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我はツチノコ  作者: あいうわをん
第5章 ツチノコの証明 神樹さま、我のあの背負子、どうしたんでしょうね・・・ええ、夏にグラニーラムゼースミスの谷底で落とした、あの背負子ですよ
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カグヤ様は契約したい


 我、精霊を見るのはこれで4人目……先代と当代のアシアティカさまでしょ、グラニーちゃんでしょ、そして今…… 目の前にいるのは黒髪おかっぱの呉服? 十二単じゅうにひとえ…… 十二枚も重ね着してないようにみえるが…… それを着た14、5才ぐらいの女の子だった。我、見たことあるぞ! あれは数年前、我、お役所で働きだしてまもない頃、昼飯時に新聞読んでたら、広告欄のところで、{奇跡の一枚! 呉服屋のお嬢様が姫になってやって来た!}などと銘打ってた週刊誌を見たのだ。あー、確かにかわいらしかったですね。奇跡というのも頷けます。ものすごく印象深い写真だった。そのころはお金あんまり持ってなかったけど、その週刊誌買っておうちで見ましたから。呉服着て竹林に佇むポーズとか、古民家の中で手毬てまりをするポーズとか、なぜか水着写真もありましたな。その時はまだまだ少女らしいスタイルでした…… 将来美人になるだろうな、とは思ってました。確か、名前は竹中…… 結、竹中結たけなかゆいだったか? 竹中呉服のお嬢様という触れ込みだったか…… その後、芸能界入りしていろいろあったらしいのだが、その辺の経緯はよくわかりません。気が付いたら、昨年、我が転生する前の感覚の昨年ですね、雨の日に屋上から転落死をしたというニュースをやってた。若い身空でかわいそうに、と思った記憶があります。その”奇跡の一枚”の写真に瓜二つなのだが…… そんなことを考えながらぼんやり見ていたら、我を見つけたようです。何やらゴニョニョ呟いてますな……ん? 今なんかしたか? 


「ナニコレ! どんだけー・どんだけー!って言ってる! 何がどんだけなのよ! 」


あ。我を鑑定しちゃったのねwww。ぷぷぷ。鑑定のレベルが低いと、HPとかMPがどんだけーって聞こえるそうよ?  


「マボロシ~♪ ってどういうことよ! 異世界にもツチノコっているの? いないの? どっちなのよ! 」


ああ、そこは種族名か? 種名っだったっけ? マボロシ~って聞こえるのよね…… ちゃんと見えるのは神樹さま(先代)とかう〇こ撒き散らし鳥とか…… 人外ばっかだな。懐かしいね。あれ? するとこの子も人外…… そらそうだな、精霊だし。人外でも生まれたてだと鑑定はできないんじゃなかったっけ? 当代の神樹さまも鑑定はできないって言ってたし。すると、精霊になりたてで鑑定が使えるこの子がすごいのか? などと考えてたら、


「契約魔術! 」


と言い放ちやがった。その言葉が矢のように我に刺さる! ような感じがしたのだが、なんかにゅるんと滑っていったよ…… なに今の? 我、キョロキョロと周りを見回す。


「え? どういうこと? 」


何がどういうことなんや! 説明してくれ!


「もう一度、契約魔術! 」


もう一度、我に言葉の矢が飛んできて我に刺さろうとしますが、つるん。なんか滑っていきました。


「名前はツチノコって読めるわね。どういうことかしら…… あ、そうか! 契約の意志を確認しろってお爺さん言ってたわね。それじゃ、あなた。私と契約してしもべになりなさい。契約魔術! 」


今度は、鎖みたいなものが飛んできました。我に巻き付いてますな。なんだこれ? とりあえず


”お・こ・と・わ・り~! ”


お断りしたら、鎖がバーンとはじけ飛んでしまいました。


「どうしてよ? 私の使い魔になってよ! 」


”だから、断るって言ってますがな”


「だからなんでよ! 」


ふふふ、それは我がお前を討伐しに来たからだよ!


「…… そう言えば、あなたエルフさん達と一緒にいたもんね…… というか、あなた喋ってない? 」


”これは念話でございますな…… さて、少し話をしようジャマイカ”


「…… 」


”話したくない、か……? ”


「そうじゃなくってね? 」


一呼吸、間が空いた。


「おじさんも、転生したのね」


ナヌ? 我はおじさんではないぞ! って、言いたいところだけど、二十歳ぐらいの子から見たら十も違えばおじさんか。


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