再戦は一方的
にょろにょろと建物の外へ出た我。空は暗くなってしまったが、里の中はかがり火をたいたような明るさがある。壁面が光ってますな。そんな薄明かりの元、エルフさん達はまだまだ飯を食っているようだ。我、見つからないように、息を殺して…… 誰にも見えないところまで来たら、風魔法Lv.4空気壁で”空気階段”を発動させて、里の崖の屋上まで上ります…… 雨降ったら下の場所ずぶ濡れになるんだけど、いいのかな? ヘンな場所だな…… 崖の屋上まできましたよ。この場所でもいいのだが、もっと高いところに言って視界を確保しましょうね。土魔法Lv.26土壁で我の足回りだけ100mぐらいまで盛り上げていきます。ひゅるーーーーん…… ふぉーーーーーー…… しゅううううううう…… ひゅるーん…… 夜でも風が強いですねー。風のせいで満月が雲に隠れたり、しばらくしたら現れたりしてます。この風の強さ故か、この場に風属性のマルス・プミラを植えた理由は。我、下に落ちないように土壁の縁を少し高く、我の顎が出るくらいに調整する。
さて、と。ここで、気配察知を使いますよ。これ、技能なのに、魔力、特に風魔法の魔力が増えたせいか、以前にも増して探れる範囲が広くなったような…… 何を探すかというと、マギ・バンブーの現在地を探るのだ! 夕方に見たときに魔力のパターンというか、タイプというか、そういうのを覚えた。エルフなり人なりの魔力は地上からすこし離れたところにソフトボールの球のようにあるのだ。動けばその球が一緒に付いてくる。と言うか、その人らしさはその球そのものであると言ってもいいだろう。球、というよりむしろ魂といったほうがいいかもしらん。魔物の場合もに多様なものだが、例えば火鼠なんかだと、たくさん地面近くに集まってわらわらしているからすぐわかります。鳥の魔物だと、空中をすいすい動く球がわかりますねぇ。 ま、今はありませんが。さてさて、問題のお竹さんなのですが、精霊化したグラニーちゃんのように、体全体が球ではなく形そのままで感じられてたのです。ちなみに、木の中に引っ込んだグラニーちゃんの気配を探ってみますと、大きな球状で感知できました。
”大体精霊状態の気配はわかったな…… ”
強風のせいで月明かりが雲に閉ざされたりしますが、目的の者を探るのに視力は使いません、頼んます、我が技能。風魔法Lv.11探針音のような感じで。全方位で魔力を伸ばしていく感じ。ソナーと名付けましょう!
”ソナーを登録しました”
真下には…… ああ、エルフさん達がいますね………… 里をぐるりと巡る崖の下には…… 無数の反応が。小魚とかたくさんいますな! そういうのを無視したとしても、大きめの魚がうようよしてる。コーイなのかな? ナーギーなのかな? そういうのを捕まえてれば、食料には困らない気がするのだが…… 気配を真下から徐々に広げていきますよ…… ん? ここの崖の所に何かいますな? ネズミ系なのかな? でもネズミ系とは違ってまとまってないな…… しかもわらわら動いてない。寝てるのかな? 今動かないんなら危険はないでしょう。先へ先へと魔力を飛ばします…… うーん、崖がたくさんあるせいで魔力が乱反射してるような感じがしますね。それでは、いまいる場所をもっと高くしてみましょう。あんまり細いとポッキリ折れてしまいそうなので。
”構造物生成! 石で塔を建てて!”
今いる土壁を中心地にして、壁の材料が石になり石柱になった。さらに同じような石柱が3本でき、石柱同士が所々石材で斜めに結ばれた。なんだか櫓みたいなのができましたよ? 我、櫓の屋上に載ったままどんどん櫓を高くしていく…… ああ、遠くまで見渡せますな! 目で見てるわけではないんですがね! 崖の倍ぐらいの高さになったところで、さて、もう一度ソナーで気配を探りますよ! まずは真下へ魔力を飛ばして……そこからじわじわと角度を広げていきます。長細い円錐柱を地面に向けて、それから円錐の角度を広げていく感じです。南側と東側にわらわらとした反応がありますなぁ…… あれはネズミ系の反応ですな。捕まえてヒーちゃんに投げてみようかしら? しかし、あちこちに感応があります。あれが全部火鼠だとしたら、駆逐するのは大変な感じです。さてと、南側側と東側、西側には特に変わった反応はないですな。残る北側だが、かなり大きな反応があった。精霊状態のグラニーちゃんも魔力的にはでかいのだが、その大きさは人並みなのです。魔力がぎゅっと詰まった感じ。だけど、これはそんなかんじじゃなく、ただただ大きい感じ。大きな魔物の予感…… ここいらで一番の大きさの魔物は、やつやな! そんで………… やつの方向へ向かっていく魔力を発見! ん? 何が動いているんだ? 魔力的にはグラニーちゃんと同じくらいだが…… だとするとマギ・バンブー? でも、マギ・バンブーが動くのか? 別のなにかなのか?
”考えてもわかんないな”
我、まずは大きな魔力のいる場所へ、”空気階段”で移動していきます……うーん、遅い! ここは一つ、風魔法Lv.4空気壁で傾斜の緩いスライダーを作りまして。我の基本技能、まるまる! スライダーのスタート地点から丸まって転がります!初めはゆっくりでしたが、次第に速度が出てきましたよ! だんだん目が回ります! 転がる蛇には苔はむしません! ちょっとスピードが速くなりすぎーー! スライダーの傾斜を上向きにします! アップして、それからまだダウンしてアップしてダウン!
回る回る~よ 蛇の~目回る~♪
喜~び悲しみ繰り返~しながら~♪
お! いつの間にか、大きな魔力に近づくやつを抜き去ったようですね! もうすぐ到着…… さて、何がいるかな何がいるかな? お久しぶりの、ツチノコアイ! キュピーン! 説明しよう! 我の目は、ツチノコ・アイと唱えると、夜にも見えるようになるのだ!………… いえ、元から見えてましたけどね。特に何の効果もありませんwww。
”ツチノコ・アイを登録しました”
えーーーー? うそーーーーん。なんか効果あるのーーーー?
”ツチノコ・アイは技能”こらす”の別名です”
よくわからんが、技能も登録できるんだーーー、へぇへぇへぇ! どうせなら、睨んだら相手が麻痺するとかの”蛇眼”とかがかっこよかったのに!
”蛇眼、を登録しました”
なんと! 睨んだら睨まれた相手が麻痺するの?
”赤魔法Lv.2麻痺の別名です”
別名かよ!だったらしょうが無い…… 我、ソナーで発見し、ツチノコ・アイで目標を同定。ああ、やっぱりアレはリーズィッヒ・コーイだった。大きさ的にもお昼に会ったやつですな。川縁のところでじっとしているが…… 寝てるのか? そんな感じでもないな。じりじりと動いている。あれを待ってるのか? 事情はよくはわからんが先手必勝!
”蛇眼! 一晩痺れてろ!”
急にじりじりが動かなくなった…… 麻痺付与成功したようですな。我、地上に降りたつ!
本日はこれにて。
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