔法消滅まであと16!】
「うわぁ…… ツッチー、気持ち悪いよ? 蛇なのに背中?から手が生えてる…… キメラ? キメラって言うんでしょ? こういうの」
キメラちゃうわい! 魔法の手だもんね! まあいい、連行します。我、石臼に絡まっていた銀糸を外し、両手で石臼を持ちまして背中に背負います。グラニーラムゼースミスの里襲撃犯とその従犯、深夜未明に逮捕!
本日はこれにて。
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