帰ってきた奴ら
落ちた赤い実を広場で使っていたテーブルの上にみんなで乗せていく。空を見ると遠くの黒雲が夕日に染まっていた。もうすぐ夜ですな。我は暗くなっても見えるけど、エルフの人たちはどうなんかな?と思ってたら壁面の一部が明るくなった。なにこれ?
「土魔法の一種だな。ある程度暗くなると壁面が光るような魔法が施されているのだ。スネークの光魔法とは違うな」
何、そんな魔法があるんか! 我には光る土魔法なんて無いぞ! どういうことやねん!「光魔法があるから、スネークには光る土魔法はいらなかったのではないか? 」
まぁそれはそうだけどさぁ………… でもホントに土魔法か? もしかして青魔法とかじゃないの?
「さあ、私にはわからないな」
ほんのり明るくなった里の中で、里の皆さんと一緒にアプフェル拾いをしていきました。広いテーブルの上に100コずつ並べていきまして一つのテーブルに2000コ乗っけまして、一つのテーブルがいっぱいになりましたがまだあふれていますね。ハンナちゃんが収納箱を出して数え終わった赤い実を収納していきます。
「こりゃまた便利な魔道具だねぇ! 」
「あ、これはスネークちゃんが作った収納箱です。まだまだあるので里の方々で使われてください」
「あら、ありがとね! お母さん、これ、私たちで使っていいかしら? 」
そう言ったのは昼間に我の調理のお手伝いをしてくれたお姉さん達の中の一人だ。お母さんと呼ばれたのは、えーと、誰だっけ?
「アレはエンゲル殿だな。ということは、ハート殿の奥方かな」
「そうですよ。自己紹介がまだだったかしら? 私、レオナよ。調理部の部長やってるの。右からラガッツァ、クララ、ヨハンナ、エヴァ。よろしくね、スネーク師匠先生? 」
あ、こりゃどうもご丁寧に。我がスネークでございますよ。好きな食べ物は桃……プヒルズィッヒでございます。師匠先生というのはやめなさいね?
「調理レシピをたくさん持っているスネークちゃんはまさに先生なのです!」
「師匠は師匠だよ!それ以外の何物でも無い!」
「神の御子さまは師匠先生でしたのね? 師匠先生とは何ですか? 」
「先生って言ったり師匠て言ったりするの大変だからまとめちゃったのです! きゃっ! グラニーラムゼースミス様に声かけられちゃった! 」
「グラニーラムゼースミス様ともっとお話ししたいなぁ。やっぱり女の子なんですよね?」「あの大きな木がホントに精霊になるんですねぇ………… 」
「どんな男の子がタイプなんですか? 」
あーあー、皆の衆、いろいろと聞きたいことはあるだろうが…… 喋ってたらまとまらんぞ? 晩飯の用意はどうするんだ?
「守り人の食事はとても興味があるのですが………… そろそろ私は…… 光がなくなってきたので…… 失礼しますね…… 神の御子さまも……………… ボルちゃんも………………… おやすみなさい……………………………………………… また明日……………………………………………………………」
徐々に輝きがなくなりグラニーちゃんの精霊化が解けていった。
「私、明日は名前を覚えてもらいます!」
「オレも!」
「私もそうする!」
「僕も! 隊長だけなんてさせない! 」
みんな気合い入ってるな。それはそうとして、もう夕飯の準備しなきゃだぞ!
「そうだな。昼は我々の作り置きもあって足りたようだが、夜の分はこれから作るからな。スネークとヴィンに任せる。里の皆さんと協力してやってくれ」
丸投げかい!
「わっかりました! この私、ハンナ・ヴィンデルバンドにおまかせあれー! 」
張り切っとるな!
「それじゃ、えーと、ヴィンデルバンドちゃん。よろしくお願いしますね」
「はい、よろしくお願いします! それでは………… どうしましょう? 」
昼とおんなじでええか? まずは赤子用のミルクだな! それと一石鍋でお湯を沸かす。二つ鍋を使えば味のバラエティも広がるだろう。あとは巨大フライパンな! それと…… 里の中では水は使えるのか? 里の調理場が使えるんだったらそっち使った方がいいか?
「そうですね。そちらの方が手間いらずでしょう。案内するわね」
そう言われて、やって来たのは里の崖にあるドアだった。
「ドアの向こう側は大広間になっているのですね。なるほど」
「そそ。それで向こうにいったら調理場よ。反対側に行ったら貯蔵庫があるわ。もう少しでスッカラカンになりそうだったの。助かるわ~」
「私は王里でも調理場には入ったことはなかったのですがこんな風になっているのですね。冷蔵魔道庫はどちらでしょうか? 」
「あ~あるにはあるんだけど…… 最近は中身がなくなったので冷やすのやめちゃってたんだよね~」
「氷魔道庫はまだ使えますか? 」
「それはスイッチを入れれば大丈夫」
「ではすぐにスイッチを入れましょう。今日は隊長が買った氷魔道具を使いましょう」
ハンナちゃん、的確な指示やな! 我はもういらんな! それではにゅるりと…………あ、捕まった!
「何を言ってますか! スネークちゃんのレシピを広めるチャンスではありませんか! 」
えーー、そんなの広めなくってもいいんじゃない? いいけどさ。何はともあれ、ミルクは一番に温めた方がいいんでない? まずは哺乳瓶を出して。そして洗って。ホントは殺菌しないといけないのだが、ここは時短のため
光魔法Lv.4滅菌!
あとはこれにミルクを注いで…… あ、ミルク入れる前に少し糖を入れて甘くして。あとは飲みやすくなるまで冷えるの待って…… ミルクいる人は大広間に集めてきて。
「それはこっちでやっておくから、師匠先生達は大人数分の調理お願い!」
あ、ハンナちゃん。材料はここまでどうやって運ぶ?
「…… スネークちゃんのマギハンドは…… 」
うん。カウントダウン進むね。
「それじゃあやっぱりお外で調理しますか………… 」
そだね……外に出るか。
+++++++++++++++++++++++++++++++
再び外に出た我ら。調理するのにまずはお水ですな。ハンナちゃんの水魔法を使ってもいいのだが、いかんせん出る早さが遅いので、我の体内にため込んだ魔法水を使います。午前中に作った貯水塔に、おぇえええええええぇぇぇええええええええぇえええええええぇえぇおぉぉぉぉぉぉぉいえぇおぉぉぉぉおえおえおえおえぇええええぇっぇぇぇぇっぇえぇおおおおおおお! ………… ふう。なんとか満水まで足りました。次は…… まずは鍋に水を張って竈に火を入れます。お湯を沸かさなきゃだわ。えーと、薪はどこにあるの?
「薪はエマさんの荷倉ではなかったかと…… 」
エマさんの荷倉はどこにあるの?
「それはスネークちゃんが午前中に作った建物ではなかったですか?」
………… やっぱり我、マギハンドを使おうか……
「そうですね…… 私一人だと、ちょっと荷物持ちきれないし、400人以上の食事も作れないですし…… 」
「ん? スネークが調理すればすぐすむんじゃねーの?」
「出し惜しみしてるんですか? 」
「………… カウントダウンってさっきから言ってるけど、何? 」
あら、説明してなかったっけ? 我の魔法は制限があるのとないのがあって料理でよく使う水魔法や無魔法はあと20回ぐらいしか使えないのよ。マギ・バンブーをやっつけるのに必要な魔法も同じなの!
「あらら……そりゃこまったな」
「もしかして、私たちも手伝わなきゃだめかしら? 」
「できることはやるよ」
そんじゃ、薪持ってきて! 力の2号の荷倉に入っているはずだから。
「どのくらい必要なんだ? 」
たくさん、と言っておきましょう!
「馬たちをこっちに連れてきたらだめか? 」
それでもいいけど、馬の面倒は見てなああ、そろそろあいつらの水とご飯用意しなきゃな! 結局、無魔法頼りか…… とか思ってたら
”皆さーーーーん。私ですよーーーーー私が帰ってきましたよーーーーー!”
救世主エマさんが地の底からお供を連れて帰ってきた! 頼りになるやつが帰ってきたぞ!
「スネークさーーーーーーーーーーーーーーーーん、唐揚げ、できてますーーーーー? あたしもう、お腹ペコペコでーーーーーーす! 」
第二声がこれだよ!
本日はこれにて。
お読みいただきありがとうございます。




